子供の人間関係に親はどこまで関わる?友達を選ぶ前に見るべきこと
最終更新日 2026年07月31日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
「子供の友達関係に、どこまで関わればよいのだろうか」
「できれば、良い影響を受ける友達と付き合ってほしい」
「あまり仲良くしてほしくない子がいるとき、どう対応すればよいのだろうか」
このように悩まれる保護者の方は少なくありません。
子供は、友達からさまざまな影響を受けます。言葉遣い、遊び方、態度、学習への姿勢、物事の考え方など、周囲の子供との関わりの中で変化していくことがあります。
そのため、ご家庭では、
「最近、言葉遣いが荒くなった気がする」
「友達に合わせすぎているのではないか」
「嫌なことをされているのに、無理に笑っているのではないか」
「このまま見守っていてよいのか、それとも大人が関わった方がよいのか」
と不安になることもあると思います。
ここで見落としやすいのは、「よくない友達を遠ざければ、子供の人間関係は良くなる」と考えてしまうことです。
もちろん、いじめ、暴力、脅し、強い支配関係、金銭トラブルなどがある場合には、大人が早めに関わる必要があります。子供の安全や心の安定が脅かされているときまで、「子供同士のことだから」と見守り続ける必要はありません。
しかし、普段の友達関係まで周囲の大人がすべて管理しようとすると、子供は人との距離感、断り方、相談の仕方、人を見る力を育てる機会を失ってしまうことがあります。
大切なのは、友達関係をすべて大人が決めることではありません。お子さまの様子を見ながら、安心して話せる親子関係を作り、必要な場面ではきちんと関わり、普段は子供が人間関係を学べるように支えることです。
この記事では、子供の人間関係への親の関わり方と見守り方を整理します。そのうえで、子供の友達関係に親がどこまで関わるべきか、どの場面では見守り、どの場面では親が介入する必要があるのか、家庭でできる声かけとともに解説します。
【この記事で分かること】
- 子供の人間関係に親はどこまで関わるべきか
- 友達の良し悪しより先に確認したい子供の変化
- 仲良くしてほしくない友達がいるときの考え方
- 子供が友達に合わせすぎているときに見たいサイン
- 幼児期と小学生以降で変わる親の関わり方
- 見守る場面と大人が関わるべき場面の判断基準
- 嫌なことを断り、相手と距離を取るための具体的な言葉
- 友達関係の悩みを安心して相談できる親子関係の作り方
子供の友達関係に悩むのは自然なこと
子供の友達関係について不安になるのは、とても自然なことです。
子供は家庭だけで育つわけではありません。園や学校、習い事、公園、地域の集まりなど、さまざまな場で友達と関わりながら成長していきます。
友達との関わりの中で、子供は楽しい経験をします。協力すること、順番を待つこと、相手の気持ちを考えること、自分の気持ちを伝えることも学びます。
一方で、うまくいかない経験もあります。
仲間に入れてもらえない。強い言い方をされる。自分の意見を言えずに合わせてしまう。嫌なことをされても、嫌と言えない。
このような場面があると、ご家庭で心配になるのは当然です。特に、急に乱暴な言葉を使うようになった、友達の話になると口数が減る、特定の友達にいつも合わせている、遊んだ後に疲れた表情をしているといった変化があると、「距離を置かせた方がよいのではないか」と感じることもあるでしょう。
幼児教室ひまわりでも、保護者の方から友達関係についてご相談を受けることがあります。
「子供が友達から悪い影響を受け、乱暴な言葉を使うようになった気がします」
「子供は友達に影響されやすいので、乱暴な友達とは遊ばせたくないと思ってしまいます」
「仲良くしてほしくない友達がいるとき、子供の友達を親が選んでもよいのでしょうか」
「子供の友達とのトラブルが続くなら、その友達とは距離を置かせた方がよいのでしょうか」
「仲の良い子に合わせすぎている気がします」
「子供の友達関係に、どこまで口を出してよいのか分かりません」
このようなご相談を受けるとき、最初から「その子と遊ばせない方がよい」とは判断しません。
まず見るのは、お子さまがその関係の中で安心して過ごせているか、自分の気持ちを言えているか、困ったときに家庭で話せる状態かです。
友達の影響は、確かにあります。
