モンテッソーリ教育のメリットとデメリット
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年11月16日
地頭の良い子供を育てる教育法として、最近ますます注目を集めるモンテッソーリ教育。
その特徴やメリット・デメリットとあわせて、子どもの自主性を育てるおすすめの方法を解説します。
子供の自主性を育てるには?
天才や成功者、いわゆる地頭の良い子どもを育てる教育法として、最近ますます注目を集めるモンテッソーリ教育。
日本でも、モンテッソーリ保育園・幼稚園が増えてきたこともあり、お子さんの入園を検討しているご家庭も少なくないでしょう。
とはいえ、具体的にどのようなことをするのか、いまいちよくわかりませんよね。
そこで今回は、モンテッソーリ教育の特徴や、メリット・デメリットについてお伝えしていきます。
家庭で取り入れられる、子供の自主性や自己肯定感を高めるための工夫も、あわせてご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことを目標とした教育法です。
そしてその根本にあるのは、子どもの自己教育力(自分を育てる力)。
つまり、大人は、子どもが自発的に学べる環境を整えるサポート役に徹し、自主性の高い子どもに育てていこうというのが、モンテッソーリの基本的な考え方です。
またモンテッソーリでは、ひとりひとりの発達にあわせた適時教育を行うことも重要視されています。
モンテッソーリ教育のメリット
つぎに、モンテッソーリ教育のメリット・デメリットを見ていきましょう。
モンテッソーリ教育のメリットには、つぎのようなことが挙げられます。
・主体性が高まる
・集中力が養われる
・個性・独創性が伸ばせる
・好きなことに納得いくまで集中できるため、情緒が安定する
・クリティカルシンキングが身につく
・コミュニケーション能力が磨かれる
モンテッソーリ教育では、「教えてもらう」消極的な姿勢ではなく、「自分で学ぶ」のが基本なので、積極性や主体性を伸ばせるというのが、最大のメリットでしょう。
また、最近ビジネスで注目されているクリティカルシンキングも、モンテッソーリ教育のメリットのひとつです。
Google創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンをはじめ、多くのモンテッソーリスクール出身の著名人が、当たり前なことを当たり前だと思わず、「本当にこれでいいのか?」「どうして、これはこうじゃなきゃいけないのか?」と、どんなこともまず疑ってみるクリティカルシンキングがモンテッソーリ教育で身についたとインタビュー等で語っています。
モンテッソーリ教育のデメリット
では、モンテッソーリ教育のデメリットとは何なのでしょうか?
一般的に、つぎのような点が、モンテッソーリ教育のでメリットといわれています。
・協調性が育ちにくい
・公立の小学校に馴染みにくい
・時間の区切りをつけるのが難しくなる
・自立しているので子どもらしさが少ない
モンテッソーリのおしごとは、各自のペースにあわせて、自由に行うのがモットーです。
日本ではモンテッソーリの小学校、中学校はまだほとんどありません。
そのため、通常の小学校で、集団生活に馴染めないのではないかと心配する親御さんは少なくありません。
時間割りも登場し、はじめのうちは戸惑うこともあったという経験者の声を耳にすることもあります。
そして、メリットで触れたクリティカルシンキングも、日本の通常の教育機関では、理解されづらいことがあるかもしれません。
例として、幼少期にモンテッソーリ教育を受けた藤井聡太棋士が、中学時代に「授業をきちんと聞いているのに、なぜ宿題をやる必要があるのですか?」と担任の先生に質問したというエピソードもあります。
ルールを守った上で与えられる自由
ただ、よく誤解されがちなのですが、モンテッソーリでは、子供がただ好き放題にしているというわけではありません。
「自由と規律」「秩序ある自由」といって、一定のルールを守った上で、はじめて自由が与えられるのです。
例えば、おしごとをするときには、ほかの子どもの邪魔をしてはいけないなど、自分自身の安全や周りの人たちに配慮したルールが決められています。
