医者になるまでの学費はいくら?国公立・私立医学部と受験までの教育費を解説
最終更新日 2026年09月02日
幼児教室ひまわりの熊野です。
私は中学受験を経験して灘中学・灘高校へ進み、その後、大阪大学医学部へ現役で進学しました。学生時代から塾講師や学習アドバイザーとして教育に携わり、2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、医学部や難関校を見据えた子育てについて、多くの保護者の方と向き合ってきました。
子どもの将来に医学部という選択肢を考えたとき、
「医者になるまでには、結局いくらくらい必要なのでしょうか」
「私立医学部は何千万円もかかると聞きました。一般家庭では難しいのでしょうか」
「大学の学費だけではなく、中学受験や塾まで考えると、どのくらい準備しておけばよいのでしょうか」
と気になる方は多いと思います。
幼児教室ひまわりにも、「子どもを医者にしたいけれど、具体的に何から考えればよいか分からない」という保護者の方が学びに来られます。
医学部という言葉を聞くと、「裕福な家庭でなければ難しい」「何千万円、場合によっては1億円近く必要なのでは」と考える方もいるかもしれません。
私自身はサラリーマン家庭で育ちました。当時のわが家では、私立医学部に進むことを現実的な選択肢として考えておらず、国立大学の医学部に合格するという道を目指しました。
ただ、今振り返ると、医者になるまでにかかった費用を「医学部の学費」だけで考えることはできません。
大学に支払った授業料のほかにも、中学受験のための塾代、灘中学・灘高校の学費、受験にかかる費用など、さまざまな教育費を親に負担してもらっています。
一方で、「医者になるには莫大なお金が必要」と一つの金額で考えてしまうのも正確ではありません。
国立大学医学部へ進むのか、私立大学医学部へ進むのか。中学・高校は公立なのか私立なのか。塾や予備校をどの程度利用するのか。自宅から大学へ通えるのか。
こうした選択によって、医者になるまでの費用は大きく変わります。
この記事では、現在の学費データと私自身の経験をもとに、医者になるまでにどのような費用が必要なのかを整理します。
「医学部にはいくら必要か」という一つの数字だけを見るのではなく、わが家の場合、どのような進路なら現実的なのかを考える材料にしていただければと思います。
医者になるまでの学費はいくら?まず全体像を知っておこう
結論から言えば、医者になるまでに必要な学費・教育費は、選ぶ進路によって大きく異なります。
特に大きな違いが出るのが、医学部6年間の学費です。
国立大学の学部では、標準的な授業料は年間53万5,800円、入学料は28万2,000円です。たとえば現在の大阪大学もこの金額で、6年間の授業料と入学料を合わせると約350万円になります。
一方、私立大学医学部では、大学によって6年間の学生納付金に非常に大きな差があります。
文部科学省の令和7年度の資料では、6年間の学生納付金は国際医療福祉大学の1,850万円から、川崎医科大学の4,550万円まで幅があります。
大まかな違いを整理すると、次のようになります。
ここだけを見ると、「国立なら約350万円、私立なら数千万円」と考えたくなるかもしれません。
しかし、これはあくまで大学に入ってからの費用の一部です。
実際に子どもが医者になるまでを考えるなら、その前の小学校・中学校・高校での教育費、塾や予備校、大学受験、自宅外から通う場合の生活費なども考える必要があります。
そのため、
医学部の学費=医者になるまでに必要な費用
ではありません。
この区別をしておくことが、最初の大切なポイントです。
国立大学医学部なら、大学納付金は6年間で約350万円
国立大学医学部は、医学部だからといって他学部より授業料が高く設定されているわけではありません。
現在の大阪大学では、学部の授業料は年間53万5,800円、入学料は28万2,000円です。医学科は6年制ですから、現在の金額が続くと仮定すると、入学料と6年間の授業料は合計349万6,800円になります。
私自身が大阪大学医学部へ通っていた当時も、大学そのものに支払う金額は私立医学部と比べるとかなり抑えられていました。
当時、親に負担してもらった大学時代の教育費は、入学金や授業料、医学書などを含めて、私の記憶では400万円ほどだったと思います。
