頭が良くなる習い事はある?幼児期に伸ばしたい力と後悔しない選び方
最終更新日 2026年10月11日
記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。
幼児教室ひまわりの熊野です。
私は3歳頃から公文式に通い、幼児期にはスイミングも経験しました。その後、中学受験をして灘中学・灘高校へ進み、大阪大学医学部へ現役で進学しました。学生時代から塾講師や学習アドバイザーとして教育に携わり、2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの学力や幼児期の教育について多くの保護者の方とお話ししてきました。
幼児期の習い事については、このようなご相談をいただくことがあります。
「せっかく習わせるなら、頭が良くなる習い事を選びたいです」
「ピアノとスイミングでは、どちらが頭を使うのでしょうか」
「東大生や医学部に進んだ人は、子どもの頃にどんな習い事をしていたのでしょうか」
「公文式、英語、ピアノ、水泳の中なら、どれが将来の学力につながりますか」
子どもの可能性を伸ばしてあげたいと思えば、少しでも将来につながる習い事を選びたいと考えるのは自然なことだと思います。
実際、「東大生にはピアノ経験者が多い」「水泳は頭が良くなる」「幼児期から英語をすると脳によい」といった情報を見かけることもあります。
ただ、私は習い事について考えるとき、「何を習わせれば頭が良くなるのか」だけで選ばない方がよいと考えています。
なぜなら、これを習えば必ず頭が良くなる、と言える特別な習い事が一つあるわけではないからです。
同じピアノを習っていても、楽しみながら少し難しい曲に挑戦している子もいれば、毎日の練習が親子げんかになっている子もいます。
同じスイミングでも、「前はできなかったことができるようになった」と達成感を味わっている子もいれば、教室へ行くこと自体が大きな負担になっている子もいます。
大切なのは、習い事の名前ではなく、その中で子どもが何を考え、何に挑戦し、どんな経験を積んでいるかを見ることです。
この記事では、東大生が幼少期に経験していた習い事の調査も紹介しながら、スイミング、ピアノ、英語・英会話、公文式にはそれぞれどのような特徴があるのかを見ていきます。
そのうえで、頭が良くなる習い事を探すときに保護者の方が見落としやすいことと、幼児期の習い事を選ぶときに私が大切だと考えている判断基準をお伝えします。
頭が良くなる習い事は本当にある?
最初に整理しておきたいのが、「頭が良くなる」とはどういうことなのか、という点です。
頭が良いというと、
・計算が速い
・記憶力が高い
・IQが高い
・学校の成績が良い
・難しい問題をすぐ解ける
といったことを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、こうした力も学習では役立ちます。
ただ、幼児期からその後の学習を長く見ていると、学力を支えている力はもう少し幅広いものだと感じます。
初めてのことに出会ったときに、話を聞いて理解しようとする。
うまくいかなければ、やり方を変えてみる。
以前覚えたことを、新しい場面で使ってみる。
少し難しくても、すぐに諦めずに考える。
必要なことへ注意を向け、一定時間取り組む。
こうした力も、勉強を進めていくうえでは大切です。
そのため、この記事では「頭が良くなる」という言葉を、単純にIQを上げるという意味では使いません。
注意を向ける、覚えたことを使う、試行錯誤する、考え方を切り替える、集中して取り組むといった、学びにつながるさまざまな力を育てることとして考えていきます。
そして、この視点で見ると、
「どの習い事が一番頭を良くするのか」
という問いへの答えも変わってきます。
ピアノと水泳では、子どもが使う力が違います。
英語と公文式でも、経験することは違います。
つまり、「これが一番よい」と順位をつけるよりも、その習い事でどのような力を使い、わが子がどのような経験を積めるのかを見る方が大切なのです。
東大生が幼少期にしていた習い事TOP3
では、実際に高い学力を身につけた人たちは、子どもの頃にどのような習い事をしていたのでしょうか。
2021年に、東京大学に在籍していた大学1〜6年生302名を対象として、乳幼児期から小学生の頃の生活について調べた調査があります。【参考】株式会社インタースペース「現役東大生302名にアンケート!『東大生は幼少期どのような生活を送っていたのか』実態調査」(2021年)
その中で、幼少期に経験していた習い事の上位3つは、
1位 スイミング
2位 ピアノ
3位 英語・英会話
という結果でした。
私自身も、幼児期から公文式に通い、5歳頃からはスイミングを続けていました。
このような結果を見ると、
「やはり、水泳をさせた方が頭が良くなるのではないか」
「東大生にピアノ経験者が多いなら、ピアノを習わせた方がよいのではないか」
と考える方もいると思います。
ただし、ここで一つ注意してほしいことがあります。
この調査から分かるのは、東大生の中にスイミング、ピアノ、英語・英会話を経験した人が多かったということです。
それだけで、
「水泳をしたから東大へ進めた」
「ピアノをしたから頭が良くなった」
という因果関係まで証明されたわけではありません。
これは、教育に関するデータを見るときにとても大切な視点です。
「成績のよい子に多い」
という結果と、
「それをすれば成績がよくなる」
という話は同じではありません。
では、この調査を見る意味がないのかというと、そうではありません。
私は、ランキングそのものより、
それぞれの習い事では、子どもがどのようなことに取り組んでいるのか
を見る材料として使うとよいと考えています。
ここから、代表的な4つの習い事について見ていきましょう。
スイミング・ピアノ・英語・公文式では、どんな経験ができる?
