小学生の成績が伸びないのは・・・

教育戦略コラム(東大や医学部を見据え、わが子を伸ばす選び方・関わり方)

小学生の成績が伸びない原因とは?勉強しても上がらないときに見直したいこと

最終更新日 2026年10月22日

記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。


幼児教室ひまわりの熊野です。

私は中学受験を経験して灘中学・灘高校へ進み、その後、大阪大学医学部へ現役で進学しました。学生時代には家庭教師として数百名の小学生を指導し、その中から10名以上が灘中学に合格しました。2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの学力や家庭学習について、多くの保護者の方からご相談をいただいています。

小学生の成績についても、「毎日きちんと勉強しているのに、なかなか成績が伸びません」「塾の宿題も問題集もやっているのに、テストになると点数が取れません」「これ以上、勉強時間を増やした方がよいのでしょうか」といったご相談があります。

子どもがほとんど勉強していないのであれば、まず学習する時間を作る必要があります。しかし、すでにある程度勉強しているのに成績が上がらない場合、単純に勉強時間を増やせば解決するとは限りません。

私がこれまで多くの小学生を指導してきて感じるのは、成績が伸びないときに大切なのは、「何時間勉強したか」だけを見るのではなく、その勉強がどこまで学力に変わっているかを見ることです。

問題集を20ページ進めても、解説を読んで分かったつもりになっているだけかもしれません。一度できた問題でも、翌日に一人で解くとできないことがあります。間違えた問題の答えを書き写して終わっていれば、同じような問題が出たときに、また間違える可能性があります。

つまり、「勉強した」ということと、「できるようになった」ということは同じではありません。

この記事では、小学生が勉強しても成績が伸びないときに、親がどこを見ればよいのかを、これまでの指導経験をもとにお伝えします。

小学生の成績が伸びないとき、勉強時間だけを見ない
成績が伸びなくてつらい

子どもの成績が上がらないと、保護者の方はまず勉強時間を気にされることが多いです。

「毎日1時間では足りないのではないか」「塾から帰ったあと、もう少し勉強させた方がよいのではないか」「周りの子はもっと問題集をやっているのではないか」と考え、勉強時間や課題量を増やそうとします。

もちろん、ある程度の勉強量は必要です。ほとんど勉強していない状態で、成績だけを上げることは難しいでしょう。ただし、すでに学習時間を取っている子の場合は、時間を増やす前に、その時間の中で何が起きているのかを見る必要があります。

たとえば、同じ2時間勉強していても、中身は子どもによって大きく違います。ある子は、自分で問題を解き、間違えたところを確認し、なぜ間違えたのかまで考えているかもしれません。一方で、別の子は分からない問題が出るたびに答えを見て、解説を読んで「分かった」と思い、そのまま次へ進んでいるかもしれません。

どちらも外から見ると「2時間勉強した」ことになります。しかし、勉強が終わったあとに身についているものは同じではありません。

私自身が小学生を指導するときも、「今日は何時間勉強しましたか」だけでは判断しません。それよりも、「昨日できなかった問題が今日は一人でできるようになったか」「間違えた理由を説明できるか」「少し形が変わった問題にも考え方を使えるか」といったところを見ます。

見るべきなのは、勉強時間の長さではなく、その勉強によって何ができるようになったかです。

成績が伸びないときに、いきなり勉強時間や教材を増やしてしまうと、本当の原因が残ったままになることがあります。理解できていない子に問題数だけを増やせば、分からない問題がさらに積み重なります。間違い直しができていない子に新しい教材を増やせば、「やった問題」は増えても「できる問題」は増えないかもしれません。

だからこそ、まずは「勉強量が足りない」と考える前に、学習がどこで止まっているのかを見ることが大切です。

成績につながるまでの5段階を見る
勉強してるふり

私は、子どもの成績が伸びないときに、学習を次の5つの段階に分けて見るようにしています。

1.取り組めているか
2.理解できているか
3.一人で再現できるか
4.間違いを修正できているか
5.別の問題にも使えるか

最初の「取り組めているか」は、机に座っているかではなく、実際に頭を使って問題に向き合えているかということです。難しすぎて手が止まっていたり、答えを写して課題を終わらせていたりすれば、学習時間がそのまま成果にはつながりません。