私が学生だった頃と現在では、物価や大学生活にかかる周辺費用は変わっています。ただ、現在の大阪大学の入学料と授業料を見ても、大学納付金そのものは6年間で約350万円です。
ここで気をつけていただきたいのは、
「国立医学部の学費が約350万円」=「350万円あれば医者になれる」ではない
ということです。
医学部では、教科書や参考書、実習で必要になる物品などにも費用がかかります。自宅から通えなければ、6年間の家賃や生活費も必要です。
さらに私の場合は、大阪大学医学部へ入る前にも教育費をかけてもらっています。
私は小学生の頃に浜学園へ通って中学受験をし、灘中学・灘高校へ進みました。そのため、大学6年間だけを取り出せば比較的安くても、私が医者になるまでに親が負担してくれた教育費全体が400万円だったわけではありません。
幼児教室ひまわりで医学部を見据えた教育について考えるときも、私はこの違いを大切にしています。
「国立医学部に入れれば安く済む」とだけ考えるのではなく、そこへ至るまでに、わが家ではどのような教育を選び、どこに費用をかけるのかまで考える必要があるからです。
私立大学医学部の学費は大学によって大きく違う
私立医学部については、「6年間で7,000万円」「1億円くらい必要」といったイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、文部科学省が公表している令和7年度の学生納付金を見ると、私立医学部をそのように一括りにすることはできません。たとえば、次のようになっています。
同じ私立医学部でも、6年間で2,000万円前後の大学と、4,000万円を超える大学があります。
ですから、
「私立医学部だから、わが家には絶対に無理だろう」
と大学名や実際の学費を確認する前から決めてしまうのは早いと思います。
もちろん、2,000万円でも一般的な大学と比べれば非常に大きな負担です。家計にとって簡単な金額ではありません。
ただし、大切なのは「私立医学部」という一つの言葉で判断するのではなく、大学ごとの学費を見ることです。
さらに、大学選びでは学費だけを比べればよいわけでもありません。
たとえば、自宅から通える私立医学部と、下宿が必要な国公立医学部を比較した場合、生活費まで含めれば差が縮まることもあります。利用できる奨学金や修学資金などがあるかによっても、実際に家庭が負担する金額は変わります。
幼児教室ひまわりで医学部や難関校を見据えた教育についてご相談を受けていると、費用の問題が、いつの間にか教育方法の二択に変わっていることがあります。
「医学部を目指すなら、私立の中高一貫校へ入れた方がよいのではないか」
「国立医学部を目指すなら、小学生のうちから進学塾へ通わせるべきではないか」
「周りが個別指導を追加しているので、わが家も増やした方がよいのではないか」
といった具合です。
もちろん、中学受験や進学塾がその子にとって有効な場合はあります。私自身も、中学受験をして灘中学・灘高校へ進んだことから大きな恩恵を受けました。
ただ、教育相談で私たちが最初に見るのは、「医学部を目指すなら何をするべきか」ではありません。
現在のお子さんの学力はどうか。競争のある環境が合っているか。今の学習量に余裕があるか。家庭として、その教育を無理なく続けられるか。
こうした条件を一つずつ分けて考えます。
国立か私立か、中学受験をするかしないか、塾を増やすか増やさないか。その二択を先に決めるのではなく、お子さんとご家庭の状況から逆算して考える方が、現実的な選択肢は見えやすくなります。
医学部の学費だけでは分からない|医者になるまでにかかる教育費
「医者になるまでの学費」を考えるとき、もう一つ見落としやすいのが、大学に入る前の教育費です。
医学部を目指したからといって、必ず私立小学校や私立中学校へ行かなければならないわけではありません。
ただし、公立と私立のどちらを選ぶか、塾をどの程度利用するかによって、家庭の教育費は大きく変わります。
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、学校教育費だけでなく学校外活動費なども含めた年間の学習費総額は、公立中学校で約54万2千円、私立中学校で約156万円でした。高校では、公立が約59万7千円、私立が約117万9千円です。
つまり、「医学部に入ってからいくらかかるか」だけではなく、医学部へ入るまでにどのような教育ルートを選ぶかでも総額は大きく変わります。