スイミング、ピアノ、英語・英会話、公文式は、いずれも幼児期から始める家庭の多い習い事です。
しかし、それぞれの習い事で行うことはかなり違います。
スイミング|「できない」を練習で越える経験をしやすい
スイミングは、幼児期の習い事として非常に人気があります。
水の中で全身を動かすという意味では、日常生活とは違う身体の使い方を経験できます。
また、多くのスイミングスクールでは、
水に顔をつける
↓
浮く
↓
バタ足をする
↓
クロールを泳ぐ
というように、少しずつ課題の難易度が上がっていきます。
そのため、
「最初はできなかった」
「何度練習してもうまくいかなかった」
「でも、続けていたらできるようになった」
という経験を積みやすい習い事でもあります。
私は、この経験そのものには大きな意味があると思っています。
ただし、「何級まで進んだか」「何メートル泳げるか」だけを見る必要はありません。
子ども自身が、少し難しいことへ挑戦し、昨日までできなかったことができるようになっているか。
そこを見る方が大切です。
ピアノ|複数のことを同時に扱う経験がある
ピアノでは、楽譜を見ながら音を確認し、左右の手を動かします。
曲によってはリズムを意識し、ペダルを使い、次に弾く部分を読みながら演奏することもあります。
また、一度ですぐ弾けるようになるわけではないので、同じ部分を何度も練習し、少しずつ完成させていきます。
その意味では、
「見ながら動く」
「聞きながら調整する」
「覚えたことを再現する」
「繰り返し練習する」
といった経験が含まれています。
ただし、ピアノを習えば自動的に頭が良くなる、と考えるのは早計です。
毎日の練習をめぐって、
「早く練習しなさい」
「また間違えているよ」
「せっかく習っているのだからもっと頑張りなさい」
というやり取りが続き、子どもにとってピアノが苦痛な時間になっているなら、習い事のメリットだけを見ることはできません。
何を習っているかと同じくらい、その習い事にどのように取り組めているかを見ることが重要です。
英語・英会話|違う言葉や音に触れる経験になる
幼児期の英語・英会話では、日本語とは違う音や言葉に触れます。
歌やゲーム、先生との会話などを通して、
「日本語とは違う言葉がある」
「同じものでも違う呼び方がある」
と気づくこともあります。
こうした経験が、外国語や異なる文化への興味につながる子もいるでしょう。
一方で、英語についても、
「早く始めれば始めるほど頭が良くなる」
「幼児期から習わなければ将来困る」
と単純に考える必要はありません。
英語に触れる経験には意味がありますが、早く始めること自体を目的にする必要はありません。
子どもが英語の音や言葉を楽しみ、そこから興味を広げられているかなど、「早く始めること」そのものではなく、子どもにとってどのような経験になっているかを見ていきましょう。
公文式|基礎を繰り返し、自分で進む経験がある
私自身は3歳頃から公文式を始めました。
公文式では、基本的な内容を繰り返しながら、少しずつ先の教材へ進んでいきます。
特に算数では、計算を何度も繰り返すことで、基本的な処理をスムーズに行えるようにしていきます。
私自身を振り返っても、幼い頃から計算を繰り返し、自分でプリントを進めることに慣れていた経験は、その後の学習の一つの土台になったと感じています。
ただし、ここでも、
「何学年先へ進んでいるか」
だけで子どもの能力を判断しないことが大切です。
公文式で計算が速くなっても、それだけで文章題や初めて見る問題まで解けるようになるわけではありません。
反対に、進度がそれほど速くなくても、自分なりに考えながら着実に取り組んでいる子もいます。
ですから、公文式についても、
進度そのものより、その中で何が身についているのか
を見る必要があります。
頭が良くなる習い事を探すときに見落としやすい3つのこと
ここまで、代表的な習い事について見てきました。
どの習い事にも、それぞれ経験できることがあります。
だからこそ、
「それなら、できるだけ効果の高い習い事を選びたい」
「東大生に多かったものから選べば、失敗しにくいのではないか」
「水泳もピアノも英語も公文式もよさそうだから、できるだけ経験させた方がよいのではないか」
