効果的な漢字の教え方(基本の6ステップ)
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月13日
「子供がなかなか漢字を覚えてくれない」「漢字の練習を嫌がる」というときは、家庭での漢字の教え方を見直してみませんか?
こちらのページでは、多くの小学校でも使われている教え方のテクニックや、漢字が得意になる効率の良い覚え方を詳しく解説していきます。
漢字が覚えられないのはなぜ?
練習はしているのに漢字が覚えられないのは、なぜなのでしょうか?
まずは、漢字が苦手な子の特徴や学習方法に注目してみましょう。
漢字が苦手な子には、次の3つの特徴があります。
1.ひたすら書き取りをしている
2.国語の教科書の音読をしていない
3.漢字が苦手だと思い込んでいる
一つずつ説明していきますね。
1.ひたすら書き取りをしている
漢字が覚えられない原因の1つめは、ひたすら書いてばかりの効率の悪い覚え方をしていることです。
もちろん、漢字を覚えるためには、書き取りは欠かせません。
小学校でも「新出漢字をノートに10回ずつ書く」というような宿題は定番ですよね。
しかし何回も書くだけの練習では、子供は「早く終わらせたい」と思うばかりで、ただの作業になってしまいがちです。
そのため、せっかく時間をかけた割には、ほとんど頭に残っていません。
大切なのは何回書くかではなく、いかに効率よく記憶を定着させるかなのです。
2.国語の教科書の音読をしていない
漢字が覚えられない原因の2つ目は、家庭で音読が足りていないことです。
音読にはさまざまなメリットがありますが、その中のひとつに、漢字の意味や読み方が学べるというものがあります。
漢字だけを覚えるのは、「記号」を暗記するようなものなので、そう簡単にはいきません。
それに対し、教科書などで何度も声に出して読んだ漢字は、意味がわかり、視覚的にも馴染みのある存在です。
さらに、音読により語彙力がアップすれば、漢字学習も格段に楽になります。
3.漢字が苦手だと思い込んでいる
漢字が覚えられない原因の3つめは、漢字が苦手だという思い込みです。
たとえば、
・何度も書いたのに覚えられない
・テストで良い点が取れない
・間違いを注意されてばかり
といった経験から、自分は漢字が苦手、ひいいては国語が苦手だと思い込んでしまうことも珍しくありません。
そうすると、学習へのモチベーションが下がり、漢字の練習をしなくなるという悪循環を生み出します。
この苦手意識を早い段階で取り除くためにも、これから解説していく漢字の教え方を活用しましょう。
漢字の教え方・基本の6ステップ
子どもに漢字を教えるときは、いきなり書かせるのではなく、
以下の順番で教えるのがおすすめです。
1.漢字の成り立ちを説明
2.お手本を書いて見せる
3.空書き
4.なぞり書き
5.書き取り
6.テスト
ステップごとに、どのように教えるのかを説明していきますね。
1.漢字の成り立ちを説明
新しい漢字を教える際、読み方や意味だけでなく、成り立ちもあわせて簡単に説明してあげましょう。
なかには成り立ちが諸説あるものや、不明なものもありますが、親御さんが教えやすいものを選べば大丈夫です。
インターネットで検索すると、漢字の成り立ちをまとめたサイトが簡単に見つかります。
2.お手本を書いて見せる
次に、親御さんがお手本を書いてみせます。
筆順やとめ・はね・はらいなどを言葉で説明しながら、ゆっくり筆を運びましょう。
3.空書き
お手本を見たら、まずは鉛筆は持たずに、子供と一緒に指で空書きをします。
なぜ鉛筆を持たないのかというと、とくに低学年の子供にとって、鉛筆で文字を書くというのは、意外とハードルが高い作業だからです。
その点、空書きなら、鉛筆の持ち方など余計なことを考えずに、書くことだけに集中しやすくなります。
また、親御さんの指の動きを真似するので、筆順を間違えにくいというのも空書きのメリットです。
4.なぞり書き
空書きのつぎは、なぞり書きです。
