そろばんの効果とは?計算力・暗算力は伸びる?算数が得意になるための注意点
最終更新日 2026年10月18日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
幼児教室ひまわりの熊野です。
私は3歳頃から公文式に通い、その後、中学受験をして灘中学・灘高校へ進み、大阪大学医学部へ現役で進学しました。学生時代から塾講師や学習アドバイザーとして教育に携わり、2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの学力や家庭学習について、多くの保護者の方とお話ししてきました。
幼児期の算数教育については、「そろばんを習わせると、本当に算数が得意になるのでしょうか」「暗算が速い子を見ると、やはり幼いうちにそろばんを習わせた方がよいのでしょうか」「中学受験を考えるなら、そろばんで計算力をつけておくと有利ですか」といったご質問をいただくことがあります。
幼児教室ひまわりには、現在もそろばん教室を運営し、自身もそろばん五段である柴田先生がいます。柴田先生は長年そろばんの指導に携わっており、ご自身のお子さまの算数教育にも関わってきました。私自身は幼少期に公文式を経験してきましたが、柴田先生とはこれまで、子どもの計算力をどのように伸ばすか、そろばんではどのような力が身につくのかについて話す機会がありました。
そのうえで、最初にお伝えしておきたいことがあります。私は、そろばんは計算力や暗算力を身につけるうえで、とても有効な方法の一つだと考えています。一方で、そろばんで計算が速くなることと、算数全体が得意になることは同じではありません。
算数では、正確に計算する力だけでなく、文章を読んで数量関係を理解する力、何を求めればよいのかを整理する力、式を立てる力、図を書いて考える力、解き方を工夫する力など、さまざまな力が必要です。そのため、「そろばんには効果があるのか、ないのか」と二択で考えるよりも、そろばんでは何が伸びやすく、何は別に育てる必要があるのかを分けて考えた方が、お子さまに合った教育を選びやすくなります。
この記事では、柴田先生が実際にそろばんを指導してきた経験も交えながら、そろばんで伸びやすい力と注意したいこと、さらに身につけた計算力をその先の算数学習につなげるための考え方をお伝えします。
そろばんにはどんな効果がある?
まず、そろばんの良いところから見ていきましょう。そろばんというと、「計算が速くなる」というイメージを持つ方が多いと思います。実際、それはそろばんの大きな強みです。ただ、そろばんで身につきやすいものは、単に手を速く動かす技術だけではありません。繰り返し数を扱い、珠の動きと数を結びつけていく中で、暗算の方法や、数を頭の中で処理する感覚も育っていきます。
計算の速さと正確さが身につきやすい
そろばんの大きな効果として、まず挙げられるのが計算力です。そろばんでは、数字を見て珠を動かし、答えを出すという作業を繰り返します。練習が進むと、同じ計算をより速く、より正確に処理することが求められるようになります。
柴田先生も、長くそろばんを続けている子を見ていると、計算そのものにかかる時間がかなり短くなっていくことがあると言います。これは、学校の算数やその後の学習でも一つの強みになります。たとえば、文章題の考え方が分かっていても、最後の計算に毎回時間がかかっていると、一問を解くために多くの時間が必要になります。反対に、基礎的な計算を速く正確に処理できれば、その分だけ問題の意味を考えたり、解き方を検討したりすることに時間を使えます。
私自身も公文式を経験してきた中で感じていますが、**基礎計算をある程度速く正確に処理できることは、その後の算数学習において大きな武器になります。**計算そのものに過度な負担がかからなければ、学年が上がって問題が複雑になったときにも、考える部分に力を使いやすくなるからです。
暗算力を伸ばしやすい
そろばんのもう一つの特徴が、珠算式暗算です。そろばんの学習を続けていくと、実際のそろばんを目の前に置かなくても、頭の中に珠の動きを思い浮かべながら計算できるようになる子がいます。
一般的な筆算では、数字を書きながら一つずつ処理していきます。一方、珠算式暗算では、数を珠の配置として頭の中にイメージし、その珠を動かすように計算していきます。
こうした珠算式暗算については、視覚的・空間的な情報処理との関係が研究されています。ただし、そこから「そろばんをすれば発想力全般が高まる」「頭そのものがよくなる」とまで単純に結びつけることには慎重であるべきです。