と考えたくなるかもしれません。
ただ、ここで保護者の方が見落としやすいことがあります。
それは、「今のわが子に何が必要か」を考える前に、「どの習い事が一番効果的か」を探し始めてしまうことです。
私も、習い事そのものに意味がないと言いたいわけではありません。
大切なのは、順番です。
先に「ピアノがよい」「水泳がよい」と決めるのではなく、
今のわが子は何に興味を持っているのか。どんな経験が不足しているのか。どのような環境なら前向きに挑戦できるのか。
そこを見たうえで、習い事を選ぶ。
この順番に変えるだけでも、習い事選びはかなり変わってきます。
1.人気の習い事なら、わが子にも合うとは限らない
東大生にスイミング経験者が多かったとしても、それだけでわが子にもスイミングが一番よいとは言えません。
子どもにはそれぞれ、
好きなこと
苦手なこと
性格
興味
得意な学び方
があります。
さらに、同じ習い事でも先生や教室によって雰囲気はかなり違います。
丁寧に子どもの様子を見てくれる先生もいれば、競争を重視する教室もあります。
一人ひとりのペースで進む場所もあれば、周囲と同じ進度を求められる場所もあります。
そのため、
「何を習わせるか」だけではなく、「どこで、誰から、どのように習うか」まで含めて見る
ことが大切です。
「頭が良くなると聞いたから」という理由だけで選ぶより、実際に体験して、子どもがその環境の中でどのように過ごしているかを見てみてください。
2.長く続ければ、それだけで力になるわけではない
習い事は、ある程度続けることで初めて得られる経験があります。
最初はできなかったことも、練習を重ねることでできるようになる。その経験は、子どもにとって大切です。
そのため、子どもが一度「辞めたい」と言っただけで、すぐに辞めなければならないとは私は考えていません。
ただし、反対に、
「何があっても続けることが大切」
とも考えていません。
大切なのは、なぜ辞めたいのかを見ることです。
努力や支えによって越えられる壁なのか。それとも、子ども自身の努力ではなく、大人が環境を変える必要がある問題なのか。
私は子どもの頃のスイミングで、この二つの「辞めたい」をどちらも経験しました。
次に、その経験をお話しします。
3.習い事を増やすほど、能力が伸びるわけではない
水泳にもよいところがある。
ピアノにもよいところがある。
英語も経験させたい。
公文式で勉強の土台も作りたい。
そう考えていくと、幼児期の予定が習い事でいっぱいになることがあります。
しかし、子どもの成長に必要なのは、習い事の時間だけではありません。
自由に遊ぶ時間。
十分に眠る時間。
家族と話す時間。
何も予定がなく、自分で「今日は何をしよう」と考える時間。
一つの遊びに夢中になる時間。
こうした時間も、幼児期には大切です。
実際、先ほど紹介した東大生302名の調査でも、幼少期に夢中になっていた遊びとして、絵本・児童書、ゲーム、ブロック・積み木などが多く挙げられていました。つまり、高い学力を身につけた人たちも、子どもの頃を習い事だけで過ごしていたわけではありません。
ですから、
「能力を伸ばしたいから習い事を増やす」
と考える前に、その習い事を増やしたときに、子どもの生活全体に無理がないかを見てほしいと思います。
習い事は、子どもの経験を豊かにするための一つの方法です。
習い事そのものが、子どもの生活の中心にならなければならないわけではありません。
私がスイミングを4年間続けて分かった「続ける」と「我慢させる」の違い
先ほど、子どもが「辞めたい」と言ったときには、その理由を見ることが大切だとお伝えしました。
これは、私自身の幼児期の経験からも強く感じていることです。
私は5歳頃から小学校3年生頃まで、約4年間スイミングに通っていました。
その中で、「もう辞めたい」と思ったことが少なくとも2回あります。
ただ、今振り返ると、この2回の「辞めたい」はまったく違うものでした。
何度も試験に落ちたときは、父に支えてもらった
一度目は、クロールの進級試験になかなか合格できなかったときです。
私は同じ試験に何度も落ちました。
周りの子が合格して先へ進んでいく中で、自分だけうまく泳げない。