中学受験は医学部への一つのルートであって、必須ではない
私自身は、中学受験をして灘中学・灘高校へ進みました。
小学生の頃から浜学園という進学塾に通い、中学受験の勉強をしていました。その経験や、灘で周囲の友人と学んだ環境は、その後に大阪大学医学部を目指すうえでも大きな影響があったと感じています。
だから私は、自分自身にとって、中学受験には大きな価値があったと思っています。
一方で、私自身がそのルートで医学部へ進んだからといって、すべてのお子さんに中学受験が必要だとは考えていません。
ここは、子どもを医者にしたい保護者の方から教育について相談を受けるうえでも、とても大切にしていることです。
「医学部を目指すなら、今すぐ中学受験の準備をしなければ間に合わないのではないか」
「有名な私立中高一貫校へ入れなければ、医学部は難しいのではないか」
と焦るよりも、まずはその子の現在の力や性格、ご家庭としてどこまで受験に時間や費用を使うのかを考える必要があります。
中学受験には、大学受験を見据えた学習環境や、同じように高い目標を持つ仲間に出会える可能性があります。医学部を目指すうえで、有力な選択肢の一つになることはあるでしょう。
しかし、公立中学校・高校から医学部へ進む子もいます。また、中学受験をしたとしても、その環境がすべてのお子さんに合うとは限りません。
成功した人のルートを知ることは参考になります。
しかし、
誰かが成功したルートと、わが子に合うルートは同じとは限りません。
私自身の経験も、一つの実例として参考にしていただきながら、お子さんとご家庭に合った進路を考えることが大切です。
塾や予備校の費用も家庭によって大きく変わる
中学受験をする場合には進学塾の費用が必要になります。高校生になって大学受験のための塾や予備校を利用する場合にも費用がかかります。
さらに医学部受験では、一般の予備校だけでなく、医学部専門予備校や個別指導、家庭教師などを検討する家庭もあります。
ただし、「医学部を目指すなら高額な医学部専門予備校へ通わなければならない」と考える必要はありません。
どの段階で、どのような支援が必要になるかは子どもによって違います。
そのため、「医学部を目指すのだから」と早い段階からすべての教育を追加するのではなく、必要な時期に必要な支援を選ぶことが大切です。
教育費を多くかけることと、その子に合った教育を選ぶことは同じではありません。
自宅外から医学部へ通う場合は、6年間の生活費も考える
医学部は6年間あります。
そのため、自宅から通えない大学へ進学した場合には、家賃、食費、水道光熱費、交通費などの生活費が6年間必要になります。
ここも、単純な「国公立か私立か」の比較では見えにくい部分です。
たとえば、遠方の国公立医学部へ進学して6年間一人暮らしをするケースと、自宅から通える私立医学部へ進学するケースでは、大学の学費だけを比べた場合と、家庭から出ていく総額を比べた場合で、見え方が変わることがあります。
だからこそ、医者になるまでの費用を考えるときには、大学の学費だけではなく、大学までの教育費、受験費用、通学・生活費まで含めて見る必要があります。
ここまで費用を分けて考えると、保護者の方が医学部を考えるときに陥りやすい、いくつかの思い込みも見えてきます。
医者になるまでの学費を考えるときに見落としやすい5つのこと
ここまで見てきたように、医者になるまでに必要な費用は、大学の種類やそれまでの進路によって大きく変わります。
そのため、「結局いくら用意すればよいのか」と一つの金額だけを求めようとすると、かえって判断しにくくなることがあります。
幼児教室ひまわりでも、医学部を見据えた教育について考えるときに、「これをすれば正解です」と一つの方法だけをおすすめすることはありません。
お子さんの年齢、現在の学力や性格、ご家庭の考え方、教育に使える時間や費用などを分けて考えることを大切にしています。
ここからは、医者になるまでの学費や教育費を考えるときに、保護者の方が見落としやすいことを整理します。
1.「医者になるには莫大なお金が必要」と一つの総額で考える
「医者になるには何千万円必要ですか」
という問いに、一つの金額で答えることはできません。
たとえば、国立大学医学部へ進み、自宅から通う場合と、私立大学医学部へ進み、一人暮らしをする場合では、家庭が負担する金額は大きく違います。
中学校・高校についても、公立へ進むのか、私立の中高一貫校へ進むのかによって教育費は変わります。
