勉強をしない子供への対処法について

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勉強をしないわが子を叱るのは、本当に良いことですか?

執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)

最終更新日 2022年11月16日

「なかなかわが子が勉強してくれない」ということで悩まれる親御さんも多いですね。
そこでこちらのページでは、これまで1万人以上の保護者を指導してきた私の経験から、「勉強しないわが子への対処法」をお伝えします。

「子供が勉強をしない」「勉強をしない小学生の子供をどうすれば机に向かわせられるのか?」という、お子さんのやる気についてのご相談はかなり多いです。


先日、佐藤さんという保護者の方のご相談を受けていました。
佐藤さんは双子の小学1年生の父親で、とても教育熱心な銀行員の方です。

今回私にご相談くださったのは、

・子供がすぐ勉強に取り掛からない
・勉強をしても周囲のことに刺激されなかなか集中してくれない

「小学生の子供が勉強しない」というお悩みですね。

さて、これらについての解決も必要でしたがよくよくお話を聞いてみると、佐藤さんのなかにはもっと深い迷いがあることがわかりました。

それは、こんな悩みです。

「うちの子が勉強をしないときに、妻が子供を叱ります。でも、わが子を信じてあげるなら、叱るのはどうかなと思っています。妻はやりすぎじゃないのかなと、子供を可哀想に思ってしまいます。勉強をしないわが子を、叱ってもよいのでしょうか?」

これについては、幼児教育について深く学ばれるほどに、迷うようになっていかれると思います。

興味深いテーマですから、今回の記事で取り上げましょう。

それでは、はじめていきます。


なぜ勉強するのか?
叱る親2

まずあなたに1つご質問です。
気軽な気持ちで考えてみてください。

■ 質問
「子供はなぜ勉強すべきですか?」

これに関して、人によって答えが分かれてくると思います。
ただ、勉強をしない子供を勉強に向かわせるためには、この答えについて正しく認識しておくことはとても大切です。


実際に私の教室でもご質問すると、返ってくる答えは・・・

・勉強をすると賢くなるから
・子供は勉強すべきだと決まっている
・学歴があると就職に有利だから
・自分が勉強をしてこなくて、失敗したと思ったから

などなど、こんなところでしょうか。

でも、これらは全て主観です。
常識のように感じますが、明確な裏付けはないんですね。

たとえば、勉強すると賢くなるというのはどういう結果で測定できるのか?

また、学歴があると、就職に有利なのはどんなデータに基づいているのか?

実際のところは、分からないんです。
あくまでも、「自分はこう思う」という主観にすぎないのだと思います。


それでは何が参考になるかといえば、「勉強することで収入がどうなるか」という客観的なデータです。

少しマニアックなのですが、参考になるデータは2つあります。

1つ目のデータは、シカゴのベッカー教授の研究です。
ベッカー教授は、子供への教育と、将来の収入の相関関係を調べました。
詳細はここでは語りませんが、勉強をして学力を高めることで収入も明らかにアップしたそうです。
ただ、これは外国の研究なので、日本の社会にあてはまるかは正直なところ分かりません。

2つ目のデータは、2013年の学歴と年収の調査。
この調査は16万人の30代を対象に「卒業大学」「現在の年収」についてアンケートを取った大規模調査です。
この調査からも、学歴と年収の相関関係が見られています。

これらの2つの調査結果から、「おそらく、勉強をした方が将来子供の収入面にプラスになる」という部分については、正しいのではないかと思います。

つまり、「将来子供がきちんとお金を稼ぎ、豊かな暮らしをできるように」というのが、「子供が勉強した方が良い客観的な理由」と言えると思います。


まあ、当たり前といえば、当たり前なのですが・・・
「なんとなく、勉強をさせた方が良さそうだと思う」という主観的な動機ではなく、ある程度の根拠に基づくことで、子供を勉強させるということに、自信を持つことができると思います。


さて、そこで次の問題が発生します。

私たち大人は、「子供は勉強した方が良い」ということを理解していますが、それは子供には伝わりません。

なぜなら、

勉強をしたことによるご褒美=収入

は、10年以上先の話だからです。
今のお子さんの年齢では、まだまだ見えないわけですね。
まだまだ先で具体的にイメージできないので、この理由を伝えたとことで、子供は勉強をしないのです。


先のご褒美は行動につながらない
叱る親3

人間は、すぐにご褒美がもらえないとやる気が無くなってしまいます。

たとえば、ダイエットもそうです。
「今日の夕食を少なくしたら、5年後に痩せます」というのなら、全然頑張れません。

当然、私も無理です。(笑)

また、お仕事も同じですね。
「今週残業をしたら、3年後に10万円を支給するよ」と言われても、やる気は出ません。

これはご褒美ではなく、罰に関しても同じですね。

たとえばタバコ。

タバコを吸うことによる害は、数十年後に出ることが多いです。
20代のときに吸ったタバコの影響で50代で肺がんになるのです。

でも、やめられない人は多いです。

なぜやめられないかというと、

体に害が出る=罰を受ける

のが、あまりにも先だからです。

「タバコを吸った5分後に息が10分くらい苦しくなる」というのであれば、多くの方は、禁煙に成功するのだと思います。


大人でもこのような状況ですから、未熟な子供の場合はなおさらです。
ご褒美や罰がすぐに与えられないと、行動ができないんです。

「将来のために」という概念は、小学生までの子に理解できませんし、やる気にはつながらないんです。
あまりにも先すぎますし、具体的にイメージもできないので、そもそも実感が湧かないんですね。

