習い事が多すぎる?減らせない時の見直し方と子供の負担サイン
最終更新日 2026年08月14日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
「気づいたら、平日のほとんどが習い事で埋まっている」
「どの習い事にも意味があるように思えて、減らすものを決められない」
「子どもは楽しいと言っているけれど、本当は疲れているのではないか」
「習い事を辞めさせたら、根気のない子になってしまわないか心配」
子どもの習い事が増えてくると、このように悩む保護者の方は少なくありません。
平日は英語、水泳、公文式、ピアノ、週末は体操やダンス。予定表だけを見ると忙しそうですが、本人はどれも「楽しい」「辞めたくない」と言っている。
その一方で、「帰宅後は機嫌が悪く、宿題を始めるまでに時間がかかる。朝もなかなか起きられず、休日にはぼんやりしていることが増えた。」
このような状態になると、「やはり習い事が多すぎるのではないか」と心配になると思います。
結論からお伝えすると、習い事が多すぎるかどうかは、3個、4個という個数だけでは判断できません。複数の習い事を無理なく楽しめる子どももいれば、1つや2つでも、移動や自宅練習による負担が大きい子どももいます。
大切なのは、習い事を含めた一週間の中で、睡眠、自由時間、家庭学習、食事、親子の会話に無理が出ていないかを見ることです。
この記事では、幼児教室ひまわりに寄せられた保護者の相談、当社が運営しているひまわり教育研究センターが行った独自調査、家庭教育の実践経験をもとに、子どもの習い事が多すぎるかどうかを判断する視点をお伝えします。
※以下の相談事例は、幼児教室ひまわりに寄せられた複数の相談に共通する内容をもとに、個人が特定されないよう、年齢や習い事の種類などを一部変更して再構成しています。特定の一家庭の経過をそのまま紹介したものではありません。
【この記事で分かること】
- 習い事が多すぎるかどうかを判断する基準
- 習い事の個数だけでは子どもの負担を判断できない理由
- 習い事を減らせない家庭で起きやすいこと
- 子どもの負担が表れやすい生活面のサイン
- 移動・自宅練習・宿題・試合まで含めて見る大切さ
- ひまわり教育研究センターの調査から見える習い事の考え方
- 習い事を減らすか迷ったときの5つの手順
- 辞める、休む、回数を減らすときの子どもへの伝え方
- 習い事が多くても問題になりにくい家庭の特徴
習い事が多すぎる家庭で起きていること
習い事が増えるとき、保護者は決して子どもを苦しめようとしているわけではありません。
むしろ、どの習い事にも子どもの将来を考えた理由があります。
「水泳は体力づくりのために続けたい」
「英語は将来必要になる」
「ピアノは感性や集中力につながりそう」
「公文式は学習の基礎になる」
「体操は幼児期にやっておいた方がよいと聞いた」
「本人が楽しんでいるから辞めさせたくない」
一つひとつを見ると、どれも間違った考えではありません。
だからこそ、習い事は増えやすく、一度始めると減らしにくくなります。
幼児教室ひまわりでも、「何を始めるべきか」だけでなく、「どれを減らせばよいか分からない」というご相談を受けることがあります。
相談事例1|どれも必要に思えて、習い事を減らせない
小学校低学年のお子さまを持つ保護者の方からは、次のようなご相談をいただくことがあります。
お子さまは、水泳、英語、ピアノ、公文式、体操など、複数の習い事に通っています。
保護者の方は、それぞれの習い事に、体力、学力、感性を育てる目的を持っています。お子さまも、はっきり「辞めたい」とは言っていません。
ただ、詳しく様子を伺うと、習い事から帰った後はぼんやりしていることが増え、宿題を始めるまでに時間がかかる。朝も起きにくくなり、ささいなことで怒ることが増えている、という話が出てくることがあります。
このような場合、幼児教室ひまわりで確認するのは、それぞれの習い事の良し悪しだけではありません。
移動時間、自宅練習、睡眠、宿題、自由時間まで含めた一週間を書き出し、すべてを合わせた生活がお子さまにとって無理のないものになっているかを見ます。
一週間を書き出すと、教室にいる時間より、移動や自宅練習の負担が大きいこともあります。その場合は、回数を減らす、一定期間休む、練習量を見直すなどの調整を考えます。
大切なのは、どの習い事にも価値があるかどうかではありません。
すべてに価値があっても、すべてを今、同時に行う必要があるとは限らないということです。
相談事例2|子どもが「楽しい」と言うため、疲れを見落としていた
