1歳児の発達の特徴とは?歩かない・言葉が少ない時の関わり方も解説
最終更新日 2026年05月22日
記事執筆者:上田尚子
幼児教室ひまわり講師代表の上田尚子です。
これまで多くのご家庭の子育てと向き合う中で、1歳という時期は、成長の喜びと同時に、親御さんの戸惑いも大きくなりやすい時期だと感じています。歩き始めて行動範囲が広がり、少しずつ言葉も出てくる一方で、気持ちをうまく表現できず、泣いたり怒ったりする場面も増えていきます。「急に目が離せなくなった」「何を考えているのか分からない」「この関わり方でよいのか不安になる」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、この時期の親御さんが特に不安になりやすいのは、「まだ歩かない」「言葉が少ない」「発語が少ない」「指差しをしない」「名前を呼んでも振り向かない」「他の子より落ち着きがない」「すぐ泣く」「かんしゃくが増えた」といった他の子と比べた時の違いです。「人見知りが激しい」「後追いが激しい」も、この時期によく見られる特徴の1つです。
特に最近は、SNSやインターネットで他のお子さんの成長を目にする機会も多く、「もう○○できるんだ」「うちの子は遅れているのではないか」と、不安を感じやすい環境でもあります。
【この記事で分かること】
- 1歳児の発達の特徴
- 「まだ歩かない」「言葉が少ない」ときの考え方
- 1歳児の癇癪や泣く理由
- 1歳児に多い発達不安との向き合い方
- 親がやってしまいやすい関わり方
- 1歳児に大切な遊びや経験
- 「先回りしすぎ」がなぜ逆効果になるのか
- 1歳児の主体性や挑戦する力を育てる関わり方
その結果、多くの親御さんが無意識のうちに、「早くできるようにしなければ」「できないことを減らさなければ」と、結果に意識が向きやすくなってしまいます。
もちろん、お子さんを思う気持ちがあるからこその不安です。しかし、この考え方が強くなりすぎると、
・まだ発達途中の段階で無理にやらせる
・失敗を減らそうとして先回りする
・「できないこと」にばかり目が向く
・子どものペースより、大人の不安が優先される
という状態になりやすくなります。すると、お子さん自身が「自分で試す経験」を積みにくくなり、結果として、主体性や挑戦する力が育ちにくくなることがあります。
1歳児の関わりにおいて大切なのは、「早くできるようにすること」ではなく、「今どのような発達段階にいるのか」を理解し、その子のペースで成長できる環境を整えていくことです。「どのような発達の段階にいるのか」を理解した上で関わることです。この時期は結果ではなく、過程の中で育っている力に目を向けることで、子どもの成長は大きく変わっていきます。
当教室では私の3000人以上の親御さんの指導経験、大学教授や医師などの専門家の知見と、実際に成果を出してきた家庭の実践をもとに、子育ての判断を体系的に整理しています。本記事では、そうした現場での具体的な関わり方を踏まえながら、1歳児の発達の特徴と関わり方を、家庭で無理なく実践できる形でお伝えしていきます。
1歳児の発達の特徴
1歳児の発達を理解するうえで大切なのは、「何ができるか」ではなく、「どのように育っているか」という視点です。ここでは、身体・心・言葉の3つの側面から整理していきます。
1.身体の発達
この時期は運動能力が急速に発達し、つかまり立ちや伝い歩きから、やがて一人歩きへと移行していきます。階段や段差に興味を示したり、少し高い場所によじ登ろうとするなど、「自分で動きたい」という意欲が強くなっていきます。一方で、バランス感覚はまだ未熟であり、転倒や落下のリスクも高まります。
ここで親御さんが迷いやすいのは、「1歳時はどこまでやらせるべきなのか」「危ないことはどこで止めるべきなのか」という点です。すべてを止めてしまうと経験の機会が減り、逆に見守りすぎると危険が伴います。重要なのは、「危険を排除する」のではなく、「危険を管理しながら経験させる」という考え方です。
親御さんがやってしまいがちなことは「危ないからやめなさい」とすぐに止めてしまう関わりです。この対応が続くと、子どもは挑戦する前に諦めるようになりやすくなります。親の役割は、危険をゼロにすることではなく、「安全に挑戦できる環境を整えること」です。
2.心の発達
1歳児は欲求や感情が大きく育っていく一方で、それを言葉で表現する力がまだ十分ではありません。そのため、泣く、怒る、体を反らすといった形で全身を使って感情を表現します。この行動は「困ったこと」ではなく、「発達の途中にある状態」と捉えることが重要です。また癇癪が増えたり、すぐに泣いたりすることも珍しくはありません。
例えば、おもちゃの取り合いで叩いてしまう、かみついてしまうといった行動も見られますが、その背景には「貸してほしい」「取られたくない」という気持ちがあります。当教室の受講者の方からも、「すぐに叩いてしまうのですが、どう対応すればよいですか」というご相談をよくいただきますが、その場合は行動を止めるだけでなく、「嫌だったね」「貸してほしかったんだね」と感情を言葉にして伝えることで、子どもは徐々に落ち着いていきます。
