子供の想像力の鍛え方|想像力が豊かな子を育てる遊びと親の関わり方
最終更新日 2026年09月03日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
幼児教室ひまわりの熊野です。
私は中学受験を経験して灘中学・灘高校へ進み、その後、大阪大学医学部へ現役で進学しました。学生時代から塾講師や学習アドバイザーとして教育に携わり、2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの能力を伸ばす家庭での関わり方について、多くの保護者の方とお話ししてきました。
子どもの想像力について、
「絵本をたくさん読めば、想像力は豊かになるのでしょうか」
「ごっこ遊びをあまりしないので、想像力が乏しいのではないかと心配です」
「いろいろな場所へ連れて行って、できるだけ多くの経験をさせた方がよいのでしょうか」
「現実にはない話ばかりするのですが、これは想像力が豊かなのか、嘘をついているのか分かりません」
といったご相談を受けることがあります。
子どもの想像力を伸ばしたいと思うと、絵本を読む、知育玩具を用意する、さまざまな場所へ連れて行くなど、「何をしてあげればよいか」を考える方が多いと思います。
もちろん、さまざまなものを見たり、聞いたり、触れたりする経験は、想像するための大切な材料になります。
ただ、ここで一つ見落としてほしくないことがあります。
想像力を育てるために必要なのは、材料をたくさん与えることだけではありません。
子どもが見たものや経験したことを、自分の中で組み合わせ、
「もし、こうだったらどうなるだろう」
「これは別のものにも見えるな」
「このお話の続きは、こうなるかもしれない」
と自由に考える余白も必要です。
ところが、子どものためを思うほど、大人は先回りして、
「これはこういうものだよ」
「空は青く描いた方が自然だよ」
「この絵本の主人公は、こういう気持ちだったんじゃない?」
と答えを示したくなることがあります。
経験を与えることは大切です。
一方で、大人が答えを決めすぎず、子ども自身が考えられる時間を残すことも、想像力を育てるうえでは大切です。
この記事では、子どもの想像力とはどのような力なのかを整理したうえで、子どもの想像力の鍛え方として、家庭でできる遊びや親の関わり方、親が見落としやすいことについてお伝えします。
【この記事で分かること】
- 子供の想像力とはどのような力なのか
- 想像力・創造力・思考力の違い
- 想像力を伸ばすときに親が見落としやすいこと
- 絵本や経験は、多ければ多いほどよいとは限らない理由
- ごっこ遊び・お絵かき・工作など家庭でできる5つの関わり方
- 子供の表現を大人の「正解」に直しすぎないための考え方
- ごっこ遊びをしない子の想像力をどう見ればよいか
- 現実にはない話をする子の「想像」と「嘘」の見分け方
- 子供の想像を広げる親の声かけと見守り方
また、幼児教室ひまわりで実際にあった「子どもが嘘をつく」というご相談をもとに、想像の世界を楽しんでいる場合と、現実の出来事について嘘をついている場合を、親がどのように見分ければよいのかについても後ほど考えていきます。
子どもの想像力とは?