「本人が楽しんでいるので、習い事が多くても問題ないと思っていました」というご相談もあります。
お子さまは、習い事の先生や友達が好きで、教室で活動している間は楽しそうにしています。発表会や試合にも前向きです。
しかし、習い事へ行く前になると準備が進まない。急に不機嫌になる。帰宅後は宿題を嫌がり、親子で言い争うことが増えている。
詳しく話を聞くと、こうした前後の変化が見えてくることがあります。
習い事そのものが嫌いとは限りません。活動中は楽しんでいても、毎日のように予定が続くことに疲れている場合があります。
このようなときは、「習い事は楽しい?」と聞くだけでなく、
「今の回数は多くない?」
「家で遊ぶ日もほしい?」
「回数を減らしたら続けやすい?」
と聞いてみます。
習い事が好きなことと、現在の予定に余裕があることは別です。
子どもの「楽しい」という言葉を尊重しながら、行く前後の様子や生活全体を見ることが大切で
す。
相談事例3|辞めさせると根気が育たないのではと心配だった
「一度始めた習い事を途中で辞めさせると、嫌なことから逃げる子になりませんか」というご相談もあります。
お子さまは、習い事そのものを完全に嫌っているわけではありません。
ただ、自宅練習になると強く嫌がる。何度声をかけても始めない。保護者の方がそばにつくと、かえって言い争いになる。このような状態が続いていることがあります。
保護者の方は、
「ここまで続けたのにもったいない」
「もう少し頑張れば次の級に上がれる」
「途中で辞める癖をつけたくない」
「つらいことでも続ける経験が必要なのではないか」
と考え、何とか続けさせようとします。
習い事を通して、すぐに諦めずに取り組む力を育てたいと考えること自体は、決して間違いではありません。
ただし、ここでは、
「少し難しいけれど、支えがあれば乗り越えられる状態」なのか、
「続けることで、親子ともに疲れ切っている状態」なのか、
を分けて考える必要があります。
幼児教室ひまわりでは、すぐに「辞めるべき」「続けるべき」とは決めません。習い事そのものが嫌なのか、自宅練習だけが負担なのか、先生との相性や頻度に問題があるのかを確認します。
そのうえで、練習量や回数を減らす、先生に相談する、発表会を区切りにする、一定期間休むといった選択肢を考えます。
辞めることと、嫌なことから何も考えずに逃げることは同じではありません。
なぜ苦しくなっているのかを親子で整理し、これまでにできるようになったことを振り返り、納得できる区切りを作ることができれば、辞めるという判断も子どもの成長につながります。
大切なのは、何があっても続けさせることではありません。
今の子どもにとって、続けることが力になるのか、いったん立ち止まって見直すことが必要なのかを考えることです。
習い事は何個から多すぎるのか
「幼児の習い事は何個までならよいですか」
「3個は多すぎますか」
「週に何日までなら問題ありませんか」
このような質問を受けることがあります。
しかし、習い事が多すぎるかどうかを、一律に個数だけで決めることはできません。
たとえば、同じ3つの習い事でも、
・すべて自宅の近くで通える
・週に1回ずつ、短時間である
・自宅練習や宿題がほとんどない
・本人が自分から準備して通っている
・睡眠や自由時間が確保できている
という場合は、大きな負担にならないことがあります。
一方で、習い事が2つでも、
・移動に長い時間がかかる
・毎日自宅練習や宿題がある
・帰宅時間が遅くなる
・土日も試合や発表会で埋まる
・練習を巡って親子喧嘩が続いている
という場合には、生活への負担が大きくなります。
習い事の個数は、一つの目安にはなります。
ただし、判断するときには、授業時間だけでなく、移動、着替え、待ち時間、自宅練習、宿題、試合や発表会まで含めて考える必要があります。
ひまわり教育研究センターの調査で分かった幼児期の習い事
当社付属のひまわり教育研究センターでは、2023年4月、幼児期の習い事の数と種類について独自調査を行いました。
ひまわり教育研究センターは、幼児教室ひまわりと同じく、イノベーションシステム株式会社が運営する教育調査機関です。所長は、幼児教室ひまわりで副塾長を務める上田尚子です。
調査は、アイブリッジ株式会社を通じて、2023年4月14日から4月20日に実施しました。
対象は、偏差値60以上の中学校に通う子どもを持つ母親100人と、それ以外の中学校に通う子どもを持つ母親100人です。
→ 調査結果の詳細はこちら(ひまわり教育研究センター)
偏差値60以上の中学校に通う子どもでは「3つ」が最多
偏差値60以上の中学校に通う子どものグループに、幼児期の習い事の数を尋ねたところ、最も多かった回答は「3つ」で29%でした。