さらに、塾や予備校をどこまで利用するかも家庭によって違います。
ですから、
「医者になるまでには3,000万円かかる」
「5,000万円は用意しなければならない」
といった一つの数字だけを見て、
「うちには無理だ」
あるいは反対に、
「この金額さえ準備すれば大丈夫だ」
と考えるのはおすすめできません。
大切なのは、
医学部の学費
中学・高校までの教育費
塾・予備校
受験費用
大学生活にかかる費用
を分けて考えることです。
そうすると、「わが家では、どの進路なら現実的なのか」が見えやすくなります。
2.私立医学部はどこも同じくらい高いと思ってしまう
私立医学部について、「とにかく高い」というイメージを持っている方は多いと思います。
確かに国公立医学部と比べれば高額ですが、先ほど見たように、大学によって6年間の学生納付金には2,000万円以上の差があります。
そのため、
「私立医学部」という一つの括りだけで判断しないこと
が大切です。
大学ごとの学費、自宅から通えるか、利用できる奨学金や修学資金などを確認したうえで、家庭にとって現実的かを考えます。
「私立だから無理」と最初から外すことも、「比較的学費が低い大学なら大丈夫」と学費だけで判断することも、どちらも避けたいところです。
3.医学部6年間の学費だけで資金計画を立てる
医学部の学費を調べると、どうしても大学6年間の数字に目が向きます。
しかし、保護者の立場から考えれば、本当に知りたいのは、
医学部に入ってからいくらかかるかではなく、子どもが医者になるまでに家庭としてどのくらい準備すべきか
ではないでしょうか。
私自身も、大阪大学医学部の大学納付金だけを見れば、私立医学部と比較してかなり低い費用で卒業しています。
けれども、その前の中学受験や中高時代にも、さまざまな教育費を親に負担してもらっています。
大切なのは、
大学にいくら払うのか
だけではなく、
大学へ入るまでに、どのような教育を選ぶのか
まで含めて考えることです。
資金計画を立てるのであれば、医学部6年間だけを切り取るのではなく、中学・高校、大学受験、医学部6年間と段階を分けて考えておくと、必要な費用が見えやすくなります。
4.医学部を目指すなら中学受験が必須だと思ってしまう
中学受験は、医学部を目指すうえで有力な選択肢の一つですが、必須ではありません。
私自身は灘中学・灘高校へ進み、その環境から大きな恩恵を受けました。しかし、公立中学校・高校から医学部へ進む子もいますし、中学受験をしても、その環境がすべてのお子さんに合うとは限りません。
幼児教室ひまわりで進路を考えるときにも、「医学部なら中学受験」と先に決めるのではなく、
お子さんの現在の学力はどうか。
競争のある環境が合っているか。
中学受験のための勉強を無理なく続けられそうか。
ご家庭として受験にどの程度の時間や費用を使えるか。
といった条件を見ながら判断します。
誰かに合った教育ルートと、わが子に合った教育ルートは同じとは限りません。
医学部を目指す場合にも、この視点を持つことが大切です。
5.教育費をかけるほど医学部合格に近づくと思ってしまう
子どもを医者にしたいと考えると、
「できるだけ良い塾へ入れた方がよいのでは」
「個別指導も追加した方がよいのでは」
「早いうちから先取りをさせた方がよいのでは」
と、教育にお金をかける方向へ意識が向きやすくなります。
もちろん、必要な教育環境に費用をかけることには意味があります。
私自身も、中学受験では進学塾に通わせてもらい、その環境から大きな恩恵を受けました。
ただし、
教育費の高さと、子どもの学力が単純に比例するわけではありません。
たとえば、まだ基礎的な内容を理解できていないのに難しい教材を増やしても、学力が伸びるとは限りません。
子どもが疲れている状態で習い事や塾を追加すれば、かえって学ぶ意欲を失うこともあります。
幼児教室ひまわりで教育相談をするときにも、私たちは「何を追加するか」だけを考えるのではなく、
「今のお子さんには何が足りないのか」
「逆に、やりすぎているものはないか」
を見るようにしています。
医学部という目標があるからといって、すべての教育に最大限のお金をかける必要はありません。
必要なのは、
医学部に行かせるためにいくら使うか
ではなく、
今の子どもの成長に、何が必要なのか
を考えて教育費を使うことです。
一般家庭から医学部を目指すことはできる?