「想像力が豊かな子」と聞くと、絵を描くことが好きな子や、ごっこ遊びが得意な子、次々に面白い物語を作る子を思い浮かべるかもしれません。
しかし、想像力は、そのような分かりやすい創作活動だけに表れるものではありません。
想像力とは、目の前にないものを思い浮かべる力
この記事では、想像力を、今、目の前にはないものや出来事、可能性を頭の中に思い浮かべる力として考えていきます。
たとえば、子どもが積み木を一本持って、
「これは新幹線だよ」
と言ったとします。
目の前にあるのは積み木です。
けれども、子どもの中では、これまでに見た新幹線の姿や、乗ったときの記憶、速く走る様子などがよみがえり、積み木と結びついています。
段ボール箱に入って、
「宇宙船で月に行ってくる」
と言うのも同じです。
また、絵本を読んで、
「このあと、この子はどこへ行くのかな」
と考えることもあれば、雨が降りそうな空を見ながら、
「この雲の向こうはどうなっているんだろう」
と思うこともあります。
このように、想像力は、実際に経験したことや知っていることを材料にしながら、まだ見えていないものを頭の中で思い描くときに働いています。
文部科学省の「幼稚園教育要領解説」では、絵本や物語の内容を自分の経験と結び付けたり、想像を巡らせたりしながら楽しむことで、子どもが次第に豊かなイメージを持っていくことが示されています。また、絵本や物語に触れる際には、子ども一人ひとりの感じ方や楽しみ方を大切にする必要があるとも説明されています。
この考え方を家庭での関わりに置き換えると、大切なのは、絵本や物語をただ多く与えることだけではありません。子どもが物語をどのように受け取り、そこから自分なりにイメージを広げているかを見ることです。
【参考情報】文部科学省「幼稚園教育要領解説」
想像力・創造力・思考力は少しずつ役割が違う
想像力とよく似た言葉に、「創造力」や「思考力」があります。
これらは互いに関係していますが、まったく同じものとして考える必要はありません。
この記事では分かりやすく、
想像力
目の前にないものや可能性を思い浮かべる力
創造力
思い浮かべたことをもとに、新しいものや表現を生み出していく力
思考力
分かっていることを整理し、理由や関係を考えながら答えを探していく力
と考えてみましょう。
たとえば、
「空を飛べる車があったらいいな」
と思い浮かべるところには、想像する力があります。
そこから、
「羽を付けたらどうだろう」
「車の形を変えた方がいいかな」
と考え、実際に絵や工作として形にしていけば、創造する活動へとつながっていきます。
そして、
「どうすれば落ちずに飛べるのだろう」
「重いものと軽いものでは違うかな」
と理由や仕組みを考えていけば、思考する活動にもつながります。
想像力だけを単独で鍛えようとするよりも、子どもが日常生活や遊びの中で、自由に思い浮かべ、それを試したり表現したりできる環境を作ることが大切です。
子どもの想像力を鍛えるときに親が見落としやすいこと
子どもの想像力を伸ばしたいと考える保護者の方は、とても熱心です。
だからこそ、
「もっと絵本を読んだ方がいいのでは」
「いろいろなところへ連れて行った方がいいのでは」
「知育玩具を増やした方がいいのでは」
と、何かを足す方向へ考えやすくなります。
しかし、幼児教室ひまわりで子どもの学びについて考えるとき、私は「何をさせているか」だけを見ることはありません。
その子が、自分で考える時間を持てているか。
大人がすぐに答えを言っていないか。
遊び方まで細かく決められていないか。
子どもが考えたことを、大人の基準で直しすぎていないか。
こうしたところも見ています。
「想像力のために何かをさせなければ」と考えすぎない
想像力を鍛えるために、特別な教材が必ず必要なわけではありません。
身近にある段ボール、積み木、布、石、葉っぱなどでも、子どもはさまざまなものを想像します。
一枚の布がマントになることもあれば、お店の屋根になることもあります。
小さな石を並べて、
「これは家族ね」
と遊び始めることもあります。
大人から見ると何でもないものでも、使い方が決まっていないからこそ、子ども自身が意味をつけられることがあります。
文部科学省の「幼稚園教育要領解説」では、幼児の自発的な活動としての遊びは、発達の基礎を培う重要な学習として位置づけられています。また、幼児が主体的に身近な環境へ関わり、遊びを展開していくことが重視されています。