続いて、
・2つ:25%
・1つ:21%
・習い事をさせていなかった:12%
という結果でした。
一方、偏差値60以上ではない中学校に通う子どものグループでは、
・1つ:42%
・習い事をさせていなかった:31%
・2つ:22%
という結果でした。
今回の調査対象では、偏差値60以上の中学校に通う子どものグループの方が、幼児期に複数の習い事を経験していた割合が高くなりました。
習い事の種類では、どちらのグループでもスイミングが最も多く、偏差値60以上の中学校に通う子どものグループでは、楽器や英語を経験していた割合も高くなっていました。
習い事を多くすれば学力が上がるとは言えない
この調査は、幼児期の習い事と進学先との間に見られた違いを比較したものであり、習い事の数や種類が進学先を決めたという因果関係を示すものではありません。
また、両グループでは世帯年収や居住地域にも違いがあり、中学受験の有無には家庭の教育方針や地域の受験環境も関係します。偏差値も、子どもの学力や成長を見る一つの指標にすぎません。
今回の調査対象では、偏差値60以上の中学校に通う子どものグループに、幼児期に複数の習い事を経験していた家庭が比較的多く見られました。
複数の習い事があること自体を、直ちに悪いと判断する必要はありません。
一方で、習い事は多いほどよいという結論にもなりません。
家庭教育の経験から見ても、数や種類に一つの正解はない
ひまわり教育研究センター所長の上田尚子は、幼児教室ひまわり副塾長として保護者への教育指導に携わり、自身も3人の子どもの家庭教育を実践してきました。詳しいプロフィールは、幼児教室ひまわりの講師紹介ページでもご覧いただけます。
3人は東京大学医学部または京都大学医学部へ進学し、そのうち1人は東京大学理科三類に首席合格しています。
3人は東京大学医学部または京都大学医学部へ進学し、そのうち1人は東京大学理科三類に首席合格しています。
ただし、3人全員に同じ習い事をさせたわけではありません。同じ家庭で育つきょうだいでも、興味、性格、得意なこと、生活状況は異なります。
大切なのは、一般的によいと言われる習い事をそろえることではなく、その子に合う経験を、家庭に無理のない形で取り入れることです。
習い事が多すぎるかを判断する7つのサイン
習い事が多すぎるか迷ったときは、個数ではなく、子どもの生活にどのような変化が起きているかを見てください。
1.睡眠時間が減っている
習い事から帰る時間が遅くなると、食事、入浴、宿題が後ろへずれ、就寝時間も遅くなります。
朝起きにくくなった、休日に長く寝るようになった、園や学校で眠そうにしているという場合は、予定を見直す必要があります。
大切なのは、理想的な睡眠時間の数字だけではありません。
習い事が増える前と比べて、眠り方や起き方が変わっていないかを見てください。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」や、e-ヘルスネット「こどもの睡眠」でも、子どもの睡眠は心身の健康や日中の活動に関わる大切な要素として説明されています。
もちろん、必要な睡眠時間には個人差があります。ただし、習い事が増えてから、朝起きにくくなった、休日に長く寝るようになった、日中にぼんやりすることが増えたという場合は、予定そのものが子どもの生活リズムを圧迫していないかを見直す必要があります。
習い事を続けるかどうかを考えるときは、「何を習っているか」だけでなく、「十分に眠れているか」を必ず確認したいところです。
【参考情報】厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
【参考情報】厚生労働省 e-ヘルスネット「こどもの睡眠」
2.何も決められていない自由時間がない
予定のない時間を見ると、「何か有意義なことをさせた方がよいのでは」と感じる保護者の方もいると思います。
しかし、子どもにとって自由時間は、何もしていない時間ではありません。
自分で遊びを考える。
好きな本を読む。
きょうだいと遊ぶ。
ぼんやりする。
今日あったことを話す。
疲れを回復する。
このような時間も、成長に必要です。
習い事を減らして生まれる時間は、無駄な空白ではありません。
文部科学省も、幼児期の教育について、遊びを通して子どもの資質・能力を育み、その力が小学校以降の学習や生活の基盤になると説明しています。
つまり、予定が入っていない時間は、ただの空き時間ではありません。子どもが自分で遊びを選び、考え、きょうだいや親と話し、疲れを回復する時間でもあります。