ただし、友達の影響を心配するあまり、相手の子をすぐに「良い子」「悪い子」と分けてしまうと、本当に見るべきものを見落としてしまうことがあります。
実際のご相談では、仲の良い子にいつも合わせ、遊んだ後に疲れた表情を見せるお子さまがいました。保護者の方は、「その子とは距離を置かせた方がよいのではないか」と悩まれていました。
しかし、詳しく見ていくと、お子さまはその友達を嫌っているわけではなく、遊びたい気持ちはあるものの、自分の希望を言ったり、嫌なことを断ったりするのが苦手な状態でした。
そこで、すぐに関係を切るのではなく、「今日は別の遊びをしたい」「それはやめて」と伝える言葉を家庭で練習し、必要なときは先生にも近くで見てもらうようにしました。
見るべきなのは、相手の子を一方的に評価することではありません。その関係の中で、わが子がどう感じ、どう振る舞い、どのような変化を見せているかです。
子供の人間関係で見落としやすいこと
子供の人間関係で見落としやすいのは、「付き合う相手を大人が選べば、子供を守れる」と考えてしまうことです。
もちろん、環境を整えることは大切です。幼児期であれば、どの園に通うか、どの習い事に行くか、どの家庭と関わるかなど、保護者の方の判断が子供の人間関係に大きく影響します。
しかし、子供が成長するにつれて、友達関係は少しずつ子供自身の世界になっていきます。そこで周囲の大人がすべてを管理しようとすると、子供は人との距離感や断り方、相談の仕方を学ぶ経験を積みにくくなることがあります。
よくない友達を遠ざければ安心だと思ってしまう
保護者の方は、子供を守りたいからこそ、できるだけ良い環境を用意したいと考えます。
「勉強を頑張る子と仲良くしてほしい」
「優しい子と遊んでほしい」
「乱暴な子とは距離を置いてほしい」
「意地悪なことを言う子とは関わってほしくない」
このように感じることは自然です。
ただ、子供の人間関係は、大人が「よい友達」と「よくない友達」を選び分ければ整う、という単純なものではありません。
子供にとって大切なのは、誰と付き合うかだけではありません。
その相手とどのような距離感で関わるか、嫌なことをされたときにどう伝えるか、合わない相手とどう距離を取るか、困ったときに誰に相談するかです。
もし大人が先回りして、子供が困りそうな相手をすべて遠ざけてしまうと、子供は人間関係の中で必要な経験を積みにくくなります。
大切なのは、友達を完全に選んであげることではありません。
子供が人間関係の中で感じたことを言葉にできるようにし、必要なときに相談できる状態を作ることです。
「良い子・悪い子」で友達を判断してしまう
子供の友達関係を考えるとき、周囲の大人はつい相手の子を評価したくなります。
「あの子はしっかりしている」
「あの子は少し乱暴」
「あの子はわがまま」
「あの子とは合わない気がする」
もちろん、見ていて気になる行動がある場合もあります。言葉遣いが強い、遊び方が乱暴、約束を守らない、相手を振り回すなど、心配になる場面もあるでしょう。
ただし、ここで相手の子を「良い子」「悪い子」と決めつけすぎると、問題の本質を見誤ることがあります。
見るべきなのは、相手の子を一方的に評価することではありません。
わが子がその関係の中で安心して過ごせているか、自分の気持ちを出せているか、無理をして合わせていないかです。
相手の子が活発で自己主張が強い場合でも、わが子が楽しそうに関わり、自分の意見も言えているなら、大きな問題ではないかもしれません。反対に、一見「良い子」に見える相手でも、わが子がいつも我慢していたり、相手に合わせすぎて疲れていたりするなら、その関係の中で何が起きているのかを丁寧に見る必要があります。
人間関係で大切なのは、友達の印象だけではありません。
その関係の中で、子供が自分を失わずにいられるかどうかです。
子供の話を聞く前に結論を出してしまう
子供が友達のことで悩んでいるとき、周囲の大人はすぐに解決したくなります。
「そんな子とはもう遊ばなくていい」
「先生に言っておくから」
「気にしすぎじゃない?」
このように、子供の話を最後まで聞く前に、結論を出してしまうことがあります。
しかし、子供の話は断片的なこともあります。子供自身も、何が嫌だったのか、どうしたかったのか、まだ整理できていないことがあります。
その状態で大人が先に結論を出してしまうと、子供は「話すとすぐに決められてしまう」と感じ、次に困ったことがあっても話しにくくなってしまうかもしれません。
