不登校になった時の親の対応|焦る前に知ってほしいこと
最終更新日 2026年06月03日
記事執筆者:上田尚子
幼児教室ひまわり講師代表の上田尚子です。
これまで多くのご家庭の子育て相談に関わる中で、「昨日まで普通に通っていたのに急に学校へ行けなくなった」「朝になるとお腹が痛いと言う」「どう接してよいか分からない」といったご相談を数多く受けてきました。子どもの不登校や行き渋りは、どのご家庭にも起こり得ることであり、決して珍しいことではありません。
ひまわりでは、大学教授や医師などの専門家の知見に加え、当教室でも講演をされており、不登校支援の現場に長く携わる植木希恵先生の視点も取り入れながら、親子関係と子どもの自立を重視した支援を行っています。
植木先生は、不登校や発達障害の子どもたちと20年近く向き合い、「学校に行く・行かないだけで問題を捉えないこと」が大切だと伝えてこられました。
【この記事で分かること】
- 不登校になりやすい家庭環境の特徴
- 不登校になりやすい子どもの特徴
- 親が無意識にやってしまいやすい対応の落とし穴
- 不登校になった時に親がすべきこと
- 不登校の子どもへの接し方と声かけ
- 不登校の原因を聞くべきかどうか
- 不登校の原因の聞き方で気を付けたいこと
- 学校に行かせるべきか、休ませるべきかを考える際の視点
- 見守るだけでいいのか迷った時の考え方
- 不登校の親がやってはいけないNG行動
- 親子関係を整えながら子どもの自立につなげる考え方
結論から申し上げます。子どもが不登校になったとき、多くの親御さんは「早く学校へ戻さなければ」と考えやすいものです。しかし本当に優先したいのは、登校の再開そのものではなく、子どもの心の安全と親子関係の立て直しです。学校に行けるかどうかより先に、家庭が安心できる場所になっているかが重要です。

実際、不登校になると、「このまま勉強が遅れてしまうのではないか」「将来困るのではないか」「学校へ行かない状態を認めてしまって大丈夫なのか」「多少無理させても学校に行かせるべきか、それとも休ませるべきか」「不登校になった時、親はどうするべきなのだろうか」と不安になる親御さんは少なくありません。そのため、励ましたり、説得したり、理由を聞き出そうとしたり、何とか学校へ戻そうと働きかけたりすることがあります。
もちろん、それは子どもを思う自然な親心です。ただ、その思いが強くなるほど、子どもは「学校へ行けない自分はダメなんだ」「親を心配させてしまっている」と感じやすくなります。すると、本来は安心できるはずの家庭が、子どもにとって「学校へ行かなければならない場所」になってしまうことがあります。その結果、親子の会話が減ったり、本音を話せなくなったり、不安や苦しさをさらに抱え込んでしまったりすることもあります。
だからこそ大切なのは、まず学校へ戻すことではなく、安心して休めること、安心して話せること、そして親子関係を整えることです。
本記事では不登校になりやすい背景、不登校になったときの親の対応、親がすべきこと、不登校の親はどうすればよいのか、避けたい対応について、現場の視点を交えながら分かりやすく解説します。
不登校になりやすい家庭の特徴
不登校は、家庭だけが原因で起こるものではありません。学校での人間関係、学習面の不安、本人の性格傾向、環境変化など、さまざまな要因が重なって起こります。
ただし、家庭環境が子どもに与える影響は非常に大きいものです。文部科学省(参照元:第2章 新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について)も、家庭は教育の原点であり、自立心や基本的な生活習慣、他者への思いやりなどを育てる重要な役割を担うとしています。
そのため、不登校への対応を考える際にも、学校だけに目を向けるのではなく、家庭が安心して過ごせる場所になっているか、親子関係がどうなっているかという視点を持つことが大切です。
たとえば、親が忙しすぎて子どもとの会話が極端に少ない場合、子どもは困りごとを相談するタイミングを失いやすくなります。学校で嫌なことがあっても、「こんなことを言っても迷惑かな」と感じ、一人で抱え込んでしまうことがあります。小さな悩みでも、積み重なると大きな負担になります。
一方で、心配のあまり親が先回りしすぎるケースもあります。「それは危ないからやめて」「こうしなさい」「こう言えばいい」と親がすべて決めてしまうと、子どもは自分で考え、選び、困りごとを調整する経験を持ちにくくなります。学校では、自分で判断しなければならない場面が多く、その差に苦しむことがあります。

実際にご相談を受ける中でも、親御さんが非常に熱心で、何でも先回りしてサポートしていたご家庭もありました。忘れ物がないように毎日持ち物を確認し、友達とのトラブルが起きそうな時も「こう言った方がいいよ」と親御さんがアドバイスをし、学校の準備や宿題の進め方も細かくサポートしていました。
低学年の頃までは特に問題はなく、周囲から見ても「しっかりしている子」という印象でした。しかし学年が上がるにつれて、
