子どもの読解力を鍛える7つの方法|本をたくさん読むだけでは足りない理由
最終更新日 2026年08月25日
幼児教室ひまわりの熊野です。
私は中学受験を経験して灘中学・灘高校へ進み、その後、大阪大学医学部へ現役で進学しました。学生時代から塾講師や学習アドバイザーとして教育に携わり、2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの学力や家庭での学び方について多くの保護者の方とお話ししてきました。
子どもの読解力について、
「本はよく読むのに、国語の読解問題になると答えられません」
「音読はすらすらできるのに、『どんな話だった?』と聞くとうまく説明できません」
「算数の文章題になると、何を聞かれているのか分からなくなります」
「読解力を鍛えるには、もっと本を読ませた方がよいのでしょうか」
このようなご相談をいただくことがあります。
読解力を伸ばしたいと考えたとき、まず「本をたくさん読ませよう」と考える方は多いと思います。
もちろん、読書は大切です。いろいろな文章や言葉に触れることは、子どもの学びの幅を広げてくれます。
ただし、ここで見落としたくないことがあります。
本を何冊読んだかと、その文章をどこまで理解できたかは、同じではありません。
一冊の本を最後まで読めても、登場人物の関係が分かっていないことがあります。すらすら音読できても、知らない言葉の意味を曖昧なまま読み進めていることもあります。
反対に、読むスピードはゆっくりでも、
「この言葉はどういう意味だろう」
「なぜ、この人はこんなことを言ったのだろう」
「さっきと気持ちが変わったのかな」
と立ち止まりながら文章を読める子もいます。
読解力を鍛えるときに大切なのは、単純に読書量を増やすことだけではありません。
言葉の意味を理解し、一文一文のつながりを捉え、読んだ内容について自分なりに考える経験を増やすことです。
この記事では、私自身の学習経験に加えて、お子さんを灘中学合格、東京大学理科三類首席合格へと導いた幼児教室ひまわりの上田先生が、ご家庭で実際に行っていた関わり方も交えながら、子どもの読解力を鍛える方法をお伝えします。
読解力とは?「読めること」と「理解できること」は違う
読解力というと、「文章を読む力」「国語の問題を解く力」をイメージする方が多いかもしれません。
もちろん、それも読解力の一部です。
しかし、読解力は、書かれている文字を声に出して読めることだけを指すものではありません。
文章に書かれている情報を理解し、前後の内容をつなぎ、必要な情報を取り出しながら、「何が書かれているのか」を自分なりに捉えていく力です。
OECDのPISAでも、読解力は、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考することまで含む、幅広い力として捉えられています。
つまり、読解力は、書かれている文字を読めるかどうかだけで判断するものではありません。
「文字が読めること」と「文章の意味が分かること」は、分けて考える必要があります。
読解力は国語だけに必要な力ではない
読解力が必要になるのは、国語の授業だけではありません。
たとえば算数の文章題では、
「何が分かっているのか」
「何を求める問題なのか」
「どの数字とどの数字を使うのか」
を文章から読み取る必要があります。
理科や社会でも、教科書や資料に書かれている内容を理解し、問題文の条件に合わせて答える必要があります。
学年が上がるほど、「計算ができる」「漢字を知っている」といった個別の知識だけではなく、書かれている内容を正確に捉える力が学習全体に関わるようになります。
そのため、「読解力を鍛える=国語の成績を上げるため」とだけ考える必要はありません。
文章を読み、情報を整理し、自分で考えるための土台として育てていきたい力です。
すらすら音読できても、理解しているとは限らない
保護者の方が見落としやすいのが、
「すらすら読めているから、内容も理解できているだろう」
という判断です。
子どもは文字を読むことに慣れてくると、文章を止まらずに音読できるようになります。しかし、声に出して読めることと、文章の意味まで理解できていることは同じではありません。
読み終わったあとに、
「どんなお話だった?」
「この人は、なぜこうしたのかな?」
と聞いてみると、うまく答えられないこともあります。
知らない言葉を曖昧なまま読んでいたり、誰が何をしたのかを整理できていなかったりしても、文字だけは先へ読めることがあるからです。
だからこそ、読解力を見るときは、どれだけすらすら読めたかだけではなく、どこまで意味を理解して読めたかを見ることが大切です。
本をたくさん読ませれば、子どもの読解力は伸びる?
