小学生の計算を速くする方法|遅い原因は練習量だけ?
最終更新日 2026年06月30日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
「小学生の子どもの計算が遅いのですが、どうすれば速くなりますか」
幼児教室ひまわりでも、計算が遅い小学生や、計算が遅い子供への関わり方について、保護者の方からこのようなご相談をいただくことがあります。
たとえば、
「計算に時間がかかる状態が続いています」
「計算ミスが多くて、テストで点数を落としてしまいます」
「家でプリントをさせていますが、なかなか速くなりません」
「タイマーを使うと、子どもが嫌がってしまいます」
「早くしなさいと言うのもよくない気がして、どう関わればよいか分かりません」
というご相談です。
計算は、算数の土台です。計算が遅いと、文章題や図形問題を考える時間が足りなくなります。テストでも、最初の計算問題に時間を使いすぎて、後半の問題に十分な時間を残せないことがあります。
そのため、保護者の方が「計算を速くしたい」「計算力を上げたい」と考えるのは自然なことです。計算が速くなる方法や、計算を速くする方法を知りたいと考える方も多いと思います。
ただし、ここで最初に気をつけたいことがあります。
小学生の計算を速くするために大切なのは、最初から急かしたり、時間を測ったり、プリントの量を増やしたりすることではありません。
意識しておくべきポイントは、どこで計算が遅くなっているのかを見ることです。
計算が遅いといっても、原因は一つではありません。1桁の計算で止まっている子もいれば、繰り上がりや繰り下がりで迷っている子もいます。九九が不安定な子、筆算の位がずれる子、暗算で無理をしてミスが増えている子もいます。
ここで保護者の方が見落としやすいのは、「計算が遅いのは、速く解く練習が足りないからだ」と考えてしまうことです。しかし本当に見るべきなのは、スピードそのものではなく、子どもがどの計算で止まり、どの処理に負担がかかっているのかです。
ここを見ないまま、「もっと速く」「もっとたくさん」と練習を増やしても、なかなか効果が出ないことがあります。むしろ、子どもが計算練習そのものを嫌がってしまうこともあります。
この記事では、小学生の計算が速くなる方法を知りたい方に向けて、計算を速くする方法としてまずどこを見るべきか、家庭学習はどのように進めるとよいか、暗算力を鍛えるときに何に気をつければよいかをお伝えします。
【この記事で分かること】
- 小学生の計算が遅い原因は練習量だけではない理由
- 計算を速くする前に確認したい「止まっている場所」
- 1桁計算・繰り上がり・九九・筆算でつまずく原因
- 計算が遅いときに親が見落としやすいこと
- 計算力を上げる家庭学習の基本
- 10のまとまりや数の分解を使った計算の考え方
- 暗算力を鍛えるときに気をつけたいこと
- タイマーを使った計算練習の注意点
- 計算ミスを減らすための見直し方
小学生の計算を速くするには、まず「どこで遅いのか」を見る
小学生の計算が遅いとき、保護者の方はつい「練習量が足りないのかな」と考えます。
もちろん、計算練習の量は大切です。計算は、何度も取り組むことで処理が安定していきます。1回説明を聞いただけで、すぐに速く正確にできるようになるわけではありません。
しかし、計算が遅い原因は、単なる練習不足だけとは限りません。
幼児教室ひまわりでも、計算が遅いというご相談を受けるときには、最初から「もっとたくさん解きましょう」とはお伝えしていません。まず、1桁計算で止まっているのか、繰り上がりで迷っているのか、九九が不安定なのか、筆算の書き方で崩れているのか、ミスの種類は何かを確認します。
同じ「計算が遅い」という相談でも、原因が違えば必要な練習も変わるからです。
たとえば、1桁の足し算や引き算で毎回考え込んでいる子は、2桁以上の計算でも時間がかかります。繰り上がりや繰り下がりのたびに止まる子は、筆算に入っても同じところで迷います。九九が不安定な子は、掛け算だけでなく、割り算や分数でもつまずきやすくなります。
実際のご相談でも、「計算プリントをしても速くならない」「計算練習を続けても速くならない」というお子さまの答案を見てみると、問題数が足りないのではなく、繰り上がりのたびに手が止まっていることがありました。
この場合、必要なのはプリントをさらに増やすことではありません。まず、10のまとまりや「あといくつで10になるか」という感覚を確認し、止まっている部分だけを短く練習することです。このように、計算を速くするには、量を増やす前に「どこで止まっているのか」を見つけることが大切です。