この考え方を家庭での関わりに置き換えると、親がいつも「今日はこの知育をしよう」「この遊びをしよう」と、活動の内容や進め方まですべて決める必要はありません。
安全に遊べる環境を整えたうえで、何も決まっていないところから、
「今日は何をしようかな」
と子ども自身が考える時間を残すことも大切です。
【参考情報】文部科学省「幼児教育の重要性・遊びを通した学び」
経験は、多ければ多いほどよいわけではない
想像力を育てるうえで、さまざまな経験は大切です。
実際に見たもの、聞いた音、触った感触、人と交わした会話などは、その後に何かを想像するときの材料になります。
ただし、ここで「経験は多ければ多いほどよい」と考えないことも大切です。
毎日の予定を習い事やイベントで埋め、次から次へと新しい経験をさせても、その子が経験したことを思い出したり、自分なりの遊びに使ったりする時間がほとんどなければ、体験は次々と流れていきます。
大切なのは、経験の数だけを見ることではありません。
経験したあとに、それを自分なりに考えたり、遊び直したりできる余白があるか。
私は、想像力を育てるうえでは、そこまで含めて見たいと考えています。
幼児教室ひまわりでも、「いろいろな場所へ連れて行って、できるだけ多くの経験をさせた方がよいのでしょうか」とご相談を受けることがあります。
こうしたご相談で私が確認するのは、行った場所や体験の数だけではありません。最近経験したことが、家庭での会話、絵、ごっこ遊び、工作などに戻ってきているか。予定が詰まりすぎて、子どもが自分で遊びを考える時間が少なくなっていないか。そこまで分けて見ます。
体験を増やすこと自体が悪いわけではありません。ただ、子どもが経験したことを思い出し、自分なりに組み合わせ、もう一度遊びや表現へ変える時間まで残っているかを見ることが大切です。
具体的に経験を遊びへつなげる方法については、後ほど「実体験は、経験して終わりではなく『もう一度遊ぶ』」の中でお伝えします。
子どもの表現を、大人の正解に直しすぎない
子どもがお絵かきをしていて、赤い空を描いたとします。
大人はつい、
「空は青いよ」
と言いたくなるかもしれません。
犬を紫色で描いていれば、
「犬はそんな色じゃないでしょう」
と直したくなることもあるでしょう。
もちろん、現実の色や物の特徴を知ることも大切です。
ただし、事実を学ぶ場面と、自由に表現する場面は分けて考えてよいと思います。
「今日の夕焼けは何色だったかな」と観察する場面なら、実際の色をよく見ることに意味があります。
一方で、
「好きな空を描いてみよう」
という時間なら、緑でも赤でも、虹色でも構いません。
「この犬は紫色なんだね」
と受け止めてみると、
「この犬は夜になると空を飛ぶから紫なんだよ」
と、そこから物語が始まることもあります。
親が「正しい絵」に完成させることを急ぐと、その先にあった子どもの世界を見る前に終わってしまいます。
想像力を育てる時間では、
うまく描けているか
より、
この子は今、どんな世界を考えているのだろう
と見る方が大切です。
質問すればするほど想像力が伸びるわけではない
絵本を読んだあとに、
「このあとどうなると思う?」
「主人公はどんな気持ちかな?」
と問いかけることで、子どもの想像が広がることはあります。
ただし、毎回質問する必要はありません。
良かれと思って問いかけを続けているうちに、読み聞かせが「何か正しいことを答える時間」になってしまうこともあります。
子どもが話したそうなら聞く。
何も話さず絵を眺めているなら、少し待つ。
想像力を伸ばすためには、問いかけることだけでなく、子どもの中で何かが生まれるまで大人が待つことも大切です。
具体的な読み聞かせでの関わり方は、後ほど「絵本は、会話を広げる日と余韻を残す日を作る」で紹介します。
想像力が豊かな子を育てる家庭での5つの関わり方
では、家庭では具体的にどのような関わりをすればよいのでしょうか。
特別な教材を用意しなくても、毎日の遊びや会話の中でできることはたくさんあります。
ここからは、私が大切だと考えている5つの関わり方を紹介します。
1.ごっこ遊びでは、子どもが作った世界に乗ってみる
お店屋さんごっこ、お医者さんごっこ、電車ごっこ、ヒーローごっこなど、ごっこ遊びは、子どもが頭の中で思い描いた世界を実際の遊びにしていく機会です。
このとき、大人が上手な遊び方を教える必要はありません。
子どもが段ボールを置いて、
「ここが病院」
と言ったら、
「そこは病院じゃないでしょう」
ではなく、