大切なのは、曖昧に「頭がよくなる」と捉えるのではなく、そろばんでは、数を頭の中で処理する独特の方法を繰り返し練習できると考えることです。そろばんを続ける中で暗算が身につけば、学校の算数でも計算部分を短時間で処理できる場面が増えていきます。
上達が見えやすく、成功体験につながりやすい
そろばんには、子ども自身が上達を実感しやすいという良さもあります。最初は時間がかかっていた問題が少しずつ速く解けるようになり、以前は間違えていた計算が正確にできるようになる。さらに、検定を受ければ級や段という形で上達が見える。このように、努力した結果が分かりやすいのがそろばんの特徴です。
子どもにとって、「前より速くできた」「全部合っていた」「次の級に上がれた」という経験は、一つの成功体験になります。柴田先生も、そろばんを指導する中で、最初は自信がなかった子が、計算できる問題が増えるにつれて楽しそうに取り組むようになる場面を見てきたそうです。
ただし、検定やタイムを励みにする子もいれば、それを負担に感じる子もいます。繰り返し練習を楽しむ子もいれば、同じ形式の問題を続けることが苦手な子もいます。そのため、そろばんの効果を見るときには、「一般的に効果があるか」だけではなく、その子自身がどのように取り組んでいるかを見ることも大切です。
そろばんで「算数が得意になる」とは限らない
ここまで読むと、「それなら、幼いうちからそろばんを始めて計算を速くしておけば、算数も得意になるのではないか」と思われるかもしれません。確かに、計算力は算数の重要な土台です。
しかし、幼児教室ひまわりで保護者の方とお話ししていると、ここで一つ見落とされやすいことがあります。それは、計算が速いことと、算数が得意なことを同じように考えてしまうことです。
たとえば、「そろばんではかなり上の級まで進んでいて、計算はとても速いのですが、文章題になると急に手が止まります」「暗算ならすぐ答えが出るのに、算数のテストでは思ったほど点数が取れません」といったご相談をいただくことがあります。保護者の方からすると、「これだけ計算できるのだから、算数もかなり得意なはずなのに」と不思議に感じると思います。
しかし、これは矛盾ではありません。なぜなら、計算する力と、「何を計算すればよいのか」を考える力は別だからです。
たとえば、「8+5」と式が与えられていれば、必要なのは主に計算する力です。しかし、「赤いボールが8個、青いボールが5個あります。全部で何個ありますか」という文章題では、その前に、「何と何を合わせるのか」「何を求める問題なのか」を文章から読み取り、自分で式を立てる必要があります。
問題が難しくなれば、さらに「この数字は使うのか」「どの数量同士を比べるのか」「図にするとどうなるのか」「どの順番で考えればよいのか」といった判断も必要になります。ここには、計算速度とは別の力が求められます。
そろばんによって計算力が高まっていても、こうした経験をあまり積んでいなければ、文章題で止まることは十分にあります。だからこそ、そろばんを評価するときには、「算数に効果があるか、ないか」とまとめて考えるのではなく、何の力が伸びているのかを分けて見ることが大切です。そうすると、お子さまの本当の強みと、これから補いたい部分が見えてきます。
算数力を分けて考えると、そろばんの役割が見えてくる
私は、子どもの算数力を見るときに、「算数ができる」「算数が苦手」という二つだけに分けない方がよいと考えています。算数には、いくつもの異なる力が必要だからです。
このように分けると、そろばんの位置づけが分かりやすくなります。そろばんには、計算や暗算という明確な強みがあります。これは決して小さなものではありません。計算に時間がかからないことは、学年が上がって問題が複雑になってからも大きな強みになります。
一方で、算数の問題を解くためには、「計算する前」の部分も重要です。何を求めるのかを読み取り、数字同士の関係を整理し、必要に応じて図や表に置き換え、どの式を使うのかを考える。一つの方法でうまくいかなければ、別の見方を試す。こうした力は、そろばんの練習だけを続けていれば自動的に身につくとは限りません。
つまり、そろばんは算数教育の一部として非常に強い学習法ですが、そろばんだけで算数教育のすべてが完成するわけではないということです。この違いを知っておくと、「そろばんを続けるべきか」という判断もしやすくなりますし、そろばんで計算力がついているお子さまに、次にどのような経験をさせればよいのかも見えてきます。