また、計算そのものは分かっていても、筆算の位がずれていたり、数字を小さく書きすぎて自分で読み間違えたり、途中式を書かずに暗算で無理をしていたりすることもあります。この場合、必要なのは「もっと問題を解くこと」ではなく、書き方や確認の仕方を整えることです。
つまり、計算を速くするためには、まずお子さまがどこで止まっているのかを見つけることが大切です。
計算が遅い原因は一つではない
計算が遅い子どもを見ていると、原因はいくつかに分かれます。
たとえば、
・1桁計算がすぐに出てこない
・繰り上がり、繰り下がりで迷う
・九九があいまい
・筆算の位がずれる
・途中式を書かずに頭の中だけで処理しようとする
・問題を写す段階で間違える
・字が雑で、自分の書いた数字を読み間違える
・見直しの方法が分からない
というようなものです。
これらは、すべて「計算が遅い」と見えるかもしれません。けれども、必要な練習はそれぞれ違います。
1桁計算が不安定な子には、まず基本計算を安定させる練習が必要です。繰り上がりで止まる子には、10のまとまりや補数の感覚を育てることが必要です。筆算の位がずれる子には、計算量を増やすよりも、マス目を使って位をそろえる練習が必要になることがあります。
ここを見ないまま、ただプリントの枚数を増やしてしまうと、子どもは同じところで何度もつまずきます。すると、「こんなにやっているのに速くならない」「また間違えた」と感じやすくなります。
計算練習を増やす前に、まず原因を見る。
これが、小学生の計算を速くするための第一歩です。
原因に合った練習を選ぶことが大切
計算力を上げる家庭学習では、同じ練習を全員に当てはめるのではなく、お子さまのつまずきに合った練習を選ぶことが大切です。
たとえば、1桁の計算で指を使っている子に、いきなり複雑な筆算を大量にさせても、計算はなかなか速くなりません。九九が不安定な子に、割り算のプリントを大量に解かせても、途中で止まる原因は残ったままです。
また、暗算で無理をしている子に対して、「もっと暗算しなさい」と言うと、かえってミスが増えることがあります。その場合は、途中式を書く、位をそろえる、繰り上がりを書く場所を決めるなど、計算の進め方を整えた方がよいこともあります。
計算が速い子は、ただ急いでいるわけではありません。止まる場所が少なく、基本計算が安定していて、必要なところは丁寧に書けるから、結果として速く正確に解けるのです。
ですから、小学生の計算が速くならないときほど、まず小学生の計算が遅い原因を細かく見てあげることが大切です。計算の遅い状態を改善するには、練習量を増やす前に、どの処理で止まっているのかを確認する必要があります。
小学生の計算が遅いときに親が見落としやすいこと
小学生の計算が遅いとき、保護者の方は「どうすれば速くなるのか」と考えます。
そのときに、プリントを増やす、タイマーを使う、暗算のコツを教える、百ます計算を取り入れるなど、方法から考えたくなることがあります。
もちろん、これらの方法が悪いわけではありません。反復練習も、時間を意識することも、暗算の工夫も、必要な場面では役に立ちます。
ただし、順番を間違えると、子どもが計算を嫌がったり、ミスが増えたりすることがあります。
ここでは、計算を速くしたいときに親が見落としやすいことを整理します。
急かすか、見守るかの二択で考えてしまう
お子さまの計算が遅いと、保護者の方は焦ります。
「早くしなさい」と言いたくなる場面もあると思います。けれども最近は、強く急かすことに抵抗を感じる保護者の方も多いです。
「急かすと子どもが嫌がる」
「でも、見守っているだけで速くなるのか不安」
「どこまで口を出してよいのか分からない」
このように感じている方も少なくありません。
大切なのは、急かすことでも、何も言わずに見守ることでもありません。まず、どこで計算が止まっているのかを見ることです。
1桁計算で迷っているのか。繰り上がりで止まっているのか。筆算の位がずれているのか。暗算で無理をしているのか。止まっている場所が分かれば、必要な関わり方も変わります。
急かさなくても、原因に合った練習を選べば、計算は少しずつ速くなっていきます。
タイマーを使えば速くなると思ってしまう
計算を速くする練習として、タイマーやストップウォッチを使う方法があります。計算のタイマー練習は、使い方によっては子どもの励みになることもあります。
時間を測ることで、以前よりスムーズに解けるようになったことが分かり、子どもの励みになることもあります。ゲーム感覚で取り組める子には、よい刺激になる場合もあります。
しかし、計算でタイマーを嫌がる子もいます。
日々の相談でも、「タイマーを使うと焦ってしまう」「時間を測ると計算を嫌がる」「どうやってスピード練習をすればよいのか分からない」という声は少なくありません。
このような場合、無理にタイマーを使う必要はありません。まだ正確に解ける状態が安定していない子に時間を測ると、焦りからミスが増えたり、計算練習そのものが嫌になったりすることがあるからです。
