メンタルが弱い子の特徴とは?強い子との違いと子供の心を強くする親の関わり方
最終更新日 2026年10月11日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
幼児教室ひまわりの熊野です。
私は中学受験を経験して灘中学・灘高校へ進み、その後、大阪大学医学部へ現役で進学しました。大学在学中は塾講師や学習アドバイザーとして約1,100人の指導に携わり、2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの学力や家庭での関わり方について、保護者の方からさまざまなご相談をいただいてきました。
子どものメンタルについても、
「少し注意されただけで、すぐ泣いてしまいます」
「難しいことになると、すぐに『無理』と言って諦めます」
「失敗することをとても嫌がり、できなさそうだと思うと最初からやろうとしません」
といったご相談があります。
こうした姿を見ると、
「うちの子はメンタルが弱いのではないか」
「もっと失敗や競争を経験させて、強くした方がよいのではないか」
と心配になる保護者の方もいると思います。
しかし、私は「すぐ泣く」「落ち込みやすい」「失敗を嫌がる」という姿だけを見て、メンタルが弱いと判断する必要はないと考えています。
大切なのは、傷つかないことではありません。
傷ついたあとに、どう戻ってくるかです。
悔しくて泣いてもいい。
失敗して落ち込むことがあってもいい。
「もうやりたくない」と思うことがあってもかまいません。
そのあとで少しずつ気持ちを整え、
「もう一回やってみようかな」
「別の方法ならできるかもしれない」
「少し手伝ってほしい」
と次の行動へ戻ることができる。
私は、こうした力も含めて「メンタルの強さ」だと考えています。
この記事では、「メンタルが弱い子」「メンタルが強い子」という言葉を使いますが、子どもを強い・弱いの二つに分けるためではありません。
メンタルが弱いように見える子、強いように見える子にはどのような特徴があるのか。
そして、子どもの心を強くしたいと考えたとき、保護者はどこを見ればよいのか。
幼児教室ひまわりでの教育相談や指導経験も交えながら、考えていきたいと思います。
メンタルが弱い子に見られやすい5つの特徴
まず、保護者の方が「この子はメンタルが弱いのでは」と感じやすい姿を整理してみましょう。
ただし、ここで紹介する特徴に当てはまるからといって、「メンタルが弱い子」と決めつける必要はありません。
子どもの反応は、生まれ持った気質、年齢、その日の体調、これまでの経験、周囲との関係などによっても変わります。
大切なのは、特徴を性格のラベルとして使うのではなく、その子がどのような場面で困りやすいのかを知る手がかりにすることです。
1.失敗すると、自分自身まで否定してしまう
メンタルが弱いように見える子の中には、一つの失敗を、自分全体の評価につなげてしまう子がいます。
たとえば、テストで間違えたときに、
「この問題ができなかった」
ではなく、
「自分は頭が悪い」
「どうせ僕はできない」
「私は何をやってもダメ」
と考えてしまう状態です。
同じ失敗でも、
「今回はここを間違えた」
と考えられれば、次に直す場所が見えます。
一方で、
「できない自分はダメだ」
となると、改善するべき対象が問題ではなく、自分自身になってしまいます。
子どものメンタルを見るときには、失敗したかどうかだけではなく、失敗したあとに、その出来事をどのように受け止めているかを見ることが大切です。
2.失敗しそうだと思うと、最初から挑戦しない
失敗そのものよりも、
「失敗した自分を見られること」
「友達よりできないこと」
「負けること」
を強く嫌がり、最初から挑戦しない子もいます。
幼児教室ひまわりでも、失敗しそうだと分かると挑戦そのものを避ける、というご相談をいただくことがあります。
外から見ると、
「やる気がない」
「根気がない」
ように見えるかもしれません。
しかし、その背景には、
「できない自分を見られたくない」
「負けて傷つきたくない」
「やって失敗するくらいなら、最初からやらない方がいい」
という気持ちがある場合もあります。
もちろん、本当に興味がないことや、やりたくない理由が別にあることもあります。
だからこそ、挑戦しないという行動だけを見て、
「逃げている」
「負けず嫌いだから仕方がない」
「メンタルが弱い」
と決めつけないことが大切です。
見るべきなのは、その子がなぜ挑戦から距離を取ろうとしているのかです。