子供が友達のことを話さないときも、「何もないのだろう」と決めつけず、日常の会話の中に話せる入口を残しておくことが大切です。
子供が友達のことで話し始めたとき、最初に必要なのは正しい答えを出すことではありません。
「それは嫌だったね」
「そのとき、どう思ったの?」
「本当はどうしたかった?」
「また同じことがあったら、どうしたい?」
このように、まず子供の気持ちを整理することが大切です。
すぐに結論を出さずに聞いてもらえると、子供は「困ったときには相談していい」と感じやすくなります。
見守りと放置を混同してしまう
一方で、「子供の人間関係は子供に任せた方がよい」と考えすぎることにも注意が必要です。
見守ることは、何もしないことではありません。
子供同士の小さなけんかやすれ違いは、学びになることがあります。自分の気持ちを伝える、相手の気持ちを考える、謝る、距離を取る、もう一度関わってみる。こうした経験を通して、子供は少しずつ人間関係を学んでいきます。
しかし、いじめ、暴力、脅し、金銭要求、継続的な仲間外れ、強い支配関係などがある場合は、見守りでは済ませられません。
また、登園や登校を嫌がる、眠れない、食欲が落ちる、急に元気がなくなる、友達の話を避けるようになるなどの変化がある場合も、早めに状況を確認する必要があります。
干渉しすぎないことは大切です。
しかし、子供が傷つき続けているときまで、子供同士に任せる必要はありません。
大切なのは、すべてを管理することでも、すべてを本人任せにすることでもありません。
子供の様子を見ながら、見守る場面と大人が関わるべき場面を分けることです。
見るべきなのは「友達の良し悪し」ではなく子供の様子
子供の友達関係で見るべきなのは、「その友達が良い子か悪い子か」だけではありません。
もちろん、相手の言動を見ることも必要です。乱暴な言葉が多い、約束を守らない、相手を傷つける行動がある、危険な遊びに誘うなど、注意すべき場面はあります。
ただ、それ以上に大切なのは、わが子がその関係の中でどのような状態になっているかです。
子供は、自分の人間関係のつらさを、必ずしも分かりやすく言葉にできるわけではありません。
子供が友達関係のストレスを抱えていても、「つらい」と言葉にできるとは限りません。友達に合わせすぎて我慢し、嫌と言えない、誘いや要求を断れないまま、友達関係に疲れていることもあります。
「嫌だった」
「本当は行きたくない」
「一緒にいると疲れる」
「断るのが怖い」
このように言えれば分かりやすいですが、実際には言葉にできず、別の形でサインが出ることがあります。
幼児教室ひまわりでは、友達関係のご相談を受ける際、相手の子の評判だけでなく、次のようなお子さまの変化を確認しています。以下は、ご家庭でも確認しやすい形に整理した目安です。
ここで大切なのは、子供を問い詰めないことです。
「何かあったの?」
「誰に何をされたの?」
「どうして言わなかったの?」
と強く聞くと、子供は責められているように感じてしまうことがあります。
まずは、
「最近、遊んだ後に疲れているように見えるけど、大丈夫?」
「友達といるとき、楽しいこともある?嫌なこともある?」
「困ったことがあったら、いつでも話していいよ」
というように、話せる入口を作ることが大切です。
子供がすぐに話さなくても、保護者の方が関心を向け続けていることは伝わります。
そして、「話しても怒られない」「すぐに決めつけられない」と感じられると、子供は少しずつ本音を出しやすくなります。
子供の友達関係を見るとき、大人は相手の子を評価したくなることがあります。
しかし、本当に見るべきなのは、わが子がその関係の中で安心して過ごせているか、自分の気持ちを言えているか、困ったときに相談できる状態かです。
友達を選ぶことよりも、子供の変化に気づけること。
人間関係を管理することよりも、子供が安心して相談できる関係を作ること。
そこが、子供の人間関係を支えるうえで最も大切な土台になります。
子供の友達関係にはどこまで関わるべきか
子供の友達関係にどこまで関わるべきかは、年齢や状況によって変わります。
幼児期は、ご家庭が環境を整える割合が大きくなります。一方で、小学生以降になると、学校での人間関係が広がり、保護者の方がすべてを把握することは難しくなっていきます。