次の「理解できているか」では、手順を覚えているだけなのか、なぜその考え方になるのかまで分かっているのかを見ます。もちろん、漢字や社会の用語のように覚えること自体が必要な内容もありますが、理解が必要なところまで丸暗記だけで乗り切ろうとすると、少し形が変わった問題に対応しにくくなります。

そして特に見落としやすいのが、「一人で再現できるか」です。説明を聞いた直後には分かっていても、翌日や数日後、何のヒントもない状態で同じ考え方を使えるとは限りません。「説明を聞けば分かる」と「時間を置いても一人でできる」は別です。

さらに、間違えたあとに原因を確認し、自力で解き直せているか。そして、数字や文章の聞かれ方が少し変わっても、その考え方を使えるか。ここまで進んで、学習した内容が少しずつ安定していきます。

成績が伸びない子は、必ずしも同じところで止まっているわけではありません。①で止まっている子と、④で止まっている子では、必要な対応はまったく違います。

だから私は、成績が伸びないという相談を受けたときに、まず「この子は5段階のどこで止まっているのだろう」と考えます。

小学生の成績が伸びないとき、親が見落としやすいこと

ここまでの話を踏まえると、成績が伸びないときに保護者の方が見落としやすいポイントがいくつかあります。

どれも、子どものためを思っているからこそ起こりやすいものです。ただ、見方を少し変えるだけで、「もっと勉強させなければ」と考える前に、別の改善点が見えてきます。

勉強時間が長ければ、学力も伸びると思ってしまう

まず見直したいのは、勉強時間と学力をそのまま結びつけてしまうことです。

「毎日2時間やっているのだから、本来ならもっと成績が上がるはず」「周りの子より勉強しているのに、なぜ伸びないのだろう」と感じることがあると思います。

しかし、大切なのは、「何時間やったか」だけではなく、その時間によって何が変わったかを見ることです。

昨日解けなかった問題が、今日は一人で解けるようになった。間違いの原因を自分で言えるようになった。以前なら手が止まっていた問題でも、自分なりに考え始められるようになった。こうした変化が、学力が伸びているサインです。

反対に、何時間勉強していても、できない問題ができないまま積み残されていれば、勉強時間を増やすだけでは成績につながりにくくなります。

そのため、「今日は何時間勉強したか」だけでなく、「今日は何ができるようになったか」を見ることが大切です。

「分かった」を「一人でできる」と同じだと思ってしまう

子どもが「分かった」と言うと、親としては安心します。しかし、その言葉だけで理解が定着したと判断するのは少し早いことがあります。

子どもの「分かった」は、「今、説明を聞いて意味が分かった」という状態かもしれません。説明を聞いた直後には、本当に分かったと感じているので、子どもが嘘をついているわけではありません。

ただし、その理解がまだ浅ければ、翌日になると解き方が分からなくなったり、数字や問題文が少し変わっただけで手が止まったりします。

私がこれまで指導してきた中でも、説明中は何度もうなずき、その場では問題も解けるのに、次の授業で同じ内容を出すと一人では進められない子がいました。

この場合、説明を何度も増やすだけでは十分ではありません。説明を聞いたあとに、子ども自身がヒントなしで考え、答えまでたどり着く経験も必要です。

成績が上がらないときには、「分かったと言っていたのに」と考えるだけでなく、翌日や数日後にも、一人で再現できるところまで進んでいるかを見てみてください。

問題を解いた量を「できるようになった量」だと思ってしまう

「今日は30問やりました」「問題集を1冊終えました」と聞くと、かなり勉強したように感じます。

もちろん、問題を解く量も必要です。しかし、30問解いたことと、30問できるようになったことは同じではありません。

たとえば30問のうち10問を間違え、その10問について答えを書き写しただけで終わっていれば、次に同じような問題が出たときに、再び間違える可能性があります。

反対に、10問しか解いていなくても、最初にできなかった3問について「どこで考え方が違ったのか」を確認し、最後には自分一人で解けるようになったのであれば、少なくとも「できなかった問題」が「自力でできる問題」へ一歩変わったと言えます。

「やった問題の数」と「できる問題の数」は同じではありません。
成績が伸びないときほど、問題集をどれだけ進めたかではなく、できなかった問題がどれだけできる問題に変わったかを見ることが大切です。