習い事を減らすことは、学びの機会を減らすこととは限りません。子どもが自分で動き、考え、落ち着いて過ごす時間を取り戻すことでもあります。
【参考情報】文部科学省「幼児教育の重要性・遊びを通した学び」
3.習い事の前後で機嫌が大きく崩れる
子どもが「辞めたい」と言わなくても、負担は行動に表れることがあります。
・出発前になると急に怒る
・準備に時間がかかる
・帰宅後、きょうだいに当たる
・食事中にぼんやりしている
・翌朝まで疲れが残っている
このような変化が続く場合は、「習い事が嫌いなのか」と決めつけるのではなく、予定の詰まり方や休息の少なさを確認してください。
4.宿題や自宅練習を巡る親子喧嘩が増えた
習い事そのものは楽しんでいても、自宅での宿題や練習が大きな負担になっている場合があります。
保護者が一緒に取り組むことで楽しくなることもあります。
しかし、一緒に取り組んでも毎回衝突する、練習の時間になると親子ともに苦しくなるという場合は、続け方を見直す必要があります。
親の役割は、何としても練習させることではありません。
練習量を減らせるか、先生に相談できるか、頻度を変えられるか、それでも難しければ休むべきかを考えることです。
5.食事や入浴が毎日慌ただしい
習い事から帰った後に、
「早く食べて」
「早くお風呂に入って」
「宿題をやって」
「もう寝る時間だよ」
と、指示ばかりになっていないでしょうか。
習い事が子どものためのものでも、家庭生活のすべてが慌ただしくなり、親子が落ち着いて話す時間を失っているなら、見直す価値があります。
6.「辞めたい」「休みたい」と言えない
子どもが「続けたい」と言っていることは、大切にしたい気持ちです。
ただし、保護者をがっかりさせたくない、先生や友達に申し訳ない、これまでにかけたお金を気にしているなどの理由から、辞めたいと言えない子どももいます。
大切なのは、
「続けたい?」
だけでなく、
「回数を減らしたい?」
「少し休みたい?」
「家で過ごす日もほしい?」
「発表会が終わったら考えたい?」
と、いくつかの選択肢を示すことです。
続けたいとも辞めたいとも言える関係が、子どもの安心につながります。
7.保護者やきょうだいまで疲弊している
習い事を考えるとき、子どもの負担だけを見ればよいわけではありません。
・送迎で保護者が常に焦っている
・きょうだいが毎回付き添わされる
・家族で過ごす時間がなくなる
・家計への負担が大きい
・夫婦間で習い事を巡る意見の違いが続く
このような状態も、見直しのサインです。
親の負担を理由に習い事を減らすことは、身勝手ではありません。
家庭全体が安定していることも、子どもが安心して学ぶための大切な条件です。
子どもの習い事で親が見落としやすいこと
習い事が多すぎるのではないかと迷ったとき、保護者の方は「何個しているか」「どの習い事に効果があるか」を基準に考えやすくなります。
しかし、最も見落としやすいのは、一つひとつの習い事ではなく、すべてを合わせた生活全体です。
水泳にも、英語にも、音楽にも、学習系の習い事にも、それぞれ良さがあります。そのため、「どれも子どもの将来に役立つのだから、できるだけ続けた方がよい」と考えてしまうことがあります。
けれども、一つひとつに価値があっても、すべてを同時に続けることで、睡眠、自由時間、家庭学習、親子の会話が失われているなら、今の子どもに合った組み合わせとは言えないかもしれません。
習い事が多すぎるかどうかは、個数や一般的な効果だけでは決まりません。
大切なのは、習い事を含めた一週間の中で、子どもと家庭に無理が出ていないかを見ることです。
個数だけで多すぎるかを決めてしまう
「3個だから多すぎる」
「周りの家庭は5個しているから、うちはまだ少ない」
という比較では、子どもの負担は分かりません。
同じ習い事でも、通う距離、先生の方針、練習量、子どもの性格によって負担は変わります。
見るべきなのは、予定表の数ではなく、その予定を過ごしている子どもの姿です。
子どもが楽しんでいれば負担はないと思う
習い事が遊びの延長になっている子どももいます。その場合、複数の習い事があること自体を問題にする必要はありません。
ただし、楽しい活動でも、予定が続けば疲れます。「楽しい」という言葉だけでなく、出発前後の機嫌、睡眠、自由時間も合わせて見てください。
良い習い事は全部続けた方がよいと思う
水泳にも、英語にも、音楽にも、運動にも、それぞれの良さがあります。
しかし、一般的に価値がある習い事と、今の子どもに必要な習い事は同じではありません。
子どもの将来に役立つ可能性があるからといって、すべてを同時に行う必要はありません。
今は一つに集中し、別のものは後から始めることもできます。