3.嫌なことがあると、気持ちを切り替えるまで時間がかかる
友達に何か言われた。
試合で負けた。
先生に注意された。
問題を間違えた。
こうした出来事があると、長い時間気持ちを引きずる子もいます。
周囲から見ると、
「いつまで気にしているの」
「もう終わったことなのに」
と思うかもしれません。
しかし、気持ちを整理するために必要な時間は、子どもによって違います。
すぐに切り替えられる子もいれば、少し時間をかけて落ち着く子もいます。
ここで見るべきなのは、
落ち込んだかどうかではなく、そのあと少しずつ日常へ戻れているか
です。
一度気持ちが沈んだとしても、しばらくすると遊びに戻る。
次の日には学校へ行く。
もう一度練習を始める。
そうした姿があるのであれば、「落ち込んだからメンタルが弱い」と判断する必要はありません。
4.真面目で、失敗を許せない
一見すると、とても頑張り屋で真面目に見える子の中にも、失敗したときに大きく気持ちが揺れやすい子がいます。
「100点を取らなければいけない」
「先生に褒められたい」
「人よりできなければいけない」
「失敗したら恥ずかしい」
という思いが強くなると、少しの失敗でも大きく落ち込むことがあります。
たとえば、90点を取ったときに、
「90点取れた」
ではなく、
「10点も間違えた」
と考える。
ピアノで一か所間違えただけで、
「今日は全部ダメだった」
と感じる。
完璧を目指すこと自体が悪いわけではありません。
高い目標を持って努力できることは、その子の長所にもなります。
ただ、
「うまくいかなかったときでもやり直せる」
という余白がないと、挑戦すること自体が怖くなってしまいます。
目指したいのは、失敗しないことではなく、失敗しても「次にどうするか」を考えられる状態です。
5.困っていても「助けて」と言えない
メンタルが弱い子の特徴を考えるとき、意外と見落とされやすいのがこのタイプです。
泣かない。
弱音を吐かない。
親にも相談しない。
先生にも頼らない。
何でも一人でやろうとする。
こうした子を見ると、
「しっかりしている」
「メンタルが強い」
と感じるかもしれません。
しかし、本当に困ったときまで、
「分からない」
「助けてほしい」
「今日は少ししんどい」
と言えないのであれば、それだけで心が強いとは判断できません。
人は、一人ですべての問題を解決できるわけではありません。
困ったときに周囲へ助けを求めることも、困難を乗り越えるために必要な力です。
人に頼らないことと、メンタルが強いことは同じではありません。
メンタルが強い子に見られやすい特徴
では反対に、メンタルが強い子にはどのような特徴があるのでしょうか。
よく、
「泣かない」
「緊張しない」
「何を言われても気にしない」
「最後まで諦めない」
といった姿が、メンタルの強さだと思われています。
もちろん、こうした力が役立つ場面もあります。
しかし、私はそれだけでは不十分だと考えています。
子どものメンタルを見るときには、次のような姿にも注目してほしいです。
・失敗しても、自分自身まで否定しない
・「悔しい」「怖い」など、自分の感情を言葉にできる
・落ち込んでも、少しずつ次の行動へ移れる
・うまくいかないときに、別の方法を考えられる
・必要なときに、人に助けを求められる
・一度失敗しても、もう一度挑戦できる
・疲れているときには、休む判断ができる
ここには、「絶対に落ち込まない」という項目はありません。
メンタルが強い子でも、当然傷つくことはあります。
負ければ悔しい。
友達に嫌なことを言われれば悲しい。
できると思っていたことができなければ落ち込む。
その感情があること自体は、問題ではありません。
大切なのは、
感情が揺れたあと、自分なりに立て直す方法を少しずつ身につけているか
です。
たとえば、
「今日は悔しいから少し休む」
「一人では分からないから先生に聞く」
「この方法ではうまくいかないから、別の方法を試す」
と考えられることも、心の強さです。
つまり、最後まで我慢することだけが強さではありません。
続けること。
休むこと。
助けを求めること。
方法を変えること。
そして、もう一度戻ること。
こうした力を含めて、子どものメンタルを見ていく必要があります。
メンタルが弱い子を心配するとき、親が見落としやすいこと
子どものメンタルを強くしたいと思うこと自体は、決して悪いことではありません。
私自身も、困難があったときに簡単に諦めず、自分で考えながら前へ進める力は、子どもの将来にとって非常に大切だと考えています。
ただし、