「分かりました。私は患者さんになればいい?」
と、その世界に入ってみます。
すると、
「違うよ。お母さんは救急車の人」
と言われるかもしれません。
それなら、
「分かりました。どこへ迎えに行けばいいですか?」
と続けてみます。
大人が筋書きを作るのではなく、子どもが決めた設定についていく。
それだけでも遊びは広がります。
もちろん、ずっと付き合わなければならないわけではありません。
一人で夢中になっているなら、無理に入る必要もありません。
大切なのは、子どもの想像した世界を、大人の都合で急いで現実へ戻さないことです。
2.お絵かきや工作では「上手に作る」ことを目的にしない
お絵かきや工作は、想像したことを形にしやすい遊びです。
ただ、大人が一緒にすると、
「ここを切って」
「次はこれを貼って」
「こうすればきれいになるよ」
と教えたくなります。
完成したものをきれいにすることが目的なら、それも一つの方法です。
しかし、想像力を育てることを目的にするなら、完成度ばかりを求める必要はありません。
左右の大きさが違っていてもいい。
途中で最初とはまったく違うものになってもいい。
「家を作る」と言って始めたのに、最後にはロケットになっていても構いません。
親から見れば「失敗」に見える変化の中に、子どもなりの新しい発想が生まれていることがあります。
「上手にできたね」だけではなく、
「最初は家だったけど、ロケットになったんだね」
「ここをこうしたんだね」
と、子どもが考えたことそのものに関心を向けてみてください。
3.絵本は、会話を広げる日と余韻を残す日を作る
絵本は、子どもが自分では経験できない世界に触れられる大切な材料です。
動物が話す世界。
空を飛べる世界。
昔の人が暮らした世界。
遠い国の生活。
宇宙や深い海の中。
こうした世界に触れることで、子どもの中に想像するための材料が少しずつ増えていきます。
読み終わったあと、子どもが、
「このあと、どうなったんだろう」
と言ったら、
「どうなったと思う?」
と一緒に続きを考えてみてもよいでしょう。
一方で、何も言わなければ、そのまま本を閉じても構いません。
読み聞かせを毎回「学ばせる時間」にしなくてもよいのです。
親子で同じ物語を楽しみ、そこから何を感じるかは子どもに任せる。
そうした余白も、想像する時間の一つです。
4.実体験は、経験して終わりではなく「もう一度遊ぶ」
子どもの想像力を育てるうえで、実際に見たり、聞いたり、触ったりする経験は大切です。
動物園で大きなゾウを見る。
海で波の音を聞く。
公園で落ち葉を拾う。
雨上がりに水たまりをのぞく。
こうした一つひとつの経験が、後から何かを想像するときの材料になります。
ただし、大切なのは「どれだけ多くの場所へ連れて行ったか」だけではありません。
たとえば、動物園から帰った翌日に、子どもがぬいぐるみを並べて動物園ごっこを始めたとします。
「ここがゾウさんのおうち」
「こっちはライオン」
「今日は夜の動物園だから、みんな起きてるの」
昨日見たものを思い出しながら、自分なりの設定を加えて遊んでいます。
これは、経験したことをそのまま再現しているだけではありません。
実際の経験を材料にして、自分の中で組み替え、新しい世界を作っているのです。
そのため、私は「たくさん経験させなければ」と予定を増やすことだけを考える必要はないと思っています。
一つの経験をしたあとに、
「楽しかったね」
と話したり、絵に描いたり、ごっこ遊びにしたりする。
そうした時間も、想像力を育てる大切な時間です。
5.何をするか決まっていない時間を残す
子どもが何もせずにいると、
「退屈しているのかな」
「何か遊びを用意した方がいいかな」
と思うことがあります。
もちろん、子どもが困っているときには手助けして構いません。
ただ、何をするか決まっていない時間があるからこそ、
「これで何か作ってみよう」
「お店屋さんをしよう」
「この箱を車にしよう」
と、自分で遊びを考え始めることもあります。
想像力を育てるためには、いつも大人が活動を用意する必要はありません。
安全に遊べる環境や、自由に使える素材を用意したうえで、子どもが自分から何かを始めるのを待つことも一つの関わり方です。
ここまで紹介してきた5つに共通するのは、親が「想像させよう」と頑張りすぎないことです。
経験や絵本、遊びという材料は用意する。
でも、その材料をどう使うかまでは大人が決めない。
想像力を育てるには、「与えること」と「任せること」の両方が必要です。