では、そろばんだけでは補いにくい力とは、具体的にどのようなものでしょうか。ここからは、そろばんで身につけた計算力をその先の算数へつなげるために、意識して育てたい力について見ていきます。
そろばんだけでは補いにくい3つの力
ここまでお伝えしたように、そろばんには、計算を速く正確に処理する力や暗算力を伸ばしやすいという大きな強みがあります。ただし、算数で必要になる力のすべてを、そろばんの練習だけで身につけられるわけではありません。
そろばんで培った計算力をその先の算数につなげるためには、計算とは別の力も意識して育てていくことが大切です。特に、文章から数量関係を読み取る力、数字の特徴を見ながら計算方法を工夫する力、途中式や図を使って考えを整理する力は、そろばんとは別の学習の中で経験を増やしていく必要があります。
文章題を読んで、式を立てる力
低学年の文章題では、足し算なのか引き算なのかを判断するところから始まりますが、学年が上がるにつれて、文章題ではより複雑な判断が必要になります。問題文の中から必要な数字を選び、数量同士の関係を整理し、割合や速さであれば何を基準に考えるのかを決めなければなりません。
そのため、計算力が十分にある子でも、文章題でつまずくことは珍しくありません。幼児教室ひまわりでも、「そろばんではかなり進んでいて計算は速いのですが、文章題になると何をすればよいのか分からなくなります」というご相談をいただくことがあります。
このような場合に、「せっかくそろばんをしているのに算数ができない」と考える必要はありません。計算する部分は十分に育っているので、次は文章を読み、数量関係を整理し、式を立てる経験を増やせばよいのです。
家庭でも、「これは何を求めている問題かな」「どの数字とどの数字が関係しているかな」「図にするとどうなるかな」と問いかけることで、計算する前の部分を考える経験を作れます。そろばんで身につけた計算力を生かすためにも、計算問題だけでなく、文章を読みながら考える機会も持たせておくとよいでしょう。
計算方法を工夫する力
そろばんでは、決められた方法で速く正確に計算することを繰り返します。この能力は非常に役立ちますが、一方で、算数では「そのまま計算する以外の方法はないか」と考えることも大切です。
この点について、柴田先生から聞いた話が印象的です。たとえば「25×16」という計算があります。25×16をそのまま計算しても答えは出せますが、16を4×4と考えれば、「25×4×4=100×4=400」と簡単に求めることができます。
ところが、そろばん五段で長年そろばんに取り組んできた柴田先生自身は、この式を見ると、数字を分解して工夫するよりも、自然に珠算式の計算へ入ってしまうことがあるそうです。
もちろん、これは柴田先生個人の経験であって、そろばん経験者すべてに当てはまる話ではありません。また、珠算式で速く正確に400を出せるのであれば、それ自体は立派な力です。
ただ、算数には「答えを出せるか」だけでなく、「もっと簡単にできないか」「数字の特徴を使えないか」と考える面白さがあります。特に問題が複雑になるほど、正面から計算するのではなく、数字の性質や規則に気づくことで簡単に処理できることがあります。
そのため、そろばんで計算が速い子にも、ときどき「ほかのやり方でもできるかな」「この数字には何か特徴がないかな」と問いかけてみるとよいでしょう。そろばんで身につけた計算力を否定するのではなく、その強みの上に、数字を別の角度から見る経験を重ねていくという考え方です。
途中式や図を使って、考えを整理する力
暗算が得意な子ほど、できるだけ頭の中で処理しようとすることがあります。簡単な計算であれば、それでまったく問題ありません。むしろ、暗算で速く処理できることは大きな強みです。
ただし、問題が複雑になってくると、すべてを頭の中だけで処理することが必ずしも効率的とは限りません。途中式を書かなかったために、どこで数字を間違えたのか分からなくなったり、複数の条件を頭の中だけで持とうとして混乱したりすることがあります。
学年が上がると、速さ、割合、場合の数、図形など、複数の条件を整理しながら進める問題が増えていきます。こうした問題では、図を書く、条件を書き出す、途中式を残すといった方法が、単なる「丁寧さ」ではなく、考えるための道具になります。
そのため、暗算でできる問題まで無理に途中式を書かせる必要はありませんが、複雑な問題では「分かっていることを書いてみよう」「図にしたらどうなるかな」と促してみるとよいでしょう。