「メンタルを強くしたい」という気持ちが強いほど、保護者が子どもの本当の状態を見落としてしまうことがあります。
ここからは、子どものメンタルについて考えるときに、特に注意したいことを見ていきます。
泣く・落ち込むことを「メンタルが弱い」と判断してしまう
子どもが泣いていると、
「それくらいで泣かないの」
「そんなことで落ち込んでいたら、この先大変だよ」
と言いたくなることがあります。
保護者としては、励ましているつもりかもしれません。
しかし、
「泣かないこと」
「落ち込まないこと」
を強さの基準にすると、子どもは自分の感情を出しにくくなることがあります。
悔しかったら、悔しい。
悲しかったら、悲しい。
怖かったら、怖い。
まず、その感情があることを認めたうえで、
「では、このあとどうしようか」
と考えることの方が大切です。
メンタルが強い子とは、感情が動かない子ではありません。
感情が動いたあとに、少しずつ戻ってこられる子です。
失敗しないように親が先回りしてしまう
メンタルが弱そうに見える子ほど、保護者は失敗させたくないと思います。
「難しいから、ここはやめておこう」
「間違えそうだから、答えを教えてあげよう」
「友達に負けたら落ち込むから、競争は避けよう」
と先回りしたくなることもあるでしょう。
もちろん、子どもに必要以上の負担を与える必要はありません。
一方で、すべての失敗を親が取り除いてしまうと、
「失敗したけれど、何とか立て直せた」
という経験まで減ってしまいます。
自信は、いつも成功することだけで育つわけではありません。
失敗した。
悔しかった。
少し休んだ。
誰かに助けてもらった。
前とは違う方法を試した。
そして、もう一度動くことができた。
こうした経験も、
「困ったことがあっても、何とかできるかもしれない」
という感覚につながります。
子どもを失敗から完全に遠ざけるのではなく、支えがある中で、小さな失敗ややり直しを経験できることも大切です。
最後まで我慢することを強さだと思ってしまう
「一度始めたのだから、最後までやりなさい」
という言葉が必要な場面もあります。
少し嫌だからといって何でもすぐにやめてしまえば、粘り強く取り組む経験ができないからです。
ただし、
粘ることと、無理を続けることは同じではありません。
課題がその子には難しすぎる。
体調が悪い。
精神的に疲れている。
やり方が合っていない。
強いストレスが続いている。
こうした状態でも、
「逃げたら弱くなる」
と続けさせることが、必ずしもメンタルを強くするとは限りません。
本当に必要なのは、
「もう少し頑張る」
「今日は休む」
「誰かに助けてもらう」
「方法を変えてみる」
という選択肢の中から、その場に合った方法を選べることです。
続けられることも強さですが、必要なときに立ち止まれることも大切な力です。
人に頼らない子ほど強いと思ってしまう
子どもが何でも一人でやっていると、親としては安心するかもしれません。
しかし、
「人に頼らないこと」
だけを評価しすぎるのも注意が必要です。
本当に困ったときに、
「助けて」
「分からない」
「一緒に考えてほしい」
と言えることも、社会の中で生きていくためには重要です。
自分が今どこまでできて、どこから助けが必要なのかを判断する。
そして、必要な相手に助けを求める。
これも一つの対処力です。
自立とは、何でも一人ですることではありません。
必要なときに適切な人を頼りながら、自分で前へ進めることも自立です。
自己肯定感を高めれば、メンタルも強くなると思ってしまう
子どもの心について調べると、「自己肯定感」という言葉を目にすることも多いと思います。
自己肯定感は、
「自分には価値がある」
「自分を大切にしてよい」
と思えるための、大切な土台の一つです。
ただし、自己肯定感を高めることだけで、失敗や困難への対処力がすべて育つわけではありません。
私は、子どものメンタルを考えるときには、
「自信をつけること」だけではなく、「自信を失いそうになったときに、どう立て直すか」
まで見ることが大切だと考えています。
失敗したときに、
「今回はここができなかった」
と考えられる。
次に何を変えればよいか考えられる。
分からなければ人に聞ける。
必要なら少し休める。
そして、また戻ってこられる。
こうした経験が積み重なって、子どものしなやかな心は育っていきます。
だからこそ私は、
メンタルが強い子とは、何があっても折れない子ではなく、折れたときの戻り方を少しずつ身につけている子
だと考えています。
子どものメンタルが弱く見えるのはなぜ?