「子どもが嘘をつく」は想像力?ファンタジーとの境目
子どもの想像力についてお話ししていると、保護者の方から、
「うちの子は、よく嘘をつくんです」
とご相談を受けることがあります。
幼児教室ひまわりでも、実際にそのようなご相談がありました。
ところが、詳しくお話を聞いてみると、そのお子さまは、自分の失敗を隠したり、誰かを困らせるために事実を変えたりしているわけではありませんでした。
現実には起きていない出来事を、楽しそうに膨らませて話していたのです。
そのとき私は、
「今のお話を聞く限りでは、すぐに『嘘をついている』と考えなくてもよいと思います。ファンタジーとして一緒に楽しんであげてもよいのではないでしょうか」
とお伝えしました。
幼い子どもは、想像した世界をとても生き生きと話すことがあります。
「今日、公園にドラゴンがいたよ」
「夜になると、このぬいぐるみは動くんだよ」
「雲の上にはお城があるんだよ」
このような話をするたびに、
「そんなことあるわけないでしょう」
「嘘を言ってはいけません」
と現実に戻す必要はありません。
「どんなドラゴンだったの?」
「そのお城には誰が住んでいるの?」
と、その世界を一緒に楽しんでもよいでしょう。
境目は「事実と違うか」だけで判断しない
では、想像の世界と、親がきちんと向き合うべき嘘は、どこで分ければよいのでしょうか。
私は、「事実と違うことを言ったか」だけでなく、何のために話しているのかを見ることが大切だと考えています。
この相談で私が見ていたのは、単に「事実と違うことを言ったかどうか」ではありません。
その子は何のためにその話をしているのか。
想像した世界を楽しんでいるのか。
自分が作った物語を誰かに聞いてほしいのか。
それとも、実際に起きたことについて、叱られないために事実を変えているのか。
同じ「本当ではない話」でも、ここを分けて考える必要があります。
米国小児科学会が運営する保護者向けサイト「HealthyChildren.org」では、6歳未満の子どもは、現実と空想の区別がまだ難しいことがあると説明されています。
ただし、6歳という年齢だけで、子どもの発言をファンタジーか意図的な嘘かに一律に分けられるわけではありません。年齢に加えて、その子が何のためにその話をしているのかを見ることが大切です。
想像した世界を楽しみ、自分が作った物語を誰かに聞いてほしくて話しているのであれば、すぐに「嘘をついている」と決めつける必要はありません。
一方で、自分がしたことを分かっていながら他の人のせいにするなど、現実の出来事について責任を避けるために事実を変えている場合は、想像遊びとは分けて考えます。
想像の世界では一緒に楽しむ。現実に起きた出来事では事実と向き合う。
私は、この線引きを持っておくことが大切だと考えています。
何でも「想像力が豊かだから」と受け入れればよいわけではありません。
一方で、現実とは違う話をするたびに「嘘」と決めつけてしまうと、子どもが自由に作っている物語まで止めてしまいます。
判断に迷うときは、
「それ、本当にあったこと?それとも、こんなのがあったらいいなっていうお話?」
と、やわらかく聞いてみてもよいでしょう。
現実と想像を分けることを教えながら、想像すること自体は否定しない。
この両方が大切です。
なお、現実の出来事について事実を変えることが繰り返され、家庭や園・学校での人間関係に影響が出ている場合や、子ども本人の不安が強い場合は、「想像力が豊かだから」と家庭だけで判断し続けないことも大切です。
また、保護者の方が対応に困り、親子ともに疲れている場合には、園や学校の先生、小児科、自治体の子育て相談などに相談してみてください。
大切なのは、子どもを「嘘をつく子」と決めつけることではありません。どのような場面で、何のために事実を変えているのかを具体的に確認し、必要な支えにつなげることです。
【参考情報】こども家庭庁「相談窓口」
想像力が豊かな子の特徴は?ごっこ遊びだけで判断しない
想像力が豊かな子には、
・身近なものを別のものに見立てる
・「もし○○だったら」と考える
・自分なりの物語を作る
・絵や工作に独自の設定を加える
・経験したことを遊びの中で作り直す
・一つの遊びから別の遊びへ発展させる
といった姿が見られることがあります。
ただし、これらを「想像力があるかどうかを判断するチェックリスト」にする必要はありません。
ごっこ遊びが好きではない子もいます。
絵を描くことには興味がなくても、ブロックを組みながら、