薄い色で漢字が書かれたドリルやプリント、もしくは、色鉛筆などで手書きしたお手本を準備し、まずは指でなぞらせましょう。
その際に、筆順やとめ・はねといった、細かい部分を目で見ながらしっかり確認。
指なぞりがうまくできたら、鉛筆を持ち、実際にお手本をなぞり書きします。
5.書き取り練習
なぞり書きが終わったら、お手本を見ながら、自分で漢字を書きます。
何度も書く必要はありません。3回ほどで十分です。
6.テスト
最後に、お手本を見ずに書けるかどうかをテストします。
1回にテストする漢字の数は5個くらいまで、送り仮名もあわせてテストするのがポイントです。
問題はお子さまに作成させ、間違えた箇所は、お手本を確認して正しく書き直す習慣をつけましょう。
効率よく漢字を覚えるコツ
漢字が得意な子どもたちは、漢字を記憶するためにさまざまな工夫をしています。
その中でも、とくにおすすめなのは、つぎの3つです。
1.ストーリーを作る
2.声に出しながら書く
3.アウトプットの機会を作る
一つずつ説明していきます。
1.ストーリーを作る
漢字を覚えるコツの1つめは、漢字の書き方や形を連想させるストーリーを作ることです。
具体的な方法としては、語呂合わせや、意味・成り立ちなどが挙げられます。
例えば、
「太陽(日)から生まれた星」(星)
「岩は山にあるごつごつした石」(岩)
「門に耳をあてて聞く」(聞)
というように、文字を分解して語呂合わせにすると、子どもも楽しく覚えられます。
大人の方でも、「挨拶」を「手偏にム矢三くタ」と呪文のように暗記した方や、
「公」と書くときに、いまだに思わず心のなかで「ハム」と唱えてしまう方はいらっしゃいますよね。
ほかにも、「分ける」は刀で屋根を切り分けた様子、
「見」という字は、目から足が生えて、周りを見回している様子など、
視覚的なイメージで捉えるのも効果的です。
漢字を教えるときに、「これは、どうやって覚えようか?」と、
お子さまと一緒にストーリーを考えてみましょう。
また、お子さまが漢字を思い出せないときにも、
例えば、「『休む』は人が木に寄りかかって休憩しているんだったよね。」
というようなヒントの出し方が可能です。
すぐに答えを教えるのではなく、自分で答えを思い出させることで、
お子さまの自信につながっていきます。
2.声に出しながら書く
漢字を覚えるコツの2つめは、声に出して読みながら書くことです。
この方法は、受験勉強などでも広く活用されており、実際に音読が記憶力を向上させるという研究結果も報告されています。
こちらの研究結果によると、自分で読み上げる、他の人に読んでもらう、自分が読んだ声の録音を聞く、無言の4つのパターンで単語を覚えた場合、もっとも効果が高かったのが自分で単語を読み上げたとき。
逆にもっとも効果が低かったのが、無言で覚えたときだったとのこと。
漢字の読み方だけでなく、語呂合わせや、とめ・はね・はらいなどの注意点をつぶやくのもおすすめです。
3.アウトプットの機会を作る
漢字を覚えるコツの3つめは、習った漢字を積極的に使うことです。
せっかく覚えた漢字も、使う機会がないと、またすぐに忘れてしまいますよね。
そこで日記をつけたり、友達や家族に手紙を書いたりといったアウトプットの機会を増やすことで、
漢字をより日常的なものにし、自然に記憶するための手助けができます。
わが子の出来ている部分にも注目する
今回は、子供に漢字を教える方法や覚え方のコツを紹介してきました。
大切なのは、何回も書くことではなく、効率よく覚えることです。
そしてもうひとつ。
漢字を教えていると、どうしても間違った部分にばかり目が行きがちですが、できている部分にも注目することを忘れずに。
「はらいがキレイだね。」「ハネを忘れずに書けたね。」など、
褒められるところを見つけたら、思いっきり褒めて、お子さまの学習意欲を高めていきましょう。
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