それでは、私たち大人は、どうやって勉強をしない子供を導くべきでしょう。


子供がすぐに勉強する3つの動機
叱る親4

私の教室では子供が勉強する理由は、5段階あるとお伝えしています。
勉強をしないお子さんを、上手に導いていくためには、この5段階を意識しながら、その状況に沿ったアプローチが効果的です。

段階1 短期的な快楽のため
段階2 親に認められたい
段階3 友達や先生に認められたい
段階4 目標を達成する満足感
段階5 自分は勉強ができる子なんだ


段階3まで行けば、子供は勝手に勉強してくれますが、多くの親御さんは段階2までで困っておられます。

この5段階の段階1、段階2あたりで親ができる動機づけは3つあります。

以下の3つの動機を作ることで、すぐに勉強をさせられます。

1.親に叱られたくない
2.親に誉められたい
3.ご褒美が欲しい


この3つこそが、子供が勉強する現実的な理由になってきます。
特に小学校低学年以下のお子さんは、まだ塾などに通っていません。
ですから、自分の実力を、周囲に認めてもらうのは難しい。
つまり、段階3までに行くのは、小学校高学年以降になるんですね。

冒頭でご紹介した佐藤さんの子供は、まだ小学校1年生です。
そのため、勉強に向かわせるには、この3つを使うのが現実的なのです。

3つを駆使しながら、上手に学習習慣を身に付けさせます。


それじゃ、叱ってもいいの?
叱る親5

1.親に叱られたくない
2.親に誉められたい
3.ご褒美が欲しい


この3つが子供が勉強するための、現実的な動機になっていくのですが、よく疑問を抱かれるのは、1番と3番についてです。

3番については、以下記事に詳しくご紹介しているのでよければ参考にしてください。

ここでは、1番についてお話しましょう。

「子供を叱りつけてまで、勉強させても良いのでしょうか?」という、冒頭の佐藤さんが質問されたようなことですね。

結果から言うと・・・叱っても大丈夫です。

といいますか、小学校低学年の子は叱らないと、勉強しないことが多いです。

「もういい加減にして、いつになったら公文をするの?」
「プリントを1枚するのに、どうして1時間もかかるの!」
「もう、早くしなさい!」

というような罵声ですね。(笑)

お母さま、お父さまも人間ですから、お子さんに対して多少感情的になってしまうこともあります。そして、若干の厳しさもお子さんの教育には大切です。

ただ、実はここで大切なことが4つあります。
ここは抑えておきたいポイントです。


1つめのポイントは、「なぜ、叱るのか?」ということを子供が理解していることです。

子供は勉強しないことを、なぜ叱られるのでしょうか?

ここが筋が通っていないと、お子さんは納得できません。
理不尽に叱られたと思い、自信を失ってしまうこともあります。
あなたがなぜ子供を叱るのかを、きちんと伝えてあげてください。


2つめのポイントは、「学習習慣がつくまでは、一緒に勉強する必要がある」ということを知っておくことです。
勉強は早起きや運動と同じで、習慣になれば苦痛が減ってきます。
ですから、学習習慣がつけば、あまり叱らなくても大丈夫です。

逆にいえば、習慣がつくまでが勝負なのだとも言えます。
学習習慣を付けるために大切なのは、親が一緒に勉強することです。
口でいうだけでなく、一緒に勉強することが大切です。
かなり労力が必要と思いますが、学習習慣が身につくまでは、覚悟を決めてください。


3つめのポイントは、「勉強をきちんとやり遂げたらその努力を誉めてあげる」ということです。
子供は親に誉められることが、大きなご褒美になりますからね。
勉強をやり遂げた直後にぜひ誉めてあげてください。
ご褒美はすぐに与えないと、その効果が薄れてしまいますので、できる限り早く誉めてあげるのがポイントです。


4つめのポイントは、「お子さんが理解が悪いことを叱らない」ということです。
これは、お子さんを東大理Ⅲに首席で合格させた上田先生から、私が教えてもらいました。

お子さんの理解が悪いと、「なんで、こんなものも分からないの?」とイライラしてしまいがちです。

しかし、叱ったところでお子さんの理解が早くなるわけではないですし、お子さんが怠けているわけではないです。
また、勉強を教える側の説明の方法がよくないのかもしれません。

ここを叱ることにエネルギーを使うのであれば、もっと分かりやすく教えてあげることにエネルギーを使った方が合理的だと言えます。


子供の立場に立ってみる
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冒頭でご紹介した佐藤さんに、私はもう1つアドバイスをしました。

それは、「子供の立場に立ってみましょう」という内容です。

このアドバイスをしたときに、佐藤さんはハッと目が覚めました。

親の立場から考えてみると、「将来自立し、きちんと稼げるために勉強をした方がよい」というのはあたり前なのですが、子供にはそれが見えていません。

子供の立場からしてみると、「楽しいことがいっぱいあるのに、なんで勉強なんて・・・」というのが正直な気持ちなのです。
ですから、短期的なご褒美がないと勉強する気になれないんですね。

その短期的なご褒美を用意し、うまく勉強に導くのが「親の腕のみせどころ」だと言えますね。


「うちの子は、どうしてなかなか勉強をしてくれないんだろう」・・・こんな悩みをお持ちであれば、まずは子供の立場になってその気持ちを考えてみてください。

そして、お子さんの心のなかを、理解しようとしてみてください。

それが大きな1歩になると思います。

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