ここまで、メンタルが弱い子・強い子に見られやすい特徴を見てきました。
ただ、子どもが失敗を怖がったり、落ち込みやすかったりする理由を、一つに決めることはできません。
もともと慎重な気質の子もいます。
以前に失敗したときの経験が強く残り、「また失敗したらどうしよう」と考えるようになっている場合もあります。
周囲の子と比べられる経験が重なり、「できないところを見られたくない」と感じていることもあるでしょう。
また、そもそも今取り組んでいることがその子には難しすぎたり、睡眠不足や疲れで余裕がなかったりすることもあります。
だからこそ、
「この子はメンタルが弱い」
という一言で終わらせないことが大切です。
たとえば、勉強では間違えることを極端に嫌がるけれど、好きなスポーツでは何度失敗しても挑戦する子がいます。
反対に、勉強では失敗を気にしないけれど、友達との競争になると負けることを強く嫌がる子もいます。
この場合、その子全体のメンタルが弱いというより、
「どの場面で、何を怖がっているのか」
を見た方が、子どもの状態を理解しやすくなります。
失敗すること自体が怖いのか。
周囲にできない自分を見られることが嫌なのか。
負けたあとの悔しい気持ちをうまく扱えないのか。
課題そのものが難しすぎるのか。
ここを分けて考えることで、必要な関わり方も変わります。
メンタルの弱さを性格として固定するのではなく、
「何が起きると、この子は挑戦しにくくなるのだろう」
「どんな状況なら、もう一度やってみようと思えるのだろう」
と考える。
この見方が、子どもの心を支える第一歩になります。
幼児教室ひまわりでは「やらない」という行動だけで判断しません
幼児教室ひまわりでも、子どものメンタルについて保護者の方からご相談をいただくことがあります。
実際に、
「失敗することをとても嫌がります」
「失敗しそうだと思うと、最初からやろうとしません」
「友達に負けそうだと分かると、『それ好きじゃない』と言って、やらないことがあります」
というご相談がありました。
この相談で大切だと感じるのは、表面的な「やらない」という行動だけで判断しないことです。
本当にその遊びや活動に興味がない場合もあります。
一方で、
「負けるのが嫌」
「できない自分を友達に見られたくない」
「やって失敗するくらいなら、最初からやらない方がいい」
という気持ちから、「好きじゃない」と距離を取っている可能性もあります。
外から見える行動は、どちらも「やらない」です。
だから、
「逃げている」
「根性がない」
「メンタルが弱い」
と、行動だけを見て決めつけることはできません。
大切なのは、
なぜ、その子が挑戦することから離れようとしているのか
を見ることです。
もし失敗や負けへの不安が大きいのであれば、ご家庭では、
「少しだけならやってみる?」
「一緒ならできそう?」
「今日は勝つことではなく、ここまでやってみようか」
と、挑戦の大きさを小さくする方法も考えられます。
反対に、本当に興味がないのであれば、無理に「逃げている」と解釈する必要もありません。
教育相談をしていると、表面的には同じ「やらない」という行動でも、その背景は子どもによって違います。
だからこそ私は、
「なぜやらないのか」と責めるより、「何があれば、この子は挑戦できるのか」を見ることが大切
だと考えています。
これは、子どものメンタルを見るうえで、幼児教室ひまわりが大切にしている視点の一つです。
子供のメンタルを強くするために家庭でできる5つの関わり方
では、失敗や困難があっても、自分なりに立て直していける心を育てるために、ご家庭では何ができるのでしょうか。
子どもの心を支えるために、必ずしも特別なメンタルトレーニングから始める必要はありません。
日常の中で起こる、
失敗した。
負けた。
思ったようにできなかった。
注意されて落ち込んだ。
といった場面に、周囲の大人がどう関わるか。
その積み重ねも大切です。
1.まず「悔しかったんだね」と気持ちを受け止める
負けて泣いている子に、
「それくらいで泣かないの」
と言っても、悔しい気持ちそのものがなくなるわけではありません。
まずは、
「負けて悔しかったんだね」
「できると思っていたから、嫌だったんだね」
と、今感じている気持ちを受け止めます。
ただし、ずっと共感しているだけで終わる必要もありません。
少し気持ちが落ち着いたあとに、
「じゃあ、次はどうしようか」
と次の行動へつなげます。
大切なのは、
受け止める → 落ち着く → 次を考える
という流れです。
感情を否定しないことと、その感情の中にずっととどまらせることは違います。
まず安心して気持ちを出せる。
そのうえで、次にどうするかを考えられる。
この経験を積み重ねていきます。
2.「できなかった」と「自分はダメ」を分ける
子どもが、
「僕はできない」
「私はダメ」
と言ったときには、できなかったことを具体的にしてみます。
「全部できなかったのかな?」
「どこまではできた?」
「どこから難しくなった?」
と聞いてみます。
たとえば、
「算数ができない」
のではなく、