子どもながらに悔しかったですし、
「もうスイミングを辞めたい」
と思ったこともありました。
そのとき、父はすぐに辞めさせるのではなく、毎週日曜日に一緒にプールへ行ってくれました。
そこで何度もクロールの練習をしました。
長い時間練習して、帰る頃にはクタクタになっていたことを覚えています。
練習の帰りに父と一緒に食べたトーストがおいしかったことも、今でも記憶に残っています。
そして、練習を続けるうちに、少しずつ泳げるようになりました。
この経験から得たのは、単に「クロールが泳げるようになった」ということだけではありません。
今できないことでも、練習の仕方を工夫し、誰かに支えてもらいながら続ければ、できるようになることがある。
その感覚を子どもの頃に経験できたことには、意味があったと思っています。
勉強でも同じです。
最初はまったく分からなかった問題が、何度も考えるうちに分かるようになる。
苦手だった単元が、練習を続けることで少しずつできるようになる。
こうしたときに、
「今できないから、自分には無理だ」
ではなく、
「今はできなくても、やり方を変えたり練習したりすれば、できるようになるかもしれない」
と思えることは、大きな支えになります。
怖くて行けなくなったときは、母が環境を変えてくれた
一方で、もう一度「辞めたい」と感じたときは、事情が違いました。
当時通っていたスイミングには、私が強い恐怖を感じる指導をするコーチがいました。
泳いでいる途中でうまくできないと、厳しい言葉をかけられたり、怖い思いをしたりすることがありました。
私はだんだんプールへ行くこと自体が怖くなりました。
このとき、母は、
「せっかく続けてきたのだから我慢しなさい」
とは言いませんでした。
私の話を聞き、コーチと直接話をしてくれました。
その結果、状況が改善し、私は再びスイミングへ通えるようになりました。
この二つの経験は、どちらも当時の私にとっては「辞めたい」という気持ちでした。
しかし、今振り返ると中身はまったく違います。
一つは、難しい課題にぶつかり、努力だけではうまくいかず、支えが必要になっていた状態です。
もう一つは、子ども自身が努力して乗り越える問題ではなく、大人が環境を整える必要があった状
態でした。
だから私は、習い事について、
「一度始めたら簡単に辞めさせない方がよい」
とも、
「子どもが辞めたいと言ったら、すぐに辞めればよい」
とも考えていません。
大切なのは、
なぜ辞めたいのかを見ることです。
できなくて悔しいのか。
練習が面倒になっているのか。
ほかにやりたいことができたのか。
先生との関係で困っているのか。
予定が多すぎて疲れているのか。
強い恐怖やストレスを感じているのか。
理由によって、大人がするべきことは変わります。
努力で越えられる壁なら、少し支えてあげる。
環境に問題があるなら、その環境を変える。
私は、この見極めこそが習い事を続けるうえで重要だと思っています。
幼児期の習い事を選ぶ4つの判断基準
では、「頭が良くなる習い事は何か」という視点だけで選ばないとしたら、何を基準にすればよいのでしょうか。
幼児期の習い事を考えるとき、私は次の4つを大切にしています。
1.子どもが自分で試す余地があるか
一つ目は、子ども自身が考えたり、試したりする場面があるかです。
先生の言った通りに動けば終わるだけではなく、
「どうすればできるだろう」
「さっきは失敗したから、今度はこうしてみよう」
「もう一回やってみよう」
と、自分なりに試せる場面があるかを見ます。
たとえばピアノなら、
「どうすればこの部分を間違えずに弾けるか」
と工夫することがあります。
スイミングなら、
「どうすればもっと楽に息継ぎができるか」
と身体の動かし方を試すことがあります。
公文式なら、少しずつ難しくなる教材に対して、これまで身につけたことを使いながら進めていきます。
習い事の種類が違っても、
自分で試す → うまくいかない → 少し変える → できる
という経験は作れます。
私は、この過程がとても大切だと思っています。
2.「少し難しいこと」に挑戦できているか
二つ目は、今の子どもにとって、少しだけ難しい課題があるかです。