親御さんがやってしまいがちなこととして、「叩いたらダメでしょ」と行動だけを否定する関わりがありますが、これでは気持ちの整理ができず、同じ行動を繰り返しやすくなります。重要なのは、「行動の背景にある気持ち」を理解し、それを言語化してあげることです。
3.言葉の発達
「1歳なのに言葉が少ない」「発語が少ない」と不安になる親御さんもいらっしゃいます。1歳児はまだ発語は少ないものの、大人の言葉を理解する力は急速に伸びています。この時期にどれだけ言葉に触れたかが、その後の語彙力の土台になります。
幼児期の発達については、厚生労働省の保育所保育指針においても、「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」といった経験が重要であると示されています。
【参考情報】保育所保育指針解説(厚生労働省)
ここで大切なのは、「正しく話させること」ではなく、「言葉を聞く経験を積ませること」です。「赤いね」「丸いね」といった何気ない声かけが、子どもの中に蓄積されていきます。「まだ話せないから意味がない」と考えてしまうのは避けたいところです。
1歳児ではどのような変化が起こる
「1歳なのに集中しない」「ずっと動いている」「落ち着きがない」と感じる場合もありますが、この時期は好奇心が非常に強くなり、「触りたい」「やってみたい」という意欲が行動として表れてくる時期でもあります。これに伴い、行動範囲が広がり、家庭内での安全環境の見直しも必要になってきます。
一方で、この時期の遊びはまだ「一人遊び」が中心です。他の子どもと同じ場所にいても、それぞれが別々に遊んでいる状態が一般的です。これを「関われていない」と不安に感じる必要はありません。
幼児教育においては、「遊び」が発達の中心であり、子どもが主体的に関わる経験が重要であることが示されています。
【参考情報】日本の保育・幼児教育の特質と可能性(文部科学省)
また、中央教育審議会でも、幼児期は「様々な遊びを通して多様な経験を積むこと」が発達に重要であると示されています。
【参考情報】 幼児教育と小学校教育の接続に関する資料(文部科学省)
このように、幼児期は「自分で遊び込む経験」が非常に重要な時期です。大切なのは、「他の子と関わらせること」ではなく、「自分で興味を持ち、試す経験を増やすこと」です。
1歳児に対して親はどのように働きかける?
1歳児との関わりでは、「どう関わるべきか」「どこまで見守るべきか」で迷われる親御さんも少なくありませんが、この時期は「教えること」よりも「環境を整えること」が重要になります。
歩行についても、無理に歩かせるのではなく、「歩きたくなる状況」をつくることが効果的です。例えば、少し離れた場所にお気に入りのおもちゃを置くことで、自然と歩こうとする動きが生まれます。
また、乳幼児期の発達は、身体・感情・認知が相互に関係しながら進むことが指摘されており、手先の活動も発達に重要な役割を持つとされています。
【参考情報】 幼児期の発達特質に関する研究(九州大学)
さらに、日常の中での声かけも大切です。「何をしているか」「どう感じているか」を言葉にすることで、子どもは言葉と感情を結びつけて理解していきます。
ここで注意したいのは、「先回りしすぎる関わり」です。例えば、子どもが何かに挑戦しようとしたときに、「危ないからやめておこう」とすぐに止めてしまうと、好奇心の芽を摘んでしまうことがあります。
「すべてを親が先にやってしまうこと」というのも、避けるべきポイントです。もちろん安全は最優先ですが、「できそうなことは任せる」という姿勢が、子どもの主体性を育てます。
1歳児におすすめな遊び
1歳児の遊びについて考えるとき、「1歳におすすめな遊びは?」「知育に良い遊びは?」と悩まれる親御さんは少なくありません。しかし、この時期に本当に大切なのは、特別な遊びを用意することではなく、「子どもが自分で関わり、試し、感じる経験をどれだけ積めるか」という点にあります。
これまで多くのご家庭を見てきた中で、遊びの内容そのもの以上に、「どのように遊んでいるか」「どのように関わっているか」によって、その後の発達の様子が大きく変わっていくことを実感しています。1歳児の遊びは、身体・感覚・思考のすべてを同時に育てる重要な時間です。そのため、遊びを通じてどのような経験を積むかが、そのまま発達の土台となっていきます。
1.外遊び
まず大切にしたいのが「外遊び」です。外遊びは1歳児の発達につながる非常に重要な経験です。1歳児は体を動かすことそのものに強い興味を持つ時期であり、歩く・止まる・方向を変えるといった基本的な動きが急速に発達していきます。公園での追いかけっこや、少しの段差の上り下りといった何気ない遊びでも、バランス感覚や筋力、空間の捉え方が育っていきます。
ここで意識していただきたいのは、「うまくやらせること」ではなく、「何度も試すことを許すこと」です。例えば、段差を登ろうとしてうまくいかない場面では、すぐに抱き上げるのではなく、手を添えながらもう一度挑戦できる環境を整えることで、子どもは自分なりに身体の使い方を学んでいきます。
一方で、よく見られる関わりとして、「危ないからやめておこう」と先回りして止めてしまうケースがあります。安全への配慮はもちろん大切ですが、経験そのものを減らしてしまうと、結果として身体の使い方を学ぶ機会も少なくなってしまいます。大切なのは、「危険を避けること」ではなく、「安全に挑戦できる状況をつくること」です。