今できない単元だけを繰り返せばよいと思ってしまう

子どもがある単元でつまずくと、保護者の方は、その単元の問題を増やしたくなることがあります。

たとえば、割合の問題ができなければ割合の問題集を追加する。文章題が苦手なら文章題を何問も解かせる。もちろん、単純に練習量が足りない場合には、それで改善することもあります。

ただし、今できない問題の中に、原因があるとは限りません。

算数で割合が分からない子を見ていくと、割合そのものではなく、小数や分数の理解が十分ではないことがあります。文章題で式を立てられない場合も、計算力の問題ではなく、「何を聞かれているのか」を読み取るところで止まっていることがあります。

このような状態で、今の単元だけを繰り返しても、子どもにとっては「分からない問題を何度もやらされる」時間になってしまいます。

私が子どもの学習を見るときには、今できない問題だけを見るのではなく、その問題を解くために必要な力のどこまで戻れば、自力で分かるのかを確認します。

現在習っている内容より少し前へ戻ると、「ここからなら分かる」という地点が見つかることがあります。その地点からつなぎ直した方が、結果として早く理解できることもあります。

成績が伸びないときは、「今の単元をもっとやらせる」と考える前に、どこから分からなくなっているのかを見ることが大切です。

テストの点数だけで「伸びていない」と判断してしまう

もう一つ、保護者の方が見落としやすいのが、テストの点数だけで子どもの伸びを判断することです。

たとえば、前回が70点で、今回が68点だったとします。数字だけを見れば、「勉強しているのに成績が上がっていない」と感じるかもしれません。

しかし、答案の中身を見ると、前回まで落としていた基本問題は取れるようになり、今回はより難しい問題で失点していることがあります。それなら、点数そのものはほとんど変わっていなくても、学力の中身は変化しています。

反対に、毎回80点前後を取れていても、同じような問題は解けるものの、少し形が変わるとできないこともあります。

もちろん、テストの点数は大切です。特に受験では、最終的には点数や合否という結果が出ますから、「点数を見なくてよい」という話ではありません。

ただ、点数だけで「伸びている」「伸びていない」と判断すると、勉強の中で起きている変化を見落とすことがあります。

以前できなかった基本問題ができるようになったのか。同じ間違いを繰り返しているのか。計算ミスが減ったのか。難しい問題でも途中まで考えられるようになったのか。

点数と一緒にこうした中身を見ることで、次にどこを直せばよいのかが分かります。

「毎日6時間勉強しているのに伸びない」という相談で分かったこと
親が怖くて勉強してる

私が家庭教師として小学生を指導していた頃、「毎日長い時間勉強しているのに、子どもの成績がまったく伸びません」というご相談を受けたことがあります。

小学5年生のお子さんで、保護者の方のお話では、学校から帰ってから毎日6時間ほど自分の部屋で勉強しているということでした。

6時間も勉強しているのに成績が変わらなければ、「勉強法が悪いのではないか」「この子は勉強しても伸びないのではないか」と不安になるのも無理はありません。

ところが、私が本人と話をしてみると、保護者の方が見ていたものとは違う状況が分かりました。

その子は、「成績が下がると親に怒られるのが怖いので、勉強しているふりをしている。本当は勉強が手につかない」と話してくれました。

つまり、外から見ると「毎日6時間勉強している」ように見えていましたが、その6時間が学習に向かえる時間にはなっていなかったのです。

この経験は、私の中でも強く残っています。

外から見える勉強時間と、その時間に子どもの頭の中で起きていることは、同じではありません。

ここで、「勉強しているふりをしていたのだから、子どもが悪い」と考えてしまうと、本当の問題を見失います。

本人は、勉強できていないことや、分からないことを正直に伝えると、さらに怒られるのではないかと感じていました。そのため、勉強しているように見せることで、その場を乗り切ろうとしていたのです。

子どもによっては、本当は理解していないのに「分かった」と言ってしまうこともあります。「分からない」と言えば、また説明される、勉強時間が長くなる、怒られるかもしれない。そう感じると、分かったふりをして先へ進んでしまうことがあります。

すると、理解できていないところが少しずつ積み残されます。次の単元でも分からなくなり、そこでまた「分かった」と答える。この状態が続けば、勉強時間を増やしても、なかなか成績にはつながりません。

だから私は、成績が伸びないというご相談を受けたときに、最初から「もっと勉強させましょう」とは考えません。

どのくらい勉強しているかだけではなく、その時間にどのように取り組んでいるのか、分からないことを「分からない」と言える状態になっているか、そして、できなかったことが実際にできるようになっているかを見ることが大切だと考えています。

勉強しても成績が伸びないとき、家庭では何を見る?