タイマーは、子どもを急かすための道具ではありません。成長を見える化するための道具です。
使う場合も、「何分以内に終わらせよう」と追い込むのではなく、「前より止まらずにできたね」「今日はミスが減ったね」と、過去の自分との変化を見るために使うとよいでしょう。
練習量を増やせばよいと思ってしまう
計算を速くするには、ある程度の反復練習が必要です。計算は、毎回ゆっくり考えなくても処理できるようになることで、少しずつ速くなっていきます。
ただし、原因に合っていない練習を増やしても、効果が出にくいことがあります。
たとえば、繰り上がりで止まっている子に、ただ大量の計算プリントをさせても、繰り上がりのたびに迷う状態は変わりません。九九があいまいな子に、割り算の問題をたくさん解かせても、途中で止まる原因は残ったままです。
反復練習は大切です。
しかし、その前に「何を反復するのか」を見極める必要があります。
練習量を増やすことよりも、今のお子さまに必要な練習を選ぶことが大切なのです。
暗算できることを重視しすぎる
計算を速くするうえで、暗算力は大切です。
数をまとまりで見たり、計算しやすい形に変えたりできると、計算はスムーズになります。たとえば、25×12をそのまま筆算するのではなく、25×4×3と考えると計算しやすくなる場合があります。
ただし、暗算できることを重視しすぎると、かえってミスが増える子もいます。
小学生のうちは、暗算で処理してよい問題と、途中式や筆算を書いた方がよい問題を分けることが大切です。何でも頭の中だけで解こうとすると、途中で数字を忘れたり、位を間違えたりすることがあります。
計算力とは、何でも暗算で解く力ではありません。暗算、筆算、途中式を状況に応じて使い分ける力です。
計算ミスを不注意で片づけてしまう
計算ミスが多いと、保護者の方はつい「ちゃんと見なさい」「落ち着いて解きなさい」と言いたくなることがあります。
もちろん、落ち着いて解くことは大切です。けれども、計算ミスを「不注意」で片づけてしまうと、本当の原因が見えなくなることがあります。
実際のご相談でも、「うちの子は不注意が多い」と言われているお子さまの答案を見てみると、毎回同じ種類のミスをしていることがあります。その場合は、注意力の問題として叱るよりも、ミスが起きる場所を見つけて、そこを直す方が改善につながりやすくなります。
計算ミスには、種類があります。問題を写す段階で数字を間違える。筆算の位がずれる。繰り上がりを書き忘れる。九九を間違える。符号を見落とす。字が雑で、自分の書いた数字を読み間違える。見直しをしているつもりでも、どこを確認すればよいか分かっていない。
このように、ミスの出方は子どもによって違います。
「不注意だから気をつけなさい」で終わらせるのではなく、どの種類のミスが多いのかを見てあげることが大切です。同じミスが何度も出ているなら、そこが練習ポイントになります。
計算が遅い原因別に見るチェックポイント
計算が遅いときは、「計算が苦手」とひとまとめにせず、どこで止まっているのかを分けて見ましょう。
家庭で見るときは、次のように整理すると分かりやすいです。
このように見ると、計算が遅い原因は一つではないことが分かります。
たとえば、同じ「計算が遅い子」でも、1桁計算が遅い子、1桁計算で止まっている子、筆算の書き方で崩れている子では、必要な練習が違います。タイマーを使う前に、まずどこで止まっているのかを見つけることが大切です。
原因が分かれば、家庭学習で取り組む内容も決めやすくなります。
小学生の計算力を上げる家庭学習の基本
ここからは、小学生の計算力を上げるために、家庭で意識したい練習の基本をお伝えします。
大切なのは、すべてを一度にやらせることではありません。お子さまがどこで止まっているのかを見たうえで、必要な練習から取り入れていくことです。
1. まず1桁計算を安定させる
計算を速くするためには、まず1桁の足し算・引き算・九九が安定しているかを見ます。
ここで毎回考え込んでいると、2桁以上の計算や筆算でも時間がかかりやすくなります。たとえば、7+8、13−6、6×7などで毎回止まる場合、その後の複雑な計算でも処理に時間がかかります。
まずは、基本計算がすぐに出てくる状態を目指しましょう。
ただし、やみくもに大量の問題を解かせる必要はありません。どの組み合わせで止まりやすいのか、どの九九があいまいなのかを見て、そこを重点的に練習します。
1桁計算が安定すると、筆算や暗算に進んだときにも負担が減ります。計算を速くしたいときほど、まず基本に戻ることが大切です。
2. 10のまとまりと数の分解を身につける
計算を速くするには、数をまとまりで見る力も大切です。