読解力についてご相談を受けていると、
「うちの子は本をあまり読まないので、読解力がないのでしょうか」
「毎月何冊くらい読ませればよいですか」
と聞かれることがあります。
本を読む習慣は、ぜひ大切にしてほしいと思います。
読書を通して、子どもは日常会話では出会わない言葉や表現、さまざまな考え方に触れることができます。
一方で、
「たくさん読めば、その分だけ読解力が高くなる」
と単純に考えない方がよいでしょう。
読書量だけで読解力を判断しない
一か月に10冊読んでいる子と、3冊読んでいる子がいたとして、冊数だけを見て「10冊読んでいる子の方が読解力が高い」と判断することはできません。
10冊を次々に読み終えていても、分からない言葉や文章のつながりを曖昧なまま読み進めていることがあります。
反対に、読んだ冊数は多くなくても、分からない言葉に立ち止まったり、「誰が何をしたのか」を確かめたりしながら、一つの文章を丁寧に読んでいる子もいます。
大切なのは、読書量を否定することではありません。
読む量と、理解の深さを別々に見ることです。
たくさんの本に触れる経験も大切ですし、一つの文章を立ち止まって考える経験も大切です。
どちらか一方だけに偏る必要はありません。
「何冊読んだか」より「どう読んだか」を見る
ご家庭で読書について話すときも、
「今日は何ページ読んだ?」
「もう読み終わった?」
と進み具合だけを確認するのではなく、ときどき、
「どんなお話だった?」
「どの人がおもしろかった?」
「どうしてそう思ったの?」
「知らない言葉はあった?」
と聞いてみてください。
ここで大切なのは、子どもを試験するように質問することではありません。
答えられなかったからといって、
「ちゃんと読んでいないでしょう」
と責める必要もありません。
会話をしてみることで、
「話の流れは分かっている」
「この言葉のところで止まっている」
「登場人物が多くなって混乱している」
など、子どもが文章をどう読んでいるのかが見えやすくなります。
読解力を鍛える第一歩は、難しい問題集を始めることではありません。
まず、その子が文章のどこまで理解できているのかを見ることです。
子どもが文章をうまく理解できていないように見えるときも、すぐに「読解力が低い」と一つにまとめないことが大切です。
たとえば、
・知らない言葉が多く、意味を取るところで止まっている
・一文の中で「誰が・何をしたのか」を整理できていない
・指示語や前後の文章のつながりを追えていない
・内容は分かっていても、自分の言葉で説明することが難しい
など、同じ「読解が苦手」に見えても、つまずいている場所は子どもによって違います。
だからこそ、すぐに本の冊数や問題演習を増やすのではなく、その子が文章のどこで分からなくなっているのかを見つけることが重要です。
幼児教室ひまわりでも、読解力についてご相談を受けるときには、「もっと本を読ませましょう」とだけお伝えするのではなく、お子さまがどこで理解しにくくなっているのかを見ます。
語彙で止まっているのか。一文の意味を捉えるところなのか。前後のつながりを追うところなのか。あるいは、内容は理解できていても、それを自分の言葉で整理するところで難しさがあるのか。
そこが分かると、家庭でどのように関わればよいかも見えやすくなります。
子どもの読解力を鍛える家庭でできる7つの方法
では、家庭では具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。
ここからは、子どもの読解力を鍛えるために取り入れやすい7つの方法を紹介します。
どれも、読解問題を大量に解かせるような特別なトレーニングではありません。
普段の読書や音読、親子の会話の中で、
「読んだ」から「分かった」へ進む経験を増やす
ことを意識してみてください。
1.音読で「どこまで理解できているか」を見る
音読は、子どもが文章をどのように読んでいるのかを知るために役立ちます。
ここでの目的は、できるだけ速く、間違えずに読むことではありません。
子どもが、
・どの漢字で止まるのか
・どの言葉を読み間違えるのか
・文章のどこで不自然に区切るのか
・どこを読み飛ばしやすいのか
を見ることです。
音読を聞いていると、本来はひとまとまりで読む部分を途中で区切ったり、反対に意味の切れ目を無視して読み続けたりすることがあります。こうした読み方からも、文章のまとまりをどのように捉えているかが見えてきます。
子どもが何度もつまずく言葉があれば、単に読み方が分からないだけでなく、その言葉の意味を十分に理解できていない可能性もあります。