「ここから水が流れたらどうなるかな」
と考える子もいます。
虫を見つけて、
「この虫は夜、どこで寝るんだろう」
と考えることも想像です。
想像力は、派手な創作活動だけに表れるものではありません。
そのため、
「うちの子はごっこ遊びをしないから、想像力がない」
と早く判断しないことも大切です。
子どもが何に興味を持ち、そこからどのように考えを広げているかを見ていきましょう。
子どもの想像力を伸ばす親の声かけ
想像力を育てるために、特別な言葉を覚える必要はありません。
むしろ大切なのは、子どもが作った世界をすぐに否定したり、大人が完成させたりしないことです。
たとえば、
「そんなことあるわけないでしょう」
ではなく、
「そんな世界があったら面白そうだね」
と返してみる。
「空は青でしょう」
ではなく、
「今日はこの色の空なんだね」
と受け止めてみる。
子どもが何かを作っているときも、
「こうすればもっと上手にできるよ」
とすぐ教えるのではなく、
「何を作っているの?」
と聞いてみる。
あるいは、夢中で作っているなら、何も言わずに見守っても構いません。
子どもが話し始めたら聞く。
考えているときは少し待つ。
助けを求めたときには手を貸す。
想像力を伸ばす声かけとは、親が上手な質問をたくさんすることではありません。子ども自身が作っている世界を、大人が急いで完成させないことです。
よくある質問
Q.ごっこ遊びをしない子は、想像力が乏しいのでしょうか?
ごっこ遊びをしないという一つの行動だけで、想像力が乏しいと判断する必要はありません。
想像力の表れ方は子どもによって異なります。
ブロックで工夫する子もいれば、絵本の続きを考える子、自然の中で「これはどうなっているんだろう」と考える子もいます。
何をして遊ぶかだけではなく、その子が興味を持ったことから、どのように考えを広げているかを見てみましょう。
Q.絵本の読み聞かせでは、毎回質問した方が想像力は伸びますか?
毎回質問する必要はありません。
「このあとどうなると思う?」と会話が広がる日があってもよいですし、何も聞かずに物語を楽しむ日があっても構いません。
子どもが頭の中で想像していても、すぐには言葉にしないことがあります。
読み聞かせを「正しく答える時間」にせず、親子で物語を楽しむことを大切にしてください。
Q.現実にはない話をしたら、「嘘だよ」と教えた方がよいですか?
すぐに嘘と決めつける必要はありません。
想像した世界を楽しんでいるのか、それとも現実に起きた出来事について責任を避けるために事実を変えているのかを分けて考えます。
ファンタジーなら一緒に楽しむ。
現実の出来事なら、落ち着いて事実を確認する。
この線引きを持っておくと、子どもの想像する力を否定せずに、現実との区別も伝えやすくなります。
まとめ|子どもの想像力を鍛えるには「経験」と「余白」の両方を見る
子どもの想像力を鍛えたいと思うと、絵本を増やしたり、知育玩具を用意したり、さまざまな経験をさせたりしたくなるかもしれません。
もちろん、見たこと、聞いたこと、触れたことは、想像するための大切な材料になります。
ただ、それだけではありません。
経験したことを思い出し、自分なりに組み合わせ、自由に遊びや表現へ変えていく時間も必要です。
大人が正解を急がない。
変わった発想をすぐに直さない。
何も決まっていない時間を残す。
想像の世界では一緒に楽しみ、現実の出来事とは分けて考える。
こうした日々の経験と余白の積み重ねが、子どもの想像力を培うことにつながります。
子どもの想像力を育てたいときは、
「何をさせればよいか」だけではなく、「この子が自分で想像できる余白を残せているか」
という視点も持ってみてください。
親が少し待つことで、子どもの中から、大人には思いつかない世界が生まれてくることがあります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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今回のように、「想像力を伸ばすには何をさせればよいのか」「絵本やさまざまな経験をもっと増やした方がよいのか」と迷う場面でも、大切なのは材料を与えることだけではなく、子どもが経験したことを自分なりに組み合わせ、自由に考えられる余白を残すことです。
想像力や考える力を、特別な教材だけに頼らず、毎日の遊びや会話の中でどう育てればよいか知りたい方は、ぜひ参考になさってください。