たとえば、8+7を計算するときに、ただ順番に数えるのではなく、8に2を足して10を作り、残りの5を足すと考えることができます。
8+7
= 8+2+5
= 10+5
= 15
このように、10のまとまりを作れるようになると、繰り上がりのある足し算が楽になります。
引き算でも同じです。13−8を考えるときに、13から8を一気に引くのが難しければ、10のまとまりを使って考えることができます。数を分けたり、きりのよい数にしたりする力は、暗算力にもつながります。
掛け算でも、数字を分解すると計算しやすくなることがあります。たとえば、25×12は、12を4×3と見れば、
25×12
= 25×4×3
= 100×3
= 300
と考えられます。
このように、計算が速い子は、ただ急いでいるのではなく、計算しやすい形に変えることができる場合があります。家庭学習では、答えを急がせるだけでなく、「どう分けると計算しやすいかな」「10を作れるかな」と問いかけてみるとよいでしょう。
3. 筆算や途中式を丁寧に書く
計算を速くしたいと考えると、暗算でできることがよいことのように感じるかもしれません。
しかし、小学生のうちは、何でも頭の中だけで処理しようとすると、かえってミスが増えることがあります。途中で数字を忘れたり、位を間違えたり、繰り上がりを書き忘れたりするからです。
計算が速い子は、何でも省略しているわけではありません。必要なところは丁寧に書き、頭の中で処理してよいところと、紙に書いた方がよいところを分けています。
筆算では、位をそろえることが大切です。位がずれると、計算の方法が分かっていても答えが合いません。マス目のあるノートを使ったり、繰り上がりを書く場所を決めたりすると、計算が安定しやすくなります。
また、字が雑で自分の書いた数字を読み間違えている子もいます。6と0、1と7、5と6などを自分で読み間違えている場合、計算力の問題ではなく、書き方の問題です。
途中式や筆算を丁寧に書くことは、遠回りに見えるかもしれません。けれども、ミスが減ることで、結果的には計算が安定し、速くなっていきます。
4. ミスの種類を記録する
計算ミスが多いときは、何問間違えたかだけを見るのではなく、どのようなミスをしたのかを見ます。
たとえば、
「九九を間違えた」
「繰り上がりを書き忘れた」
「問題を写すときに数字を間違えた」
「筆算の位がずれた」
「符号を見落とした」
「自分の字を読み間違えた」
というように、ミスの種類を分けてみます。
同じミスが何度も出ているなら、そこが練習ポイントです。たとえば、九九の間違いが多いなら、計算プリントを増やす前に九九の確認が必要です。位のずれが多いなら、筆算の書き方を整える必要があります。
「また間違えた」と責めるより、「どのミスが多いかな」と一緒に見てあげる方が、子どもは前向きに直しやすくなります。
計算ミスは、ただの不注意ではなく、改善できるサインです。ミスの種類が見えると、何を練習すればよいかも見えてきます。
5. 正確にできるようになってからスピードを上げる
計算を速くするためには、最終的にはスピードも必要です。テストでは時間が限られていますし、計算に時間がかかりすぎると、文章題や図形問題を考える時間が少なくなります。
ただし、計算スピードを上げるのは、正確に解ける状態がある程度できてからでよいです。計算を速く正確に進めるには、まずミスが出にくい状態を作ることが大切です。
まだ1桁計算で止まっている。繰り上がりで迷っている。筆算の位がずれている。暗算で無理をしてミスが増えている。こうした状態で時間を測ると、焦りが増えてしまいます。
まずは、ゆっくりでも正確に解ける状態を作ります。そのうえで、少しずつ処理をスムーズにしていきます。
タイマーを使う場合も、最初から「何分以内に終わらせる」と追い込む必要はありません。前より止まらずにできたか、ミスが減ったか、同じ問題を少しスムーズに解けるようになったかを見るために使います。
もし、時間を測ると子どもが嫌がる場合は、無理に使わなくて大丈夫です。タイマーは必ず使わなければならないものではありません。正確さが安定してきたあとに、必要に応じて取り入れればよいのです。
暗算力を鍛えるときのコツ
計算を速くするうえで、暗算力は大切です。暗算ができると、簡単な計算で筆算に頼らずに済み、計算処理がスムーズになります。
ただし、暗算力とは、頭の中だけで我慢して計算する力ではありません。
本当に大切なのは、数をまとまりで見て、計算しやすい形に変える力です。
たとえば、99+36を計算するとき、99を100に近い数として見ることができれば、
99+36
= 100+35
= 135
と考えることができます。
また、523×5のような計算では、523を500、20、3に分けて、
500×5
20×5
3×5