教室へ通わず、家庭の遊びとして取り入れる方法もあります。
辞めることを失敗だと考える
途中で辞めると、これまでの時間や費用が無駄になると感じるかもしれません。
しかし、習い事を通して身につけた経験は、辞めたからといってなくなるわけではありません。
水に慣れた。
人前で発表した。
音楽を楽しんだ。
先生の話を聞いて活動した。
練習してできるようになる経験をした。
これらは、続けなかったとしても子どもの中に残ります。
辞めることを失敗にしないためには、できるようになったことを親子で振り返り、納得できる区切りを作ることが大切です。
成果だけを見て、生活上の負担を見落とす
級が上がった、曲が弾けた、英単語を覚えたなど、成果は目に見えます。
一方で、移動時間、待ち時間、練習、睡眠不足、親子喧嘩などの負担は、成果ほど分かりやすくありません。
習い事を判断するときは、得られているものだけでなく、そのために何を使っているかも見る必要があります。
習い事を減らすか迷ったときの5つの手順
1.習い事にかかる時間をすべて書き出す
まず、一週間の予定を書き出します。
教室にいる時間だけではなく、
・移動
・着替えや準備
・待ち時間
・自宅練習
・宿題
・試合や発表会
・帰宅後の立て直しにかかる時間
まで含めてください。
書き出してみると、どこで負担が大きくなっているかが見えやすくなります。
2.続ける目的を確認する
それぞれの習い事について、なぜ続けているのかを考えます。
・子どもが好きだから
・体力をつけたいから
・学習の基礎を作りたいから
・友達や先生とのつながりがあるから
・将来必要になると思うから
・辞めるのがもったいないから
・親が不安だから
どの理由も、すぐに否定する必要はありません。
ただし、子どもの希望と親の不安を分けて考えることは大切です。
3.子どもの気持ちを選択肢で聞く
「続けたい?」と聞くだけでは、子どもは「続ける」と答えやすくなります。
次のように聞いてみてください。
「今の回数のまま続けたい?」
「回数を減らしたら楽になる?」
「少し休むのはどう?」
「次の発表会まで続けて、その後考える?」
「別のことをやってみたい?」
「家で遊ぶ日を増やしたい?」
子どもが自分の気持ちを整理できる聞き方をすると、続けるか辞めるか以外の選択肢も見えてきます。
4.辞める前に調整できることを考える
負担を減らす方法は、完全に辞めることだけではありません。
・週2回を週1回にする
・自宅練習の量を先生に相談する
・近い教室へ変える
・一定期間休む
・競技コースから楽しむコースへ変える
・オンラインや家庭での活動に変える
調整によって、再び楽しく取り組めることもあります。
5.見直す時期を決める
習い事は、一度始めたら無期限に続けるものではありません。
学期末、進級時、発表会後、半年後など、定期的に振り返る時期を決めておきましょう。
始めるときに、
「まず半年やって、その後どうするか話そう」
「発表会が終わったら、続けたいか聞かせてね」
と伝えておけば、子どもも気持ちを話しやすくなります。
続けるときも辞めるときも、ハッピーエンドにする
習い事を続ける場合は、級や成績だけでなく、子どもが何を楽しんでいるのかを確認してください。
先生が好きなのか。
友達と会うことが楽しいのか。
できなかったことができるようになるのがうれしいのか。
発表することが好きなのか。
楽しさの中身が分かれば、続け方も考えやすくなります。
辞める場合も、
「できなかったから辞める」
「頑張れなかったから辞める」
という終わり方にはしない方がよいでしょう。
「ここまで続けて、これができるようになったね」
「先生や友達と楽しい時間を過ごせたね」
「今は一度休んで、またやりたくなったら始めてもいいね」
と伝えれば、それまでの経験を肯定して終えることができます。
辞めることは、これまでの経験を無駄にすることではありません。
習い事が多くても問題になりにくい家庭の特徴
ここまで習い事の負担について説明してきましたが、習い事が多い家庭を一律に問題視する必要はありません。
複数の習い事をしていても、
・子どもが自分から準備して通っている
・睡眠時間が確保できている
・自由に遊ぶ時間がある
・家庭で穏やかに過ごせている
・宿題や練習を巡る親子喧嘩が続いていない
・休む、減らす、辞めるという選択肢も認められている
・送迎や家計に無理がない
・習い事以外の話をする時間がある
という状態なら、無理なく続けられている可能性があります。
大切なのは、習い事が多いか少ないかではありません。
子どもと家庭に余裕があるかどうかです。
よくある質問
幼児の習い事は何個までですか?