そのため、「どこまで口を出すべきか」と一律に考えるより、年齢や状況に応じて関わり方を変えていくことが大切です。
幼児期は、環境を整える割合が大きい
幼児の友達関係では、親が環境を整える割合が大きくなります。幼児同士の友達トラブルでは、本人が状況をうまく説明できないこともあります。幼児が友達に嫌と言えない様子があるときは、親が遊んだ後の表情や行動の変化を確認することが大切です。
どの園に通うか。
どの習い事に行くか。
どの公園で遊ぶか。
どのご家庭と交流するか。
こうした環境は、まだ子供が自分で選ぶというより、ご家庭の判断によって決まることが多いです。
そのため、乱暴な遊びが多くて不安がある、子供がいつも緊張している、安心して遊べていないと感じる場合には、環境を見直すことも必要です。
ただし、保護者の方の好みだけで友達関係を決めないことも大切です。
「この子はしっかりしているからよい」
「この子は活発すぎるから合わない」
「この子は勉強ができそうだから仲良くしてほしい」
というように、大人の価値観だけで判断すると、子供自身が楽しめているか、安心できているかを見落としてしまうことがあります。
環境を整えることは、友達を選別するためではありません。
子供が安心して人と関われる場を作るためです。
小学生以降は、子供自身の世界が広がる
小学生以降になると、友達関係は少しずつ子供自身の世界になっていきます。
学校で誰と遊んでいるのか、休み時間に何があったのか、登下校中にどんな会話をしているのか。保護者の方がすべてを知ることはできません。
だからこそ、小学生以降は、友達関係を細かく管理するよりも、普段から話せる関係を作っておくことが大切です。
「今日は誰と遊んだの?」
「楽しかったことはあった?」
「嫌だったことはなかった?」
「困ったことがあれば、一緒に考えるよ」
このような会話を日常の中で少しずつ続けることで、子供は「友達のことを話してもいいんだ」と感じやすくなります。
子供が「今日、友達に嫌なことを言われた」と話したときも、すぐに「そんな子とはもう遊ばなくていい」と決めるのではなく、まずは「それは嫌だったね」「そのとき、どうしたの?」と受け止めることが大切です。
そのうえで、子供自身がどうしたいのかを一緒に考えていく。
この積み重ねが、相談できる親子関係につながります。
家庭に招くかどうかは、大人が判断してよい
学校や園での関わりを、ご家庭ですべて決めることはできません。
ただし、家庭に招くかどうか、どこで遊ぶか、どのようなルールで遊ぶかは、大人が判断してよい部分です。
たとえば、
「家に来るときは、保護者の方に確認してからにする」
「ゲームをする時間は決めておく」
「危ない遊びはしない」
「お金や物の貸し借りはしない」
「子供だけで遠くには行かない」
このような家庭のルールは、友達を選別するためではなく、子供の安心と安全を守るための線引きです。
相手の子を「よい子」「悪い子」と分けるよりも、まずは家庭の中で守りたいルールを明確にすることが大切です。
「わが家では、このルールを守って遊ぶ」
「安心して過ごせない場合は、家では遊ばない」
「必要なときは大人が近くで見守る」
という形にすると、子供にも伝わりやすくなります。
友達関係をすべて管理するのではなく、家庭の中で守るべき線を決める。
この考え方が、子供の自由と安全を両立させるうえで大切です。
見守る場面と大人が関わるべき場面の判断基準
子供の友達関係では、見守った方がよい場面と、大人が早めに関わった方がよい場面があります。
小さなけんかやすれ違いは、人間関係を学ぶ機会になることがあります。自分の気持ちを伝える、相手の気持ちを考える、謝る、もう一度関わる、少し距離を取る。こうした経験を通して、子供は少しずつ人との関わり方を身につけていきます。
しかし、すべてを「子供同士のこと」として見守ってよいわけではありません。
「いじめ防止対策推進法」では、学校に対し、いじめを受けた児童生徒への支援、保護者への情報提供や助言など、必要な措置を取ることが求められています。また、生命・身体・財産に重大な被害が生じるおそれがある場合には、警察との連携も定められています。
文部科学省も、いじめに関する法令や基本方針、子供本人や保護者が利用できる相談窓口を案内しています。
つまり、子供が傷つき続けている場合や、安全が脅かされている場合には、家庭だけで抱え込む必要はありません。園や学校、必要に応じて相談窓口とつながることが大切です。