ここまでお伝えしてきたように、成績が伸びないときは、いきなり教材や勉強時間を増やすのではなく、5段階のどこで止まっているのかを見ることが大切です。

ただし、家庭で毎日すべてを細かく確認する必要はありません。

たとえば、子どもが問題集を終えたときに、
「今日は何ページやったの?」
だけで終わらず、

「今日、できるようになった問題はあった?」
と聞いてみる。

分からなかった問題があれば、
「どこまでは分かった?」
と確認する。

解説を読んだ問題なら、少し時間を空けて、もう一度何も見ずに解いてみる。

間違えた問題については、正解を書いて終わるのではなく、計算ミスなのか、読み違いなのか、考え方が分からなかったのかを確認する。

そして、一度できた問題も、翌日や数日後に一人でできるかを見る。

このくらいでも、子どもの学習がどこで止まっているのかは見えやすくなります。

大切なのは、親が常に横について監視することではありません。

「何時間やったか」から、「何ができるようになったか」へ見る場所を変えることです。

親がすべて教えなければならないわけではない

成績が伸びないと、「家でもっと親が勉強を見なければ」と考える方もいると思います。

しかし、保護者の方がすべての問題を横について教える必要はありません。

分からない問題があれば、教科書や解説に戻る。学校や塾の先生に質問する。必要であれば、前の単元へ戻って確認する。

大切なのは、親がその場ですべて解決してあげることではなく、分からないところを放置せず、子どもが理解できるところまでつなげることです。

親が毎回答えや解き方を教えてしまえば、その場では早く進むかもしれません。しかし、それが続けば、子どもが自分で考える時間が少なくなることもあります。

反対に、何でも「自分で考えなさい」と突き放せばよいわけでもありません。前の単元が抜けている場合や、今の子どもにとって難しすぎる問題では、適切な助けが必要です。

家庭で大切なのは、「教えるか、教えないか」の二択ではありません。

どこまで一人でできるのかを見て、必要なところだけ支えることです。

成績が伸びないことを、すぐに能力の問題にしない
問題を先延ばしに

勉強を続けているのに成績が上がらないと、保護者の方も不安になると思います。

「この子は勉強が苦手なのではないか」「理解力が低いのではないか」「これ以上やっても伸びないのではないか」と考えてしまうこともあるでしょう。

しかし、成績が伸びないという結果だけで、その子の能力について判断することはできません。

取り組み方が合っていないのかもしれません。理解したつもりで先へ進んでいるのかもしれません。間違い直しができていないのかもしれません。今の単元より前に、理解が抜けているところがあるのかもしれません。

私がこれまで小学生を指導してきた中でも、伸び悩んでいた子が、どこでつまずいているのかを見つけ、学習の仕方を変えることで、少しずつできる問題を増やしていったことがあります。

成績が上がらないときに必要なのは、いつでも「もっと頑張らせること」ではありません。

何ができていて、どこからできなくなっているのかを見つけること。

そこが分かれば、次に何をすればよいのかも見えやすくなります。

まとめ|成績が伸びないときは「もっと勉強」より先に止まっている場所を見る

小学生の成績が伸びないと、「勉強時間が足りないのではないか」「もっと問題集をやらせた方がよいのではないか」と考えたくなると思います。

もちろん、そもそもの勉強量が不足している場合には、学習する時間を増やす必要があります。

ただし、すでに勉強しているのに成績が上がらないのであれば、量を増やす前に、その勉強がどこまで学力に変わっているのかを見てください。

確認したいのは、

1.取り組めているか
2.理解できているか
3.時間を置いても一人で再現できるか
4.間違いを修正できているか
5.別の問題にも使えるか

という5つです。

すべてを毎日細かく確認する必要はありません。

ただ、
「もっとやらせる」前に、「どこで止まっているのか」を見る。

この視点を持っているだけで、勉強時間を増やすべきなのか、前の単元へ戻るべきなのか、一人で解く時間を作るべきなのか、間違い直しを見直すべきなのかが見えやすくなります。

成績を伸ばすために大切なのは、勉強した時間や問題数を増やすことだけではありません。

できなかったことを一つずつ、できることに変えていくことです。

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