ですので、モンテッソーリ教育を受けたからといって、必ずしも協調性に欠けるいうわけではありません。
家庭でできるモンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育で使われるテクニックの中には、家庭でも気軽に取り入れられものもあります。
そこで、
「モンテッソーリ教育に興味があるけど、近くにモンテッソーリ保育園がない。」
「そこまで本格的にはしたくないけど、自発的な子供に育てたい。」
という方に、すぐに始められる4つのおうちモンテッソーリの方法をご紹介します。
1.自立をサポートする環境づくり
家庭でできるモンテッソーリ教育の1つめは、子どもが自発的に「おしごと」ができる環境を整えてあげることです。
具体的な例としては、つぎのような環境づくりが考えられます。
・おもちゃはいつも同じ場所に片付けられるよう、収納場所にラベルを付ける。
・洋服は自分で選んで取りやすいように、ハンガーにかけておく。
・下着や靴下は、子供の手が届きやすい低い位置の引き出しに収納する。
・ダイニングテーブルの近くに、雑巾やテーブル拭きを用意しておく。(床拭き用の雑巾とテーブル用の雑巾は、色分けをしておくとわかりやすい。)
・キッチンや洗面台に踏み台を置く。
例えば、このような環境が整っていない状態で「おもちゃを片付けなさい!」と言っても、子どもは何をどこにしまえばいいのかわかりません。
しかし、ちょっとした工夫をすることで、大人の手を借りずに、自分で身の回りのことをすすことへのハードルが、一気に低くなるのです。
2.子どもに選択させる
2つめは、子どもに選ばせる機会を作ることです。
「今日はどっちの服を着る?」「りんごとバナナ、どっちがいい?」など、
日常生活の中の簡単なことで構いません。
子どもは自分で決める自由をもらえたと感じ、うれしく思うでしょう。
また、誰かに指示されるのを待つのではなく、自分で考えて行動する習慣をつける練習としても有効です。
ただし、注意点がひとつ。
子どもが選んだものを親が変えようとしないことです。
たとえ服のコーディネートがバラバラでも、それが子どもが選んだものであれば、親は口を出さずに子どもの選択を尊重しましょう。
3.親が先回りして手助けしない
3つめは、子どもから助けを求められるまで、手助けをしないことです。
服のボタンがなかなかかけられなかったり、かけ間違えているのを見ると、つい手伝ったり、「間違ってるよ」と注意したくなりますよね。
しかし、モンテッソーリにおいて、親はあくまでもサポート役です。出しゃばってはいけません。
年齢的にひとりでは難しい作業のときは、途中まで手伝って、最後の仕上げは子どもに残しておくというテクニックも有効です。
子どもは、自分でできたことに自信を持ちます。
そして、自分でできることが増えていくと、自己肯定感が高まり、より自立へのモチベーションが高まります。
4.失敗を叱らない
家庭でできるモンテッソーリ教育の4つめは、失敗を叱らないことです。
せっかく自分で何かをしようと挑戦した結果、失敗して叱られたとしたら、子どものモチベーションは下がってしまいますよね。
例えば、子どもがコップの水をこぼしてしまったら、「何してるの!」と叱る代わりに、雑巾で水を拭き取ることを教えてあげましょう。
拭き終わったら、自分の力で失敗を修正できたことを褒めてあげます。
失敗は学びのチャンスなのです。
【参考情報】法を用いた親子同時セラピー
最後に
こちらのページでは、モンテッソーリ教育の特徴や、メリット・デメリットをお伝えしてきました。
どのような教育法でも、何を優先させるのかによって、デメリットは必ずあります。
しかし、子どもの自主性や自己肯定感を高めること自体は、メリット以外の何物でもありません。
文部科学省の調査でも、自己肯定感の高い子供は、学力も高い傾向にあることが報告されています。
モンテッソーリ教育を実践する施設に通わせるかどうかは別として、子どもの自主性や自己肯定感を高めるテクニックとして、できることから家庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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