・友達とのトラブルを自分で解決できない
・先生に自分から相談できない
・何か困ったことが起きるとすぐに固まってしまう
といった様子が見られるようになりました。
そしてある時期から、「学校へ行きたくない」と言うようになり、朝になると体調不良を訴えるようになったのです。
もちろん不登校の原因は一つではありません。ただ、お話を伺っていく中で見えてきたのは、そのお子さん自身が悪いのではなく、「困ったときに自分で考え、選び、調整する経験が少なかった」ということでした。
親御さんとしては、子どもを守りたいという気持ちからサポートしていたのですが、その結果として、自分で判断しなければならない学校生活の中で強い負担を感じるようになっていたのです。
また、家庭内の緊張感も見逃せません。両親の不仲、家庭内での強い口論、親御さん自身の不安定さは、子どもにとって大きなストレスになります。大人は「家庭と外は別」と切り替えられても、子どもは家庭の空気をそのまま抱えて学校へ向かいます。
植木先生は、「子どもの不登校は、今まで見えにくかった親子関係のズレが表面化することがある」と述べています。これは親を責める意味ではなく、子どもの不調をきっかけに、家族全体の関わり方を見直す機会になるということです。
ここで避けたいのは、「うちは普通の家庭だから関係ない」と決めつけることです。完璧な家庭はありません。大切なのは責任探しではなく、今から安心できる家庭環境を整えることです。
不登校になりやすい子供の特徴
不登校になりやすい子どもには、いくつか共通する傾向があります。ただし、これは欠点ではなく、長所が強く出ている面でもあります。
たとえば真面目で責任感の強い子は、学校で求められることに一生懸命応えようとします。先生の期待に応えたい、友達に迷惑をかけたくない、宿題は完璧にやりたい。そうした気持ちは素晴らしいものですが、無理をしても周囲に弱音を吐けず、限界まで我慢してしまうことがあります。周囲からは「しっかりしている子」に見えても、内側では疲れ切っている場合があります。
実際、文部科学省の「令和2年度 不登校児童生徒の実態調査結果」でも、不登校の主な要因として「無気力・不安」が最も多く挙げられています。小学校では46.3%、中学校では47.1%が「無気力・不安」に分類されており、外からは見えにくい心の負担が不登校の背景に存在することがうかがえます。
だからこそ、「真面目だから大丈夫」「しっかりしているから心配ない」と考えるのではなく、その子がどれだけ無理をしていないかにも目を向けることが大切です。
実際、当教室の塾長の熊野が家庭教師をしていた頃に、とても真面目な中学生を担当したことがありました。その生徒さんは、宿題も必ず提出し、授業中も真面目に取り組み、周囲から見れば何の問題もないように見えるお子さんでした。
ただ、熊野が話を聞いていると、「先生に迷惑をかけたくない」「友達に嫌われたくない」「失敗したくない」という気持ちが非常に強く、自分の中で抱え込んでしまう傾向がありました。
実際、学校で嫌なことがあっても周囲にはほとんど相談せず、「大丈夫です」と答えることが多かったそうです。
しかし、その後少しずつ体調不良を訴えることが増え、学校生活に強い負担を感じていることがわかりました。周囲から見ると、「真面目でしっかりした子」でしたが、実際には無理を重ねながら学校生活を送っていたのです。
この塾長が教えていた生徒さんの事例から分かることは、「真面目で責任感が強いこと」と「無理を抱え込まないこと」は別の問題だということです。周囲からは順調に見えていても、本人の中では大きな負担を抱えていることもあります。
完璧主義の子も注意が必要です。失敗を必要以上に恐れ、「できないなら行きたくない」と感じやすくなります。テストの点数、友達関係、先生からの注意など、小さな出来事でも深く傷つくことがあります。感受性が高い子は、教室の騒がしさ、人間関係の空気、先生の言葉などを敏感に受け取ります。他の子には平気なことでも、大きな負担になることがあります。
実際にご相談で、「家では明るいのに学校の話になると黙ってしまう」というケースがあります。このような場合、怠けているのではなく、学校でかなりエネルギーを使い果たしている可能性があります。
避けたいのは、「そんなことで休むの?」「みんな我慢しているよ」と比較してしまうことです。子どもの負担の感じ方は一人ひとり違います。大切なのは、その子の性格を変えることではなく、どんな環境で疲れやすいのか、何が安心材料になるのかを理解することです。
不登校になった子供に親がすべきこと
子どもが不登校になったとき、最初に必要なのは説得ではなく安心です。親御さんとしては、「このままで大丈夫なのか」と不安になるのは自然なことです。しかし、子ども自身が最も困っています。
ここでは、親御さんがどのような点に気を付ければよいのかをお話させていただきます。不登校の子どもへの接し方や、不登校の親の接し方として大切なことをお話します。「不登校になった時、親は何をすればよいのか」と悩まれている方も多いと思います。