「この文章題で、どの式を使うか分からなかった」
のであれば、次に何を確認すればよいかが見えてきます。
スポーツでも同じです。
「サッカーが下手」
ではなく、
「今日はパスがうまくつながらなかった」
と分けられれば、次に練習することを考えられます。
失敗したときに、
自分自身を問題にするのではなく、困っている場所を具体的にする。
この考え方は、勉強だけでなく、さまざまな困難に対処するときにも役立ちます。
3.「少し頑張れば届く挑戦」を作る
失敗を怖がる子に、いきなり大きな挑戦を求める必要はありません。
一方で、失敗しそうなことをすべて避けていると、
「失敗したけれど大丈夫だった」
「できなかったけれど、もう一度やれた」
という経験も持ちにくくなります。
たとえば、
10問すべてではなく、まず2問。
大勢の前で発表する前に、まず家族の前で話す。
勝ち負けのある遊びなら、最初は親子で一緒に参加してみる。
このように、
少し難しいけれど、支えがあればできそうな経験
を作ります。
困難から立ち直る力は、本人の生まれ持った性格だけで決まるものではありません。
周囲との関係や、これまでどのような経験をしてきたかなど、さまざまな要因との関わりの中で育っていくと考えられています。
また、安心して頼れる大人がいることも、子どもが困難に向き合っていくうえで大切です。
だからこそ、親が失敗をすべて取り除くのではなく、
失敗しても戻れる範囲で、挑戦できる機会を作る
ことを意識してみてください。
4.落ち着いたあとに「次はどうする?」と聞く
子どもが失敗した直後に、
「もう一回やってみよう!」
と励ましても、まだ悔しさや悲しさでいっぱいなら、すぐには動けないことがあります。
そのときは、無理に次へ進ませなくてもかまいません。
少し落ち着いてから、
「次にやるなら、どうしてみる?」
「何か一つ変えるとしたら?」
「一人でやる?少し手伝う?」
と聞いてみます。
親が解決方法を全部決めるのではなく、子ども自身にも考えてもらいます。
失敗した
↓
嫌だった
↓
少し落ち着いた
↓
次の方法を考えた
↓
もう一度動けた
こうした経験が重なることで、子どもは少しずつ、
「失敗したら終わり」
ではなく、
「失敗したあとにも、できることがある」
と感じられるようになります。
この「戻るまでの過程」そのものが大切です。
5.成功したことより「戻れた行動」を認める
子どものメンタルを強くしたいときには、成功した結果だけを見るのではなく、その前後の行動にも目を向けてください。
「勝ったね」
「100点だったね」
だけではなく、
「負けて悔しかったけれど、もう一回やったね」
「難しいと言っていたけれど、最初の一問は自分でやってみたね」
「分からないときに、ちゃんと聞けたね」
「一度休んでから戻ってきたね」
といったところです。
私は特に、失敗したあとに子どもが取った行動を認めてほしいと思っています。
なぜなら、
「うまくいった自分」
だけではなく、
「うまくいかなくても、自分なりに対処できた」
という経験にも気づけるからです。
子どもの心を強くするというと、
「もっと我慢させる」
「もっと頑張らせる」
ことを想像する方もいると思います。
しかし私は、
困ったときの戻り方を一緒に増やしていくこと
も、子どもの心を強くするための大切な関わり方だと考えています。
「メンタルが弱い」で済ませず、相談したいサインもある
すぐ泣く。
負けることを嫌がる。
慎重で、新しいことに時間がかかる。
こうした姿だけを見て、子どもの心に問題があると判断する必要はありません。
一方で、すべてを
「この子はメンタルが弱い性格だから」
で済ませてしまうのも注意が必要です。
子どもの心のSOSは、気持ちだけではなく、睡眠、食欲、体調、行動などの変化として現れることがあります。
たとえば、
・眠れない、朝なかなか起きられない状態が続く
・食欲が大きく変わった
・頭痛や腹痛、だるさなどを繰り返し訴える
・急に家族と話さなくなった
・学校へ行くことを強く嫌がる
・以前と比べて行動が大きく変わった
といった様子です。
特に大切なのは、
「今までと比べてどう変わったか」
を見ることです。
「以前はできていたのに、最近できなくなった」
「以前は楽しんでいたことを、急に楽しめなくなった」
「以前とは明らかに様子が違う」
という変化が続いているときには、子どもの話を聞き、必要に応じて専門家へ相談することも考えてください。
このようなときに、
「もっとメンタルを強くしなければ」
と家庭だけで解決しようとする必要はありません。
学校の先生、スクールカウンセラー、かかりつけの小児科など、子どもの状態に応じた相談先につながることも大切です。
また、自分を傷つける行動がある場合や、「消えたい」「死にたい」などの言葉が出ている場合には、「メンタルが弱いだけ」と考えず、早めに専門家へ相談してください。
今すぐ自分を傷つける危険があるなど、切迫した状況では、緊急の医療支援につなげることが必要です。
メンタルが弱い子についてよくある質問
Q.メンタルの強さは生まれつき決まっていますか?