ここまで読むと、
「それでも、結局は経済的に余裕のある家庭でなければ医学部は難しいのではないか」
と感じる方もいると思います。
医学部進学を考えるうえで、家計の問題を無視することはできません。
特に私立医学部の場合、6年間の学生納付金だけで2,000万円以上になる大学が多く、家庭にとって大きな負担です。
一方で、
一般家庭だから医学部を目指せない、と最初から決める必要もありません。
私自身は、医師の家庭に生まれたわけではありません。父親も母親も医師ではなく、一般的なサラリーマン家庭で育ちました。
そのため、私が医学部を目指したときには、国立大学医学部へ進むという選択が現実的でした。
この経験からも、「医者になるためには親が医師でなければならない」「裕福な家庭でなければ医学部へ進めない」とは考えていません。
ただし、
「それなら国立医学部へ入ればよいのだから、お金のことは心配しなくてもよい」
と考えるのも違います。
国公立医学部は一般に高い学力が求められますし、そこへ至るまでに塾や予備校などの教育費がかかる場合もあります。大学が遠方であれば、6年間の家賃や生活費も必要です。
だからこそ、医学部を将来の選択肢として考えるのであれば、子どもの学力を育てることと、家庭としてどこまで費用を負担できるのかを確認しておくことの両方が大切です。
経済的な負担を考える際には、奨学金や修学資金についても確認しておくとよいでしょう。
大学や自治体によっては、一定の条件のもとで利用できる修学資金制度があります。また、地域枠の中には、都道府県などの修学資金制度と組み合わせて設けられているものもあります。
ただし、地域枠そのものが必ず学費を援助する制度というわけではありません。修学資金についても、卒業後に一定の地域や医療機関で勤務することなどが条件となり、その条件を満たすことで返還が免除される仕組みになっている場合があります。
制度ごとに条件は異なるため、実際に利用を検討するときには、志望大学や自治体が公表している最新情報を確認することが大切です。
そして、費用だけでなく、医学部へ進むまでの教育ルートにも一つの正解があるわけではありません。
幼児教室ひまわりには、私だけでなく、実際に自分の子どもを京都大学医学部、大阪大学医学部、東京大学理科三類などへ導いた経験を持つ講師もいます。
こうしたさまざまな家庭の教育経験を見ても、選んできた進路や学び方はそれぞれ異なります。
中学受験をする家庭もあれば、公立中学校から高校受験を経て医学部を目指す家庭もあります。
早い時期から学習を進める子もいれば、成長する中で目標が明確になり、後から学力を伸ばしていく子もいます。
家庭によって、教育にかけられる費用も、どこに費用をかけるのかという優先順位も違います。
だからこそ、
「医学部を目指すなら、他の家庭と同じだけ教育費をかけなければならない」
と考える必要はありません。
一般家庭から医学部を目指すときに大切なのは、周囲の家庭と同じ教育をそろえることではありません。現在のお子さんに何が必要なのか、家庭として何を無理なく続けられるのかを一つずつ見ていくことです。
医学部への道を最初から一つに決めるのではなく、わが子とわが家に合った進み方を考える。
その視点を持っておくことが、長い医学部進学までの道のりでは大切だと私は考えています。
子どもが小さいうちから準備するなら、進路ではなく「選択肢」を作る
子どもがまだ幼い段階で、
「将来は医者にしたい」
「できれば医学部へ行ってほしい」
と考えている保護者の方もいると思います。
そのときに気をつけたいのは、
早く準備することと、早く進路を決めることは違う
ということです。
幼児期から「医学部に入るための勉強」を始める必要はありません。
そもそも、幼い子どもが将来どのような仕事に興味を持つかは、まだ分かりません。
医学に興味を持つかもしれませんし、まったく別の分野を目指すかもしれません。
それでも、幼少期からできる準備はあります。
それは、将来子どもが、
「医学部へ行きたい」
「難関大学へ挑戦したい」
「この分野をもっと勉強したい」
と思ったときに、その選択肢を持てる土台を作っておくことです。
たとえば、
・分からないことを自分で考える