一律に何個までとは決められません。
同じ3個でも、頻度、移動時間、自宅練習、子どもの性格によって負担は変わります。
個数だけでなく、睡眠、自由時間、食事、家庭での機嫌、親子関係への影響を見て判断してください。
子どもが全部続けたいと言う場合はどうすればよいですか?
子どもの希望を尊重しながら、一定期間続けて生活への影響を確認する方法があります。
「まず3か月続けて、疲れ方や自由時間を一緒に見よう」と決めてもよいでしょう。
続けたいと言っていても、回数を減らす、休む日を作るなどの調整が必要なこともあります。
途中で辞めると根気がなくなりませんか?
辞める理由や終わり方によります。
嫌なことがあるたびに考えずに投げ出すことと、生活への影響を振り返り、納得できる区切りを作ることは同じではありません。
できるようになったことや続けてきた過程を振り返り、子ども自身も納得して終えることが大切です。
習い事を減らすと、将来の可能性が狭まりませんか?
教室へ通うことだけが、子どもの可能性を広げる方法ではありません。
家庭で音楽に触れる、英語の動画を楽しむ、公園で体を動かす、本を読むなど、日常の中でも経験を増やすことはできます。
今は休み、成長してから再開することも可能です。
中学受験を考える場合、いつ習い事を減らせばよいですか?
学年だけで一律に決める必要はありません。
学習時間、子どもの疲労、本人が大切にしたいこと、習い事の頻度を見て判断します。
受験勉強を理由に習い事を辞める場合も、それまでにできるようになったことを振り返り、「受験が終わったらまた考えよう」と前向きに区切ることが大切です。
まとめ|習い事の数より、子どもの一週間を見る
習い事が多すぎるかどうかは、3個、4個という個数だけでは決まりません。
ひまわり教育研究センターの調査では、偏差値60以上の中学校に通う子どものグループに、幼児期に複数の習い事を経験していた家庭が比較的多く見られました。
この結果からも、複数の習い事があること自体を、すぐに悪いと判断する必要はありません。
一方で、習い事を多くすれば学力が高くなるわけでもありません。
習い事が多すぎるか判断するときに見るべきなのは、
・睡眠が足りているか
・自由に遊ぶ時間があるか
・食事や入浴が慌ただしくなっていないか
・習い事の前後で機嫌が崩れていないか
・家庭学習や宿題に無理が出ていないか
・親子の衝突が増えていないか
・子どもが「休みたい」「辞めたい」とも言えるか
・家庭全体が疲弊していないか
という生活の様子です。
一つひとつの習い事に価値があっても、すべてを今、同時に続ける必要はありません。
続ける、回数を減らす、いったん休む、教室を変える、家庭で楽しむという選択肢があります。
習い事が多すぎるかどうかは、予定表に並んだ習い事の数ではなく、その予定を過ごしている子どもの姿を見て判断することが大切です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
幼児教室ひまわりの無料メールマガジンでは、難関校を視野に入れるご家庭に向けて、幼少期の習い事や家庭学習、塾選びで迷ったときの判断基準をお届けしています。
今回のように、「習い事が多すぎるのではないか」「でも減らすと将来の可能性が狭まるのではないか」と迷う場面でも、大切なのは個数や一般的な効果だけで判断することではなく、睡眠、自由時間、家庭学習、親子の会話など、一週間全体に無理が出ていないかを見ることです。
子どもの可能性を広げながらも、習い事や学びの環境を家庭に合った形で整えていきたい方は、ぜひ参考になさってください。
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