判断の目安としては、次のように考えると分かりやすいです。
以下は、幼児教室ひまわりでの教育相談と、文部科学省・こども家庭庁の案内を参考に、見守る場面と大人が関わる場面を家庭向けの目安として整理したものです。
ここで気をつけたいのは、子供が「大丈夫」と言っていても、本当に大丈夫とは限らないことです。
子供は、保護者の方に心配をかけたくないと思って、困っていることを隠すことがあります。
「自分が悪いのかもしれない」と思い込んでいることもあります。
友達関係が壊れることを恐れて、嫌なことを嫌と言えないこともあります。
だからこそ、言葉だけでなく、表情、食欲、睡眠、登園・登校の様子、友達の話をするかどうかなども見ていく必要があります。
もし、子供の様子に強い変化がある場合や、いじめ、暴力、脅し、金銭トラブル、SNS上のトラブルなどがある場合は、早めに周囲の大人と連携しましょう。
子供の友達関係について学校に相談するときは、まず担任の先生に、いつ・どこで・何があったかと、家庭で見られる変化を伝えます。園児の場合は園の先生に相談します。必要であれば、スクールカウンセラーや相談窓口につなぎましょう。
文部科学省は、子供本人や保護者が利用できる「子供のSOSの相談窓口」を案内しています。こども家庭庁も、いじめ、心の悩み、ネット・SNS・アプリ・金銭等のトラブルなど、子供や子育て中の保護者が相談できる窓口を案内しています。
見守ることは大切です。
しかし、子供が傷つき続けているときまで、家庭だけで抱える必要はありません。
ご家庭でできることと、園や学校、専門機関につなぐことを分けて考える。
それが、子供の安心を守るうえで大切です。
【参考情報】文部科学省「いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)
【参考情報】文部科学省「子供のSOSの相談窓口」
【参考情報】こども家庭庁「相談窓口」
子供が友達関係で悩んだときの声かけと家庭でできること
子供が友達関係で悩んでいるとき、大人が最初にすることは、正しい解決策を出すことではありません。
まず大切なのは、子供が安心して話せるようにすることです。
友達関係の悩みは、子供にとってとても繊細です。
「自分が悪かったのかな」
「話したら大ごとになるかな」
「もう遊ぶなと言われるかな」
「先生に言われたら困るな」
このように考えて、なかなか本音を話せないことがあります。
だからこそ、子供が少しでも話し始めたときには、すぐに結論を出すのではなく、まず気持ちを受け止めることが大切です。
まず気持ちを受け止め、一緒に考える
子供が「友達に嫌なことを言われた」と話したとき、すぐに、
「そんな子とはもう遊ばなくていい」
「言い返せばよかったのに」
「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」
と言いたくなることがあるかもしれません。
しかし、最初から解決策や評価を返すと、子供は「話したら責められる」「話したらすぐに決められる」と感じてしまうことがあります。
まずは、
「それは嫌だったね」
「話してくれてありがとう」
「そのとき、どんな気持ちだった?」
「本当はどうしたかった?」
と、気持ちを受け止めることから始めます。
そのうえで、
「次に同じことがあったら、どうしたい?」
「自分で言えそう?それとも先生に近くにいてもらう?」
「先生に相談するなら、どんなふうに伝えたい?」
と一緒に考えていきます。
大人がすべてを決めるのではなく、子供の気持ちを聞きながら一緒に考える。
この経験が、子供の相談する力や判断する力につながります。
嫌なことは嫌と言い、距離を取ってよいと伝える
子供の中には、嫌なことをされても「嫌」と言えない子がいます。
相手を怒らせたくない。
仲間外れにされたくない。
自分が我慢すればいい。
嫌と言うのはわがままかもしれない。
このように感じていることがあります。
そのため、ご家庭では、普段から「嫌なことは嫌と言ってよい」と伝えておくことが大切です。
たとえば、
「それはやめて」
「今はしたくない」
「その言い方は嫌だよ」
「今日は別の遊びをするね」
「困ったら先生に言うね」
このような言葉を、具体的に教えておくとよいでしょう。
また、人間関係では、誰とでも同じように仲良くできるわけではありません。性格が合わない子もいます。遊び方が違う子もいます。一緒にいると疲れる相手もいます。