無理に励まさない
「頑張れば行けるよ」「明日は行こう」と励ましたくなるものですが、心が疲れている子には重荷になることがあります。不登校の親の声かけとして大切なのは、まず「つらかったね」「今はしんどいんだね」と受け止める言葉が必要です。
子供の話を聞く
不登校の原因を聞くべきかを悩む親御さんも多いですが、その前にお子さんの話を聞く姿勢を見せることが大切です。
不登校の原因の聞き方を間違えると、お子さんを逆に追い詰めてしまうこともあります。理由を問い詰めるより、話せる状態を作ることが大切です。すぐに原因を言葉にできない子も多くいます。雑談でもよいので、親が安全な聞き手になることが回復の第一歩です。
講座受講中の保護者から、「何度聞いても『分からない』としか言いません」と相談を受けることがあります。その場合、原因追及をいったんやめ、「今日は眠れた?」「お昼何食べる?」と生活会話から関係を戻していく方がうまくいくことが多いです。
家に居場所を作る
学校へ行けない時期、家庭まで緊張の場になると子どもは休めません。一人で落ち着ける空間、責められない時間、安心して過ごせる雰囲気を作ることが大切です。
学校以外のつながりを持つ
一方で、放っておくべきかどうか、見守るだけでいいのかと悩まれる方も多いです。少し落ち着いてきたら、友達との連絡、習い事、フリースクール、教育支援センターなど、学校以外の場所との接点も有効です。「学校に戻るしか道がない」と感じさせないことが重要です。植木先生は、「学校に行く・行かないより、自分はどうしたいかを考えられる状態に戻すことが先」と伝えています。この視点は非常に大切です。
【参考情報】COCOLOプラン(文部科学省)
不登校の親のNG行動
不登校の子どもに対して、親の焦りから逆効果になる対応があります。以下は不登校の親がやってはいけないことです。
・不登校の子どもを無理に学校へ行かせる
一時的に行けても、学校への恐怖心が強まりやすくなります。本人の心身の状態を無視した登校再開は長続きしにくいものです。
・責める・説教する
「甘えている」「将来困るよ」といった言葉は、子どもの自己否定感を強めます。すでに本人は十分苦しんでいることが多いです。
・原因をしつこく聞き出す
理由が整理できていない子に何度も聞くと、親との会話自体が負担になります。
・親が全部抱え込む
親が24時間子どもの問題だけを考え続けると、家庭全体が重くなります。植木先生が伝える「バウンダリー(自他境界)」の考え方では、子どもの課題と親の課題を分けることが重要です。たとえば、「学校へ行くかどうか」は子どもの課題です。親の課題は、安心できる環境を整え、必要な支援につなげることです。この境界が曖昧になると、親子ともに苦しくなります。
本記事のまとめ
不登校は、数日で解決することもあれば、時間がかかることもあります。だからこそ、短期決戦で考えないことが大切です。植木先生は「3割バッターを目指しましょう」と表現されています。毎回完璧な対応をする必要はなく、10回のうち3回でも落ち着いて子どもに確認できたら十分という考え方です。これは親御さんの心をとても軽くしてくれる視点です。
子育てに完璧はありません。不登校対応も同じです。感情的になってしまう日があっても構いません。そのあと「さっきはきつく言ってごめんね」と言い直せばよいのです。子どもは、学校を休んでいる間も成長しています。自分の気持ちを整理し、人との距離感を学び、次の一歩を考える時間になることもあります。
焦らなくて大丈夫です。今すぐ学校へ戻すことだけを目標にせず、親子関係を整え、安心を取り戻すことから始めてみてください。その積み重ねが、やがて子どもの自立につながっていきます。お子さまが自分らしい形で前を向き、親御さんの心も少し軽くなることを、心より願っております。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回お伝えしたようにお子さんが不登校になったときの対応は、「何をするか」以上に「どう判断するか」が非常に重要になります。
ただこうした「判断」の問題は、不登校という場面に限った話ではありません。
実際には、
・どこまでやらせるべきか
・どこで見守るべきか
・どのように関わるべきか
といった判断は、日々の子育ての中であらゆる場面に存在しています。
そしてその一つ一つの判断が、お子さんの状態や将来の伸び方に大きく影響していきます。
ただ一方で、こうした判断はご家庭だけで考えていると、気づかないうちにズレてしまうことも少なくありません。
当教室のメールマガジンでは実際に多くのご家庭と向き合う中で見えてきた、「どのような判断がお子さんにとって良い方向につながるのか」という視点を、不登校のケースに限らず、日々の子育て全体に応用できる形で具体的な事例とともにお伝えしています。
「今の関わり方で本当に良いのか」と一度整理しておきたいと感じられている場合は、特に参考にしていただける内容です。
この記事を読まれた方にオススメのコラム