このように音読をすると、黙読だけでは気づきにくい「どこで読みづらくなっているのか」が見えやすくなります。
大切なのは、音読を「間違えずに読む練習」だけにしないことです。
音読を通して、子どもの理解がどこで止まっているのかを見る。
この視点を持つだけでも、家庭での音読の意味は変わります。
また、読むのが遅いからといって、最初から速さだけを求める必要はありません。
大切なのは、文章の意味を置き去りにして先へ進むことではなく、内容を捉えながら読めているかを見ることです。
読む速さも学習を進めるうえでは必要になりますが、まずは「何が書かれているのか」を理解しながら読めているかを優先してください。
2.教科書以外の文章も日常の中で読んでみる
「音読をしましょう」と言うと、国語の教科書や問題集を思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、教科書の音読もよい方法です。
ただ、文章を読む機会は、勉強時間だけにあるわけではありません。
幼児教室ひまわりの上田先生は、お子さんが小さい頃から、日常生活の中にある文章も読む機会にしていました。
たとえば、何か商品を買って説明書が入っていると、
「お母さん今、料理しているから、この説明書を読んでくれる?」
とお願いすることがあったそうです。
説明書には、物語とは違う文章が書かれています。
「最初に何をするのか」
「何に注意するのか」
「どの順番で使うのか」
といった情報を読み取る必要があります。
しかも、読んだ内容が、これから実際に使う商品につながっています。
そのため、単に文字を読むだけではなく、
「こうやって使うんだね」
「ここは危ないから気をつけるんだね」
と、文章と現実を結びつけることができます。
上田先生は説明書だけでなく、新聞、広告、街の看板なども、子どもが文章に触れる機会として活用していました。
ここで大切なのは、何でも子どもに音読させることではありません。
「これ何て書いてある?」
「この説明、どういう意味かな?」
と、日常生活の中で自然に文章へ目を向ける機会を増やすことです。
読解力を鍛える時間は、国語の勉強時間だけではありません。
生活の中には、子どもが言葉を読み、意味を考える材料がたくさんあります。
3.分からない言葉をそのままにしない
文章を理解するためには、そこに使われている言葉の意味をある程度知っている必要があります。
たとえば、
「太郎は渋々うなずいた」
という文章があったとします。
「渋々」という言葉を知らなければ、
「太郎がうなずいた」
という出来事は分かっても、
本当はやりたくなかったけれど、仕方なく受け入れた
という気持ちまでは捉えにくくなります。
文章の中には、このように、一つの言葉を知っているかどうかで場面の理解が変わることがあります。
そのため、子どもが知らない言葉に出会ったときは、曖昧なままにしすぎないことが大切です。
ただし、分からない言葉が出るたびに、
「すぐ辞書を引きなさい」
と止める必要はありません。
まず、
「この言葉、どういう意味だと思う?」
と聞いてみます。
前後の文章から意味を想像できることもあります。
そのうえで、
「じゃあ、本当の意味を調べてみようか」
と辞書で確認すると、子ども自身が考えた意味と比べることができます。
辞書で調べたあとも、
「簡単な言葉にすると、どういうこと?」
「どんなときに使えそう?」
と聞いてみると、その言葉を自分なりに捉える経験になります。
大切なのは、辞書を引いた数を増やすことではありません。
知らない言葉に出会ったときに、分からないまま読み飛ばさず、意味を確かめる習慣をつけることです。
4.一文をじっくり読んで「誰が・何をしたか」を捉える
読解力を鍛えるためには、長い文章をたくさん読むことだけではなく、一つの文を正確に理解する経験も大切です。
国語の文章題が苦手なお子さまを見ていると、文章全体が分からないというより、一文の中で「誰が」「誰に」「何をしたのか」が曖昧になっていることがあります。
たとえば、
「太郎は、泣いている弟を見て、持っていたお菓子を半分渡しました。」
という文章があったとします。
大人には簡単な文章に見えますが、子どもに、
「泣いていたのは誰?」
「お菓子を持っていたのは誰?」
「誰がお菓子を渡したの?」
「誰に渡したの?」
と聞いてみると、意外と混乱することがあります。
文章が長くなれば、
「誰がしたことなのか」
「この『それ』は何を指しているのか」
「この『しかし』の前と後では、何が変わったのか」