そろばんで培った暗算力は武器です。その武器を生かしながら、必要な場面では紙の上に考えを残せるようにしておくと、その後の算数学習がより安定します。
そろばんを習わせるときに親が見落としやすいこと
そろばんについて考えるとき、保護者の方が「効果があるか」「何歳から始めればよいか」を気にされるのは自然なことです。ただ、私がそれ以上に大切だと思っているのは、何を伸ばしたくてそろばんを選ぶのかを見失わないことです。
そろばんは優れた学習法ですが、一つの習い事を始めれば、子どもの学力全体が自動的に伸びるわけではありません。そろばんの良さを生かすためにも、次のような見方には注意しておくとよいでしょう。
級や段が上がるほど、学校の学力も高くなると思ってしまう
そろばんには検定があり、級や段という分かりやすい目標があります。努力の成果が数字として見えるため、子どもの励みにもなります。
ただし、そろばんの級や段は、珠算や暗算の技能がどの程度身についているかを見るものです。学校の算数や中学受験の学力を、そのまま表しているわけではありません。
これはそろばんに限ったことではありません。どの習い事でも、その分野で上達することと、ほかの能力まで自動的に高まることは分けて考える必要があります。
級や段が上がったことは、お子さまが努力して身につけた成果として大いに評価してよいものです。そのうえで、学校の算数では文章題に困っていないか、考え方を説明できるか、図形にも無理なく取り組めているかと、別の視点から見ていきましょう。
「頭がよくなる」という言葉だけで効果を判断してしまう
幼児教育では、「頭がよくなる」「右脳が鍛えられる」「ひらめき力がつく」といった言葉を目にすることがあります。こうした表現は分かりやすい一方で、何がどう伸びるのかが曖昧になりやすい言葉でもあります。
そろばんについても、「頭がよくなるか」と考えるより、「計算が以前より速くなったか」「暗算ができるようになったか」「数を頭の中で扱えるようになったか」と、具体的に見る方がよいと思います。
そうすれば、そろばんで十分に伸びている部分と、別の学習で補いたい部分を分けて考えられます。
子どもの教育では、「この習い事をすれば頭がよくなる」という一つの答えを探すよりも、今この子にはどの力があり、次に何を経験させるとよいのかを見る方が、長期的には判断がずれにくくなります。
算数が苦手だから、とりあえずそろばんを選んでしまう
「子どもが算数を苦手にしているので、そろばんを習わせた方がよいでしょうか」というご相談もあります。
ここで大切なのは、「算数が苦手」という言葉だけで判断しないことです。算数が苦手に見えても、計算に時間がかかって困っている子と、文章題の意味が読み取れずに困っている子では、必要な働きかけが違います。
たとえば、足し算や引き算に時間がかかり、計算そのものが学習の負担になっているのであれば、そろばんで計算を繰り返し練習することが助けになる可能性があります。一方で、計算はできるのに文章題で式を立てられないのであれば、計算練習を増やすだけでは解決しないことがあります。
「算数が苦手だから、そろばんを始める」と考える前に、まずはどこで止まっているのかを見てください。そろばんが必要なのか、文章題の経験が必要なのか、あるいは数の意味そのものに戻った方がよいのか。それを見分けることが、習い事を選ぶうえでも大切です。
そろばんが向いている子・慎重に考えたい子
では、どのような子ならそろばんと相性がよいのでしょうか。
一般的には、数字や計算に興味がある子、同じ形式の練習を繰り返すことをそれほど苦にしない子、タイムや級など目標が見えると意欲が出る子、指先を動かしながら取り組むことが好きな子は、そろばんを楽しめる可能性があります。
また、「暗算を強くしたい」「計算に時間がかかるので、基礎的な計算処理を安定させたい」という目的が明確であれば、そろばんを選ぶ理由も分かりやすくなります。
一方で、そろばんそのものを強く嫌がっているのに、「計算が速くなった方が得だから」と無理に続ける必要はありません。ほかの習い事が多く、練習時間を確保することで生活全体が苦しくなっている場合も、一度優先順位を考えてよいでしょう。
ここでも大切なのは、「そろばんが良い習い事か」という一般論で決めることではありません。今のお子さまにどのような力をつけたいのか、その目的とそろばんが合っているかを見ることです。
そろばんの計算力を中学受験につなげるには?