簡単すぎることだけを繰り返していても、
「できるようになった」
という実感は生まれにくくなります。
一方で、難しすぎる課題ばかり与えられると、
「どうせできない」
という気持ちが強くなることがあります。
大切なのは、
頑張れば届きそうな難しさ
です。
最初はできなかった。
でも、先生に教えてもらった。
少し練習した。
もう一度やってみた。
そして、できるようになった。
こうした経験が繰り返されることで、子どもは、
「難しい=無理」
ではなく、
「難しいけれど、やればできるかもしれない」
と感じられるようになります。
この感覚は、将来勉強で難しい問題に出会ったときにも役立つと私は考えています。
3.子ども自身が「できるようになった」と感じられているか
三つ目は、子ども自身に成長の実感があるかです。
習い事をしていると、大人は数字や結果に目が向きやすくなります。
スイミングなら何級か。
ピアノなら何曲弾けるか。
公文式なら何学年先へ進んでいるか。
英語なら何単語覚えたか。
もちろん、こうした成果を見ることが悪いわけではありません。
ただ、それだけで判断すると、子どもの大切な変化を見落とすことがあります。
以前は水に顔をつけるのが怖かったのに、できるようになった。
両手では弾けなかった曲が、少しずつ弾けるようになった。
一人ではできなかったプリントを、自分で進められるようになった。
英語で先生に自分から声をかけられるようになった。
こうした変化も立派な成長です。
保護者の方が、
「前よりここができるようになったね」
と気づいて言葉にすると、子ども自身も成長を実感しやすくなります。
周囲との比較ではなく、以前のその子と比べる。
習い事を見るときには、この視点を持ってほしいと思います。
4.習い事を含めても、生活全体に余白があるか
四つ目は、習い事だけを見るのではなく、子どもの生活全体を見ることです。
どれだけよい習い事でも、
睡眠時間が足りない。
毎日予定に追われている。
自由に遊ぶ時間がほとんどない。
家に帰ると疲れて機嫌が悪い。
宿題や練習をめぐって、毎日のように親子げんかになる。
こうした状態になっているなら、一度立ち止まって考える必要があります。
幼児期には、習い事以外の時間も大切です。
公園で遊ぶ。
ブロックをじっくり組み立てる。
絵本を読む。
親子で話す。
好きな遊びに夢中になる。
何も予定がない中で、自分で遊びを見つける。
こうした日常の経験からも、子どもは多くのことを学んでいます。
ですから、
「この習い事にはこんなメリットがある」
という情報だけを足していくのではなく、
その習い事を増やしたときに、何の時間が減るのか
まで考えてみてください。
習い事を増やすことと、子どもの経験を豊かにすることは、必ずしも同じではありません。
幼児教室ひまわりで習い事の相談を受けるときに見ていること
幼児教室ひまわりでも、
「何を習わせれば賢くなりますか」
「ピアノとスイミングなら、どちらがおすすめですか」
「公文式と英語を両方始めた方がよいでしょうか」
「周りの子はいくつも習い事をしています。うちも増やした方がよいでしょうか」
といったご相談をいただくことがあります。
このようなとき、私は最初から、
「ピアノがおすすめです」
「水泳をしてください」
「公文式を始めてください」
と、習い事の名前だけで答えることはしていません。
なぜなら、同じ「頭を良くしたい」というご相談でも、詳しくお話を聞くと、保護者の方が本当に困っていることは違うからです。
たとえば、
「集中力がなくて心配なので、何か習わせたい」
という場合があります。
しかし、そのお子さまが好きな遊びなら30分、40分と集中しているのであれば、単純に「集中力がない」と考える必要はありません。
一方で、
「すぐ諦めてしまうので、何かを長く続けてほしい」
というご相談なら、必要なのは「頭が良くなると評判の習い事」ではなく、少し難しい課題に挑戦し、できるようになる経験かもしれません。
また、
「運動が苦手なので、自信をつけてほしい」
という場合と、
「計算の基礎を身につけたい」
という場合でも、選ぶものは変わります。
そのため、私は習い事を考えるときに、まず、
保護者の方は何に困っているのか。