そのようなとき、「もう絶対に遊ばない」と決めるだけが方法ではありません。
少し距離を取る。
別の遊びを選ぶ。
一対一ではなく、何人かで遊ぶ。
嫌なことが続くときは先生に伝える。
無理に合わせすぎない。
このように、距離を調整する方法を知っておくことも、人間関係では大切です。
子供には、
「みんなと同じ距離で仲良くしなくてもいい」
「一緒にいると疲れる相手とは、少し離れてもいい」
「嫌なことが続くときは、大人に相談していい」
と伝えておきましょう。
嫌と言うことは、相手を攻撃することではありません。
自分を守るために、必要な気持ちを伝えることです。
相談しても怒られない空気を作る
子供が友達関係で困ったときに一番大切なのは、「相談しても大丈夫」と感じられることです。
もし子供が話したときに、
「どうしてそんな子と遊んだの」
「だから言ったでしょう」
「あなたがはっきりしないからでしょう」
と言われると、次から話しにくくなります。
もちろん、子供自身にも考えるべきことがある場合はあります。
ただ、それを伝えるのは、まず気持ちを受け止めた後です。
「話してくれてよかった」
「一人で抱えなくていいよ」
「どうしたらいいか、一緒に考えよう」
「必要なときは、大人も動くからね」
このような言葉があると、子供は安心して相談しやすくなります。
実際のご相談でも、子供が友達関係で困っているとき、保護者の方がすぐに結論を出すより、まず気持ちを受け止めた方が、その後の状況を話しやすくなることがあります。
相談できる親子関係は、急に作れるものではありません。
日頃から、「話しても怒られない」「困ったら一緒に考えてもらえる」という経験を積み重ねることで育っていきます。
まとめ|友達を選ぶより、相談できる親子関係を作る
子供の友達関係に、保護者の方が不安を感じるのは自然なことです。
子供は友達から影響を受けます。そのため、「この友達と付き合っていて大丈夫だろうか」「距離を置かせた方がよいのではないか」と考えることもあるでしょう。
しかし、よくない友達を遠ざければ、子供の人間関係がすべて良くなるわけではありません。
大切なのは、友達関係をすべて大人が決めることではなく、子供が人との距離感、断り方、相談の仕方を少しずつ学べるように支えることです。
見るべきなのは、相手の子の良し悪しだけではありません。
わが子がその関係の中で安心して過ごせているか。
自分の気持ちを言えているか。
無理に合わせすぎていないか。
困ったときに相談できる状態か。
こうした様子を見ていくことが大切です。
もちろん、いじめ、暴力、脅し、金銭要求、継続的な仲間外れ、強い支配関係などがある場合は、見守るだけでは不十分です。子供の安全や心の安定が脅かされているときには、早めに大人が関わり、園や学校、必要な相談先につなぐことが必要です。
子供の人間関係で大人ができることは、友達をすべて選ぶことではありません。
子供が安心して人と関わり、嫌なことは嫌と言い、困ったときには相談できる土台を育てることです。
先回りしてすべてを整えるのではなく、子供の様子を見ながら、必要なときにはしっかり関わり、普段は人間関係を学ぶ経験を支えていきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回の記事では、子供の人間関係を支えるためには、友達をすべて大人が選ぶのではなく、子供の様子を見ながら、困ったときに安心して相談できる関係を作ることが大切だとお伝えしました。
これは、友達関係だけの話ではありません。子育てでは、どこまで見守るか、いつ大人が関わるか、子供の話をどう聞くか、嫌がっているときに何を見ればよいかなど、判断に迷う場面が何度もあります。
当教室のメールマガジンでは、
・子供の変化や困りごとに気づくための見方
・自分の気持ちを話せる親子関係の作り方
・子育てで迷ったときに役立つ判断基準
たとえばこのような点について、実際の教育相談や指導経験をもとに詳しくお伝えしています。
「子供の人間関係に、どこまで関わればよいか迷っている」
「子供が困ったときに、相談してもらえる親でいたい」
「先回りしすぎず、必要な場面ではきちんと支えられるようになりたい」
という方は、ぜひ参考になさってください。
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