といった関係も複雑になります。
そのため、読解問題でつまずいたときに、いきなり、
「このときの主人公の気持ちは?」
「作者が言いたいことは?」
と難しい問いを投げかける必要はありません。
まずは、
「ここは誰の話?」
「何が起こったの?」
「その前には何があった?」
と、一文ずつ整理してみてください。
文章を短く区切ったり、人物の名前に丸をつけたり、関係を矢印で結んだりしてもよいでしょう。
読解力というと、行間を読んだり、登場人物の気持ちを深く考えたりする力を想像しがちです。
もちろん、学年が上がればそうした力も必要になります。
しかし、その土台にあるのは、まず書かれていることを正確に捉える力です。
本文に書いてあることを丁寧に理解し、そのうえで「なぜだろう」「どういう気持ちだろう」と考える。この順番を大切にしてください。
5.同じ本を繰り返し読んで、二度目の気づきを増やす
子どもが一冊の本を読み終えると、
「次は何を読ませよう」
と、新しい本を探したくなるかもしれません。
いろいろな本に触れることは大切です。
一方で、子どもが気に入った本であれば、同じ本を何度も読むことにも意味があります。
一度目に本を読むときは、
「このあとどうなるんだろう」
と、物語の展開を追うことに意識が向きやすくなります。
ところが、一度内容を知ったうえで二度目、三度目と読むと、
「最初のところに、あとで起きることが書いてあった」
「この人、このときから少し困っていたんだ」
「前に読んだときは、この言葉に気づかなかった」
と、別の部分に目が向くことがあります。
同じ文章を読みながら、新しいつながりや意味に気づくことは、文章をより深く理解する経験になります。
幼い子が同じ絵本を何度も「読んで」と持ってくることがあります。
保護者の方からすると、
「また同じ本?」
と思うこともあるでしょう。
しかし、子どもにとっては、すでに話の流れを知っているからこそ、前回とは違うところに目を向けられる場合があります。
ですから、一度読んだ本を繰り返し読みたがるときは、無理に新しい本へ進ませなくてもかまいません。
「今日は前と違うところに気づいたね」
「最初に読んだときと、印象が変わったところはある?」
と会話してみてもよいでしょう。
もちろん、同じ本だけを読み続ければよいという意味ではありません。
新しい本に出会うことと、気に入った一冊を深く読むこと。
その両方があってよいのです。
ここでも、読んだ冊数だけで読書の価値を判断しないことが大切です。
6.好きな本を入口に、読む文章の幅を広げる
読解力を鍛えたいと思うと、
「できるだけ文章の多い本を読ませた方がよいのではないか」
「名作を読ませなければいけないのではないか」
と考える方もいます。
しかし、そもそも本を読むことが苦手な子に難しい本を無理に読ませると、読書そのものが嫌な時間になってしまうことがあります。
読書習慣を作るためには、まず子どもが興味を持てるものから始めてかまいません。
たとえば、
・物語
・図鑑
・生き物や宇宙の本
・伝記
・スポーツの本
・学習漫画
・クイズやなぞなぞの本
など、入口はさまざまです。
「これなら読んでみたい」と思える本が一冊見つかることの方が、最初から難しい本を何冊も用意するより大切な場合があります。
大切なのは、
「読解力をつけるために、この本を読まなければならない」と決めすぎないことです。
子どもの興味を入口にしながら、少しずつ触れる文章の種類を広げていきましょう。
7.読んだ内容を自分の言葉で話してもらう
文章を理解できているかを見る方法の一つが、読んだ内容について子ども自身に話してもらうことです。
ただし、
「読み終わったら、あらすじを発表しなさい」
と毎回課題にする必要はありません。
読書が「あとで問題を出される時間」になると、本を読むこと自体が負担になる子もいるからです。
最初は、もっと自然な会話で十分です。
「どんなお話だった?」
「誰が一番おもしろかった?」
「どこが一番びっくりした?」
「この人、最後はどうなったの?」
と聞いてみてください。
子どもが、
「なんか、いろいろあった」
「うまく説明できない」
と答えることもあるでしょう。
その場合も、すぐに、
「ちゃんと読んでいなかったんじゃない?」
と判断する必要はありません。
話の内容は分かっていても、それを順序立てて言葉にすることがまだ難しい場合があります。
そんなときは、
「最初は誰が出てきた?」
「そのあと何が起こった?」
「それで最後はどうなった?」
と、親が少しずつ質問してあげます。
子どもの答えをつなげながら、
