親子でできる思考力を鍛えるトレーニング

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親子でできる思考力を鍛えるトレーニング

最終更新日 2026年04月30日

記事執筆者:熊野貴文

幼児教室ひまわりの熊野です。

「うちの子はちゃんと考える力が育っているのだろうか」「勉強はしているのに、応用になると手が止まってしまうのはなぜだろう」「思考力が大事と言われるけれど、家庭では何をすればいいのか分からない」…このような不安を抱えている親御さんは少なくありません。

特に教育熱心なご家庭ほど、「今の関わり方で合っているのか」「もっと早く何か始めた方がよいのではないか」と悩まれるものです。お子さまの将来を大切に思うからこそ、迷いが生まれるのは自然なことです。

幼児教室ひまわりでは、2014年の創業からこれまで10年以上にわたり多くのご家庭の学びの土台づくりを見てきました。その中で強く感じるのは、思考力は特別な才能を持つ子だけのものでも、難しい教材を与えた子だけに育つものでもないということです。

日々の会話、問いかけ、待つ姿勢、考えを言葉にする時間。そうした一見ささやかな積み重ねが、あとから大きな差になって現れてきます。

結論から申し上げると、多くの親御さんは、思考力を「特別な訓練で伸ばすもの」と受け止めてしまいがちです。ですが実際には、思考力は日常の中で育てるものです。しかも、早く正解を出させるより、子どもが自分なりに考える過程を大切にした方が、長い目で見て学力にも人間的な成長にもつながっていきます。

ここでは、小学生に思考力が求められている背景と、家庭で無理なくできる育て方を、親子の関わりという視点から丁寧に整理していきます。

小学生の「思考力」育成への取り組みがスタート
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「学校でも思考力が大事だと言われるけれど、昔と何が違うのですか?」こうしたご質問をいただくことがあります。

親御さん世代が受けてきた教育では、覚えること、正確に答えること、早く解くことが重視される場面が多くありました。そのため、今の教育で大切にされている「思考力」という言葉が、少しつかみにくく感じられるのも無理はありません。

ここで多くの方が戸惑いやすいのは、「思考力も学校で教えてもらえるだろう」と感じてしまうことです。

もちろん学校は大切な学びの場ですが、思考力は授業の中だけで急に身につくものではありません。学校で重視されるようになったからこそ、家庭での関わり方も以前より大切になっているのです。

文部科学省は、学習指導要領の中で、子どもたちに必要な力を「資質・能力の三つの柱」として整理し、その一つに「思考力、判断力、表現力等」を位置づけています。また、「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」を重視し、主体的・対話的で深い学びへ授業を改善していく方向を示しています。

つまり、知識を受け取るだけでなく、自分で考え、他者と関わりながら理解を深める学びへと重心が移っているのです。

ここで大切なのは、「思考力が必要な時代になった」という言葉を、ただ流行りの教育用語として受け止めないことです。

学校が重視していることは、将来社会に出たときに必要になる力とつながっています。正解が一つに定まらない場面で、自分なりに考え、理由をもち、相手に伝え、また修正していく。その力の基礎が、小学生のうちから少しずつ求められています。

新しい時代に小学生にも求められる思考力

「でも、小学生のうちからそこまで考える力が必要なのでしょうか」このお気持ちもとてもよく分かります。

まだ幼さの残る時期に、あまり難しいことを求めるのはかわいそうではないか、まずは基礎学力が先ではないか、と感じる親御さんもいらっしゃるでしょう。

確かに、基礎知識を身につけることは大切です。ただ、その知識をどう使うかという力が伴わなければ、学年が上がるにつれて伸び悩みやすくなります。

実際、小学校低学年では点が取れていても、高学年になって文章題や記述、説明問題で急に苦しくなるお子さまは少なくありません。これは「知っている」から「使える」へ移るところで、差が出やすいからです。