「中学受験を考えているなら、そろばんをしておいた方が有利でしょうか」と聞かれることもあります。
私自身、中学受験を経験して灘中学へ進み、その後も多くの子どもの学習を見てきました。その経験から言えば、計算を速く正確に処理できることは、中学受験において一つの大きな武器になります。
中学受験では、限られた時間の中で多くの問題を考えます。基本的な計算に毎回長い時間がかかる子と、短時間で正確に処理できる子では、その先の問題を考えるために使える時間が違います。その意味で、そろばんによって身につけた計算力や暗算力は十分に生かすことができます。
ただし、難関校の算数ほど、単純に計算が速いだけでは解けない問題が増えていきます。問題文の条件を整理し、どこから手をつけるかを考え、図を書いたり場合分けをしたりしながら解き方を組み立てる必要があります。
そのため、そろばんを続けているお子さまが中学受験を考えるのであれば、計算力という強みを保ちながら、文章題や図形、思考問題にも触れ、「なぜこの式になるのか」「ほかの方法では解けないか」と考える経験を増やしていくとよいでしょう。
また、複雑な問題では途中式や図を書くことも大切です。暗算が得意だからこそ、すべてを頭の中で処理しようとする子もいますが、難しい問題では紙に考えを残した方が、かえって速く正確に解けることがあります。
私が大切だと思うのは、そろばんで身につけた力を否定して、別の方法に変えることではありません。計算が速いという強みを土台にして、その上に「考える算数」を積み重ねていくことです。
なお、「公文式とそろばんではどちらがよいのか」「中学受験を考えるならどちらを選べばよいのか」については、別の記事で詳しく解説しています。今回の記事では、そろばんそのものの効果と役割に絞っていますので、習い事を比較して選びたい方はそちらも参考になさってください。
そろばんは何歳から始めればいい?
そろばんを検討している保護者の方からは、「何歳から始めるのがよいですか」「幼児のうちに始めないと遅いでしょうか」というご質問もあります。
私は、年齢だけで決める必要はないと考えています。幼児でも、数に興味があり、珠を動かすことを楽しみ、先生の説明を聞きながら取り組めるのであれば始めることはできます。一方で、早く始めること自体を目的にする必要はありません。
幼児期には、実際の物を数える、お菓子を分ける、積み木の数を比べるなど、日常生活の中でも数に触れることができます。何歳から始めたかよりも、お子さまが無理なく続けられるか、そしてそろばんで身につけた力をその後の学びにどうつなげていくかを見ることが大切です。
まとめ|そろばんは算数力の一部を強くできる
今回は、そろばんにはどのような効果があるのか、そしてそろばんを習えば算数が得意になるのかについてお伝えしてきました。
そろばんには、計算を速く正確に処理する力や暗算力を伸ばしやすいという、はっきりした強みがあります。上達がタイムや級として見えやすいため、子どもによっては「できるようになった」という成功体験にもつながります。
一方で、算数には計算以外にも、文章を読み取る力、数量関係を整理する力、式を立てる力、図形を考える力、解き方を工夫する力などがあります。だからこそ、「そろばんには効果があるのか、ないのか」と二択で考えるのではなく、何の力を伸ばしたくてそろばんを使うのかを見ることが大切です。
そろばんで計算力が伸びているのであれば、それはお子さまの大きな強みです。そのうえで、文章題や図形、途中式、さまざまな解き方にも触れ、そろばんでは経験しにくい部分を補っていけばよいのです。
そろばんを習わせるかどうかを考えるときも、「頭がよくなるらしいから」「中学受験に有利らしいから」という理由だけではなく、今のお子さまに何を身につけてほしいのかを考えてみてください。
大切なのは、そろばんを習っているかどうかではなく、そろばんで身につけた計算力を、その先の算数にどうつなげていくかです。
計算力という強みを土台にしながら、文章を読み、考え、図にし、自分なりの解き方を見つける経験を重ねていくことで、そろばんで培った力を、より広い算数力へとつなげていけると思います。
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