「なるほど。最初に〇〇があって、そのあと△△になって、最後はこうなったんだね」
と整理してあげてもよいでしょう。
このような会話を繰り返していると、
「大事なところはどこだろう」
「どんな順番で話せば伝わるだろう」
と考える経験につながります。
さらに慣れてきたら、
「どうしてそう思ったの?」
「本文のどこを読んでそう思った?」
と聞くこともできます。
ここで重要なのは、親が求めている正解を言わせることではありません。
子ども自身が、読んだことを整理し、自分の言葉で相手に伝えようとすることに意味があります。
読解力を鍛えるときに親がやりすぎないための3つの注意点
ここまで、家庭でできる7つの方法をご紹介してきました。
ただし、どの方法も、やればやるほどよいというものではありません。
読解力を伸ばしたいという思いが強くなるほど、親が関わりすぎて、かえって子どもが文章を読むことを嫌がってしまうことがあります。
ここでは、特に気をつけたい3つのことをお伝えします。
読む速さだけを求めない
子どもが読むのに時間がかかると、
「もっと速く読んで」
「テストでは時間が足りなくなるよ」
と言いたくなることがあります。
確かに、学年が上がれば、限られた時間の中で文章を読み取る力も必要になります。
ただ、文章の意味を捉えることにまだ慣れていない段階で速さだけを求めると、分からないところをそのままにして先へ進むことがあります。
一方で、「ゆっくり読めば読むほどよい」ということでもありません。
大切なのは、速いか遅いかだけで判断することではなく、内容を理解しながら読めているかを見ることです。
まず意味を正確に捉えることを大切にしながら、学年や学習内容に応じて読む速さも身につけていきましょう。
質問しすぎて、読書をテストにしない
読んだ内容について会話することは大切ですが、毎回、
「これはどういう意味?」
「主人公の気持ちは?」
「どうしてこうなったの?」
と次々に質問すると、子どもは、
「本を読むと、あとで答えなければいけない」
と感じることがあります。
親子で本を楽しんでいる時間まで、国語の授業にする必要はありません。
ときには、
「おもしろかったね」
「この絵、好きだな」
「私はここが一番おもしろかった」
という会話だけで終わってもよいのです。
読解力を鍛えるための関わりが、子どもから読書の楽しさを奪ってしまっては本末転倒です。
読解力を鍛えることと、本を楽しむことを対立させないようにしましょう。
分からないことを、親がすぐ説明しすぎない
子どもが言葉の意味や文章の内容で止まっていると、親はすぐに説明したくなります。
もちろん、必要な説明はしてかまいません。
ただ、毎回すぐに答えを教えるのではなく、
「どういう意味だと思う?」
「前の文を見ると、何か分かるかな?」
「この人、さっき何をしていた?」
と、一度考える時間を残してみてください。
読解力は、正しい意味を親から教えてもらうことだけで育つものではありません。
自分で文章を行ったり来たりしながら、
「たぶん、こういうことかな」
と考える経験も大切です。
分からないまま放置するのでも、すべて親が説明するのでもなく、子どもが自分で気づけるところを少し残すことを意識してみてください。
家庭では「読む」だけでなく「話す」機会も大切にする
子どもの読解力を鍛えるというと、読書や音読など、「読むこと」に意識が向きやすいと思います。
しかし、読んだことや経験したことを自分の中で整理するためには、日常の会話も大切です。
たとえば、
「今日、学校でどんなことがあった?」
「それでどうなったの?」
「どうしてそう思ったの?」
と話を聞くことも、自分の経験を順序立てて説明したり、理由を言葉にしたりする経験になります。
子どもの話が分かりにくいときも、すぐに大人が言い直すのではなく、
「最初に何があったの?」
「そのあとどうなった?」
と少しずつ聞いてみると、自分で考えを整理しやすくなります。
また、大人自身が本やニュースについて、
「これはどういう意味だろうね」
「私はこう思ったけれど、どう思う?」
と話すこともできます。
大切なのは、家庭を国語の授業のようにすることではありません。
言葉について考えたり、自分の考えを話したりすることが自然にできる環境を作ることです。
読解力を育てる時間は、机に向かっている時間だけではありません。
日常の中で、
読む・考える・話す・確かめる
という経験を少しずつ積み重ねていきましょう。
子どもの読解力についてよくある質問
Q.読解力を鍛えるには、毎日何分くらい本を読めばよいですか?