と考えることができます。
このように、数字を分けたり、きりのよい数に近づけたりすることで、暗算はしやすくなります。
ただし、こうした方法は、手順だけを覚えさせればよいわけではありません。523×5を分けて考えるには、百の位、十の位、一の位という位の理解が必要です。25×12を25×4×3と考えるには、数を分解しても答えが変わらないという感覚が必要です。
暗算のコツは便利ですが、理解がないまま使うと、かえって混乱することもあります。家庭で取り入れるときは、「なぜそう分けると計算しやすいのか」を一緒に確認しましょう。
また、暗算にこだわりすぎる必要はありません。暗算でミスが増えるなら、途中式や筆算を書いた方がよいです。
計算力とは、何でも暗算で解く力ではありません。暗算、筆算、途中式を、問題に合わせて使い分ける力です。
タイマーを使った計算練習の注意点
計算を速くする方法として、タイマーを使った練習があります。時間を測ることで、以前より速くなったことが分かり、子どもの励みになることもあります。
しかし、タイマーを使えば必ず計算が速くなるわけではありません。
特に、時間を測ることを嫌がる子には、無理に使わない方がよい場合があります。タイマーを見るだけで焦ってしまう子、時間を測るとミスが増える子、プリントを見る前から嫌がる子もいます。
そのような場合は、まず時間を測らずに、正確に解ける練習をしましょう。
タイマーは、子どもを急かすための道具ではありません。成長を見るための道具です。
実際のご相談でも、タイマーを置いた瞬間に表情が硬くなり、普段ならできる計算まで間違えてしまうお子さまがいます。
そのような場合、問題は「速く解く意識が足りないこと」ではなく、時間を測られることで焦り、正確に考える力が出にくくなっていることです。ですから、タイマーは正確さがある程度安定してから、過去の自分との変化を見るために使うのがおすすめです。
使う場合は、「何分以内に終わらせる」よりも、「前より止まらずにできた」「前回よりミスが減った」「同じ問題が少しスムーズにできた」という変化を見るために使います。
比べる相手は、兄弟や友達ではなく、過去の自分です。
もし子どもがタイマーを嫌がる場合は、親がこっそり時間を測ってもよいでしょう。子どもには時間を伝えず、「今日は繰り上がりで止まるところが減ったね」「前よりスムーズだったね」と伝えるだけでも、十分に成長を感じられます。
反対に、時間を測った途端にミスが増えるなら、まだスピード練習の段階ではないかもしれません。その場合は、もう一度、正確さに戻りましょう。
速く解いて間違いが増えるなら、計算力が上がったとは言えません。正確さを保ちながら、少しずつ速くなることが大切です。
計算が速くなると算数が楽になる
算数の計算が遅い状態が改善し、計算が速く正確になると、算数の学習はかなり楽になります。
算数の計算を速くすることで、1問にかかる時間が短くなります。計算にかかる時間が短くなると、文章題を考える時間や、見直しの時間を残しやすくなります。テストでも、計算問題で時間を使いすぎなければ、後半の問題に落ち着いて取り組みやすくなります。
また、計算が安定すると、子どもは「できた」という感覚を持ちやすくなります。計算問題で毎回止まっていた子が、少しずつスムーズに解けるようになると、算数への苦手意識が和らぐことがあります。
ただし、計算だけが速くなれば、算数がすべて得意になるわけではありません。
文章題では、何を聞かれているかを読み取る力が必要です。図形問題では、条件を整理する力が必要です。割合や速さでは、数量の関係を理解する力が必要です。
計算力は、算数の大切な土台です。けれども、算数力のすべてではありません。
文部科学省の「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」でも、計算の学習について、単に答えを出すだけでなく、計算の意味や計算の仕方を考えることが大切だとされています。
たとえば低学年の基本計算では、数の合成・分解や10のまとまりに着目しながら、計算の仕方を考えることが重視されています。また、計算の学習は算数の中だけで完結するものではなく、日常場面で生きて働くことが必要だとも示されています。
つまり、計算力は「速く答えを出す力」だけではありません。正確に処理する力、数の意味を理解する力、計算の仕方を考える力、必要な場面で計算を使える力まで含めて育てていくことが大切です。
大切なのは、速く解くことだけを目標にするのではなく、正確さと理解を保ちながら計算力を育てることです。
【参考サイト】 文部科学省 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」
よくある質問
Q:小学生の計算が遅いとき、まず何をすればよいですか?