次に、
今のお子さまは、実際にはどのような状態なのか。
そのうえで、
その子には、これからどんな経験が必要なのか。
という順番で考えます。
さらに、
・何に興味を持っているか
・どんな遊びなら長く取り組めるか
・新しいことへ挑戦するのが好きか
・慎重に様子を見てから始めるタイプか
・すでにどのくらい予定が入っているか
・睡眠や自由時間は十分にあるか
・本人にも「やってみたい」という気持ちがあるか
を見ていきます。
そして最後に、
その経験を得るために、この習い事、この先生、この教室が合っているか
を考えます。
つまり、
習い事 → 子ども
の順番ではなく、
子どもの状態 → 必要な経験 → 習い事
の順番です。
私は、この順番を逆にしないことがとても大切だと思っています。
たとえば、身体を動かすことが大好きな子なら、その興味を生かしてスイミングや体操へつなげることができます。
音に強く興味を示す子なら、ピアノや音楽を楽しめるかもしれません。
数字やプリントが好きで、自分のペースで進めることを楽しむ子なら、公文式が合うこともあります。
外国の言葉や人に強い興味を示しているなら、英語・英会話を楽しめる場合もあります。
逆に、世間で「頭が良くなる」と言われている習い事でも、本人が強く嫌がり、毎回のように家庭で衝突が起きているのであれば、そのまま続けることが本当にその子に必要な経験なのかを考え直す必要があります。
「どの習い事が一番よいか」を決める前に、「今のわが子には、どんな経験が必要なのか」を考える。
幼児教室ひまわりでは、習い事についてご相談を受けるとき、この順番を大切にしています。
頭が良くなる習い事についてよくある質問
Q.結局、頭を良くしたいなら一番おすすめの習い事は何ですか?
「これが一番」と一つに決めることはできません。
スイミング、ピアノ、英語・英会話、公文式では、それぞれ経験できることが違います。
大切なのは、世間で評価されている習い事を選ぶことより、今のわが子に必要な経験を積めるかを見ることです。
Q.東大生に多い習い事をさせる意味はありませんか?
一つの参考にはなります。
ただし、「東大生に多い」ことと、「それを習えば東大へ行ける」ことは別です。
ランキングそのものより、その習い事で子どもがどんな経験を積めるかを見てください。
Q.子どもが習い事を辞めたいと言ったら、続けさせるべきですか?
まず、「なぜ辞めたいのか」を確認してください。
努力や支えによって越えられる壁なのか、先生との関係や強い疲れなど環境を見直す必要があるのかによって、判断は変わります。
「続けること」と「我慢させること」は同じではありません。
まとめ|頭が良くなるかより、「何を経験しているか」を見る
子どもの可能性を伸ばしたいと思えば、
「どんな習い事が頭を良くするのだろう」
「東大生がやっていた習い事をさせた方がよいのだろうか」
と考えるのは自然なことです。
ただ、習い事の名前だけで子どもの将来が決まるわけではありません。
大切なのは、子どもが自分で試せているか、少し難しいことへ挑戦できているか、「できなかったことができた」という経験を積めているか、そして生活全体に無理がないかを見ることです。
ですから、幼児期の習い事を選ぶときには、
今のわが子はどのような状態なのか。
これから、どんな経験が必要なのか。
その経験を積める習い事は何なのか。
という順番で考えてみてください。
スイミングでも、ピアノでも、英語でも、公文式でも、その子が自分なりに挑戦し、工夫し、できることを増やしていけるのであれば、価値のある経験になります。
周囲の評判やランキングだけで決めるのではなく、この順番で考えることが、後悔しにくい習い事選びにつながると私は考えています。
習い事の名前ではなく、そこでわが子が何を経験しているかを見る。
これが、幼児期の習い事を考えるときに、私が最も大切にしていることです。
幼児教室ひまわりでは、お子さまの脳を鍛える具体的な方法や難関中学に合格するための勉強法などを、オンライン講座やメールマガジンで公開しています。
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