「毎日何分読めば読解力が上がる」と一律に決める必要はありません。
本を読む習慣がほとんどない子であれば、まずは無理なく続けられる短い時間から始めてよいでしょう。
大切なのは、長時間読ませることそのものではなく、本や文章に触れることが日常の中に自然に入っていることです。
また、長く読めたからよい、短かったから足りない、と時間だけで判断する必要もありません。
短い時間でも、分からない言葉に気づいたり、「ここがおもしろかった」と親子で話したりすることはできます。
読書時間の長さだけではなく、その子が無理なく続けられているか、文章に興味を持って読めているかも見てあげてください。
Q.漫画でも読解力を鍛えることはできますか?
漫画にも、登場人物の会話を読み、話の流れを理解し、絵と文章を組み合わせて意味を捉えるという読み方があります。
そのため、漫画が読書への入口になることはあります。
ただし、漫画は絵から得られる情報も多く、文章中心の本とは読み方が異なります。
漫画だけに限定する必要もありませんし、漫画を禁止する必要もありません。
子どもの興味を入口にしながら、図鑑、伝記、物語、科学読み物など、少しずつさまざまな文章に触れられるようにするとよいでしょう。
Q.音読と黙読では、どちらが読解力を高めるのに効果的ですか?
どちらか一方だけがよいというものではありません。
音読には、読み間違いや読み飛ばし、文章の区切り方など、子どもがどこでつまずいているかを周囲が把握しやすいという良さがあります。
特に、まだ文章を読むことに慣れていない時期には、子どもの読み方を見る一つの方法になります。
一方で、学年が上がり、本を読むことに慣れてくれば、自分のペースで黙読する時間も必要になります。
音読だけを続けなければならないと考える必要はありません。
お子さまの年齢や、今どこでつまずいているのかを見ながら、音読と黙読を使い分けていきましょう。
まとめ|読解力を鍛えるときは「何冊読んだか」だけを見ない
子どもの読解力を鍛えたいと考えたとき、
「もっと本を読ませなければ」
と思う方は多いと思います。
もちろん、さまざまな本や文章に触れることは大切です。
ただし、何冊読んだかと、どこまで文章を理解できたかは同じではありません。
読解力が低いように見えるときも、すぐに読書量や問題演習を増やすのではなく、
・言葉の意味で止まっているのか
・一文の意味を正確に捉えられているのか
・前後の文章をつなげて考えられているのか
・内容を自分の言葉で整理するところで難しさがあるのか
を見てみてください。
同じ「読解が苦手」に見えても、必要な関わり方は違います。
音読をすること、辞書を使うこと、同じ本を繰り返し読むこと、好きな本を読むこと、読んだ内容について親子で話すこと。
これらは、別々のトレーニングではありません。
すべて、文章をただ読むだけで終わらせず、「分かった」「こういうことか」と理解する経験を増やすための関わり方です。
本の冊数や読む速さだけで焦らず、まずはお子さまが今、文章のどこまで理解できているのかを見てみてください。
そのうえで、日常の中にある文章や親子の会話も使いながら、少しずつ「読む・考える・話す・確かめる」経験を積み重ねていきましょう。
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