子どもには、生まれ持った気質の違いがあります。
慎重な子もいれば、新しいことへすぐ飛び込める子もいます。
人の言葉を強く受け止める子もいれば、比較的気持ちを切り替えやすい子もいます。
ただし、困難から立ち直る力は、生まれつきだけで決まるものではありません。
周囲の支えや、これまでどのような経験をしてきたかとの関わりの中で育っていくと考えられています。
そのため、今失敗を怖がっているからといって、
「この子はずっとメンタルが弱い」
と決める必要はありません。
Q.すぐ泣く子はメンタルが弱いのでしょうか?
泣くことだけでは判断できません。
大切なのは、泣いたあとにどうしているかです。
しばらくすると日常へ戻れる。
「悔しかった」と話せる。
必要なら誰かに助けを求められる。
もう一度挑戦できる。
こうした姿も含めて見ていきましょう。
泣くこと自体を、無理になくそうとする必要はありません。
Q.スポーツや競争をさせればメンタルは強くなりますか?
競争やスポーツには、負ける、緊張する、失敗するといった経験があります。
そのため、困難への対処を学ぶ機会になることはあります。
ただし、競争させれば自動的にメンタルが強くなるわけではありません。
負けたあとにどう受け止めてもらえるか。
失敗したあとに再挑戦できるか。
その子にとって負担が大きすぎないか。
こうした点まで含めて見ることが大切です。
Q.「どうせ無理」と言ったときは、励ました方がよいですか?
すぐに、
「大丈夫、できるよ」
と言うより、
「難しそうに感じているんだね」
と一度受け止めてみてください。
そのあと、
「全部じゃなくて、一つだけならどう?」
「どこまでならできそう?」
と、挑戦を小さくします。
自信を持つように言い聞かせるより、実際に一歩進めた経験を作ることが、その後の自信につながります。
まとめ|メンタルが強い子とは、傷つかない子ではない
子どもには、できれば失敗してほしくない。
つらい思いをしてほしくない。
何があっても負けずに進める子になってほしい。
そう願うのは自然なことだと思います。
ただ、メンタルが強い子とは、
泣かない子でも、
落ち込まない子でも、
何でも一人でできる子でもありません。
傷ついたときに、自分なりの方法で戻ってこられる子です。
悔しかったと言える。
少し休める。
助けを求められる。
何がうまくいかなかったのかを考えられる。
必要なら方法を変えられる。
そして、もう一度やってみることができる。
その力は、一度の成功で身につくものではありません。
日常の中で、
「失敗したけれど大丈夫だった」
「困ったけれど助けてもらえた」
「一度やめたけれど、また戻ることができた」
という経験を重ねながら、少しずつ育っていきます。
だから、子どもが失敗を嫌がったときに、
「この子はメンタルが弱い」
と決めるのではなく、
「何があれば、この子はもう一度戻ってこられるのだろう」
と考えてみてください。
子どものメンタルを見るときに、幼児教室ひまわりが大切にしているのも、この視点です。
折れない子にしようとすることよりも、折れたときに戻れる場所と方法を増やしていくこと。
それが、長い目で見たときの子どもの心の強さにつながっていくと、私は考えています。
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