まず、どこで遅くなっているかを見ます。1桁計算、繰り上がり、九九、筆算、暗算、見直しなど、止まっている場所によって必要な練習は変わります。いきなり練習量を増やすより、原因を見つけることが大切です。
Q:タイマーを嫌がる場合はどうすればよいですか?
無理に使わなくて大丈夫です。まずは正確に解ける状態を作りましょう。タイマーを使う場合も、子どもを急かすためではなく、前よりスムーズになったかを見るために使います。
Q:暗算力を鍛えるにはどうすればよいですか?
数をまとまりで見る練習が大切です。10を作る、100に近づける、数を分ける、きりのよい数にするなどの考え方を身につけると、暗算しやすくなります。ただし、暗算でミスが増える場合は、途中式や筆算も使いましょう。
Q:計算ミスが多い子には何をすればよいですか?
「不注意」で終わらせず、ミスの種類を見ます。写し間違い、位のずれ、九九の間違い、繰り上がり忘れなど、同じミスが続くところを練習ポイントにしましょう。
まとめ|計算を速くするには、まず遅い原因を見る
小学生の計算を速くするには、最初から急かしたり、時間を測ったり、プリントの量を増やしたりすることではありません。
まず大切なのは、どこで計算が遅くなっているのかを見ることです。
1桁計算で止まっているのか。繰り上がりで迷っているのか。九九が不安定なのか。筆算の位がずれているのか。暗算で無理をしているのか。見直しの方法が分かっていないのか。
原因によって、必要な練習は変わります。
計算力を上げるには、1桁計算を安定させ、10のまとまりや数の分解を身につけ、必要なところは途中式や筆算を丁寧に書くことが大切です。また、計算ミスを「不注意」で終わらせず、どの種類のミスが多いのかを見ることも必要です。
タイマーは、嫌がるなら無理に使わなくて大丈夫です。使う場合も、子どもを急かすためではなく、成長を見える化する道具として使いましょう。
計算が速い子は、ただ急いでいるのではありません。止まる場所が少なく、数のまとまりを見つけ、必要なところは丁寧に書けるから、結果として速く正確に解けるのです。
焦ってスピードだけを求めるのではなく、お子さまがどこで止まっているのかを見ながら、正確さを保って計算力を育てていきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回の記事では、計算を速くするには、ただ急かしたり、プリント量を増やしたりするのではなく、まずお子さまがどこで止まっているのかを見ることが大切だとお伝えしました。
これは、計算だけの話ではありません。家庭学習では、勉強時間を増やすべきか、どの教材を使うべきか、苦手単元をどう克服するか、先取りをどこまで進めるかなど、親が判断に迷う場面が何度もあります。
実際、お子さんが大きく伸びていくご家庭ほど、「何をどれだけやるか」だけではなく、今どこでつまずいているのか、どんな関わりが必要なのかを見ようとされています。
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たとえばこのような点について、実際の教育相談や指導経験をもとに詳しくお伝えしています。
「わが子に合った家庭学習の進め方を知りたい」
「計算力だけでなく、考える力も育てたい」
「子どものつまずきを正しく見極めたい」
という方は、ぜひ参考になさってください。