2.絵本
次におすすめしたいのが「絵本の読み聞かせ」です。読み聞かせには、言葉の発達や想像力を育てる効果があります。1歳児はまだ言葉を十分に話すことはできませんが、耳から入る言葉や目にする情報を通して、非常に多くのことを吸収しています。読み聞かせは語彙を増やすだけでなく、言葉と意味を結びつける力や、想像する力を育てる大切な機会になります。
ここで重要なのは、「正しく読むこと」よりも「一緒に楽しむこと」です。ページをめくりながら「これは何かな」「赤いね」と声をかけるだけでも、子どもにとっては十分な刺激になります。
当教室のセミナーの受講者の方からも、「読み聞かせをしても集中しないのですが大丈夫でしょうか」というご質問をいただくことがあります。この時期に長時間集中させる必要はなく、短い時間でも「楽しい」と感じる経験を積み重ねることが、その後の言葉の発達や読書への興味につながっていきます。
3.積み木
三つ目に取り入れていただきたいのが「積み木遊び」です。積み木遊びは、1歳児の発達や思考力につながる遊びの一つです。一見すると単純な遊びですが、実際には多くの発達要素が含まれています。積む、崩す、並べるといった行動を通して、手先の器用さだけでなく、「どうすればうまくいくか」を考える力が自然と育っていきます。
このとき、親が形を教えたり、完成形を示したりする必要はありません。むしろ、子どもが自由に触れて試す時間を確保することが大切です。
これまで多くのご家庭を見てきた中で、遊びが「正解を当てること」に偏っている場合、子どもが自分で試すことに慎重になる様子が見られることがあります。もちろんすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、遊びの中で「自分で試す経験」が十分にあるかどうかは、一つの大切な視点になります。
ここで見られやすい関わりとして、「こうやって積むのよ」と大人が先にやり方を教えてしまうケースがあります。一見すると親切な関わりのように思えますが、子どもが自分で考える機会を減らしてしまうことにもつながります。1歳児の段階では、正解を教えることよりも、「試してみる経験」を積み重ねることの方が重要です。
4.日常生活の中での遊びについて
さらに意識していただきたいのが、「日常の中での遊び」です。特別なおもちゃや教材がなくても、日常生活そのものが十分な学びの場になります。例えば、お皿を運ぶ、洗濯物に触れる、スプーンを持つといった行動も、すべて手先の発達や理解力の向上につながっています。
このとき大切なのは、「やらせる」のではなく「一緒に関わる」という姿勢です。親が楽しそうに関わることで、子どもも自然と興味を持ち、主体的に動くようになっていきます。
1歳児の遊びにおいて重要なのは、「何をやるか」以上に、「どのような経験を積んでいるか」です。子どもが興味を持ったものに触れ、自分なりに試し、うまくいかず、また挑戦する。この繰り返しの中で、身体・思考・感情のすべてが育っていきます。
この時期の遊びは、その後の学力や思考力の土台になります。だからこそ、「上手にやらせること」ではなく、「安心して試せる環境を整えること」を大切にしていただければと思います。
本記事のまとめ
1歳児は、身体・心・言葉のすべてが大きく変化する時期です。その変化は一直線ではなく、揺れながら進んでいきます。
大切なのは、「早くできるようにすること」ではなく、「どのように育っているかを見守ること」です。子どもの行動には必ず理由があり、その理由に目を向けることで関わり方は大きく変わります。
焦らず、一つひとつの成長を積み重ねていくことが、結果として最も確かな力につながります。お子さまの成長が、穏やかに、そして力強く進んでいくことを心より願っております。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
本記事でお伝えしたように、1歳児の関わりにおいて大切なのは、「何ができるか」ではなく、「どのような発達の段階にいるのか」を理解した上で関わることです。
実際に、
・どこまでやらせてよいのか
・どこで止めるべきか
・どのように声をかけるべきか
といった場面で、迷われることも多いのではないでしょうか。
同じように見える行動でも、「発達の過程として見守るべきケース」「一度関わり方を調整した方がよいケース」があり、その判断によって、お子さまの成長の方向は大きく変わっていきます。
そしてこうした判断は、ご家庭の中だけで考えていると、気づかないうちにズレてしまうことも少なくありません。
当教室のメールマガジンでは、「どのような関わり方や判断が、お子さまにとって良い方向につながるのか」という視点を、実際のご家庭の事例をもとに、より具体的にお伝えしています。
記事でご紹介した内容も、「理解すること」と「実際に判断できること」との間には、少し距離がある場合があります。
今の関わり方で本当に良いのか、一度整理しておきたいと感じられている場合は、特に参考にしていただける内容です。
この記事を読まれた方にオススメのコラム