・本や身の回りの出来事に興味を持つ
・毎日少しずつ学ぶ習慣をつける
・分からないことがあってもすぐに諦めない
・人の話を聞き、自分の考えを言葉にする
・基礎的な読み書きや計算を少しずつ身につける
といった力です。
幼児教室ひまわりでも、将来の医学部や難関校を考えている保護者の方に、幼児期から特定の受験問題だけを解かせればよいとはお伝えしていません。
長い目で見ると、幼少期に身につけた学習習慣や考える姿勢が、その後の学習を支えるからです。
親としては、早く結果を出したくなることもあります。
周囲の子がひらがなを読めるようになった。
計算ができるようになった。
難しい教材を始めた。
有名な塾へ入った。
そうした話を聞くと、「わが家も早く始めなければ」と焦るかもしれません。
しかし、医学部を目指す道のりは非常に長いものです。
幼児期の数か月、数年の先取りだけで、その後が決まるわけではありません。
子どもが小さいうちに親が考えておきたいのは、
どの医学部に入れるかではなく、将来どの進路にも挑戦できる力をどう育てるか
ということです。
医学部へ進むかどうかを決めるのは、もっと先でも間に合います。
今はまず、子どもの可能性を狭めない土台を作っていくことが大切です。
よくある質問
Q.医者になるまでに1億円かかるのでしょうか?
一律に1億円かかるわけではありません。
国立大学医学部であれば、現在の標準的な入学料と6年間の授業料は約350万円です。
一方、私立大学医学部では6年間の学生納付金が約1,850万円から4,000万円台まで大学によって大きく異なります。
さらに、中学・高校までの教育費、塾・予備校、受験、一人暮らしなどによって総額は変わります。
そのため、「医者になるには1億円」と一つの数字で考えるのではなく、ご家庭が考えている進路ごとに費用を分けて試算することをおすすめします。
Q.一般家庭でも子どもを医学部へ進学させることはできますか?
可能性はあります。
私自身もサラリーマン家庭から灘中学・灘高校、大阪大学医学部へ進みました。
ただし、国公立医学部であっても、医学部へ合格するまでの教育費や、自宅外通学の場合の生活費などが必要になることがあります。
家庭の収入だけで「無理」と決めるのではなく、国公立・私立それぞれの学費や奨学金、修学資金なども調べながら、現実的な進路を考えることが大切です。
Q.医学部を目指すなら中学受験をした方がよいですか?
中学受験は有力な選択肢の一つですが、必須ではありません。
私自身は中学受験をして灘中学へ進み、その環境から大きな影響を受けました。
一方で、公立中学校・高校から医学部へ進む子もいます。
大切なのは、「医学部なら中学受験」と先に決めることではなく、お子さんの学力や性格、ご家庭の方針や教育費を踏まえて判断することです。
まとめ|「いくらかかるか」より、わが家ではどの進路が現実的かを考える
医者になるまでの学費は、一つの金額では答えられません。
国公立医学部か私立医学部かによって大学6年間の学費は大きく違います。
さらに、
・中学・高校をどう選ぶか
・塾や予備校をどこまで利用するか
・何校受験するか
・自宅から通えるか
・奨学金や修学資金を利用するか
によっても、家庭が負担する総額は変わります。
だからこそ、
「医者になるには○千万円必要だから、わが家には無理だ」
と一つの数字だけで子どもの可能性を決めないでください。
一方で、「国立医学部なら安いから大丈夫」と大学の学費だけを見ることもおすすめできません。
まずは、医者になるまでに必要な費用を段階ごとに分け、わが家ではどのような進路なら現実的なのかを考えることが大切です。
そして、お子さんがまだ小さいのであれば、今から医学部までのルートを決める必要はありません。
私が大切だと考えているのは、早く進路を固定することではなく、将来お子さん自身が「医学部へ行きたい」と思ったときにも挑戦できるように、学力や学習習慣、考える力の土台を育てておくことです。
早く準備することと、早く進路を決めることは違います。
子どもの将来の選択肢を広げるという視点で、教育費についても考えてみてください。
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