新しい時代に思考力が求められる背景には、社会の変化があります。OECDも、これからの教育では、複雑な社会の中で生きるために、知識だけでなく、主体性や多面的に考える力、他者と協働しながら課題に向き合う力が重要になると示しています。

変化が速く、情報があふれる時代だからこそ、「何を覚えたか」だけではなく、「何を手がかりにどう考えるか」が問われるのです。

ここで親御さんがつい陥りやすいのは、「知識を増やせば考えられるようになるはず」と期待してしまうことです。

また、子どもが考える前にすぐ答えを教えてしまったり、正解だけを求めてしまう関わり方は、一見効率が良いように見えても考える機会そのものを減らしてしまうことがあります。

しかし実際には、知識は材料であって、それを組み合わせたり、比べたり、理由づけしたりする経験が必要です。たとえば、読んだことを自分の言葉で説明する、二つの考えを比べてみる、なぜそうなったのかを考える。こうした経験の積み重ねがあって初めて、知識は思考の道具になります。

以前、講座を受講されているお母さまからこんなご相談がありました。「漢字も計算もよくできるのに、文章題になると急に自信がなくなるのは、何が足りないのでしょうか」という相談です。このようなお子さまには、能力が足りないのではなく、考えをつなげる経験が少ない場合があります。

目の前の問題文を読んで、何が聞かれていて、何が分かっていて、どこから考えればよいかを整理する力は、一朝一夕には育ちません。だからこそ、日常の中で「順番に考える」「理由を話す」「分からないところを確かめる」といった小さな練習が必要になります。

家庭での判断基準として大切なのは、先へ先へと進ませることより、一つのことをどう考えたかを見てあげることです。分かったかどうかだけでなく、「どうしてそう考えたの?」と過程に目を向ける。その姿勢が、子どもの思考を育てていきます。

思考力を鍛えるとどのようなメリットがあるのか
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「思考力が大事なのは分かるけれど、実際にどんな良さがあるのですか」親御さんとしては、そこが一番気になるところかもしれません。時間をかけて家庭で関わる以上、何が育つのかが見えた方が、安心して取り組めるからです。

まず一つ目のメリットは、ものごとを一方向から見ない子になることです。思考力のある子は、「これで終わり」とすぐ決めつけません。別の見方はないか、本当はどういうことか、なぜそうなるのかを考えます。そのため、見える世界が自然と広がります。

たとえば友だちとのトラブルが起きても、「あの子が悪い」で終わるのではなく、「何か理由があったのかもしれない」と一歩引いて考えられることがあります。これは学習面だけでなく、人間関係の面でも大きな力です。

二つ目は、新しい課題に対応しやすくなることです。いまは、答えが最初から決まっていないことに向き合う場面が増えています。学校でも社会でも、「知っていることをそのまま出す」だけでは足りません。

情報を集め、比べ、仮説を立て、必要に応じて考え直す力が求められます。OECDの教育フレームワークでも、これからの社会では、複雑さに対応するための思考や判断が重要だと示されています。

三つ目は、すべての教科の学びが深くなることです。国語では文章を正確に読み取り、筆者の意図や話の流れをつかむ力につながります。算数では、式だけでなく「なぜこの式になるのか」を考える力になります。理科や社会でも、ただ覚えるのではなく、因果関係や共通点・相違点を整理して理解しやすくなります。

つまり思考力は、特定の教科のためのものではなく、学び全体の質を高める土台なのです。

ここで気をつけたいのは、親御さんが「すぐに成果が見えない」と不安になってしまうことです。思考力は、漢字テストの点数のように、その場ですぐ見えやすいものではありません。しかし、時間がたつほど差が出ます。最初は話すのに時間がかかっていた子が、少しずつ筋道立てて説明できるようになったり、すぐ「分からない」と言っていた子が、自分で考えようとするようになったりします。

その変化は静かですが、確かな成長です。そして現代では、親子のやりとりそのものが、子どもの言語や高次の認知機能の土台に関わることも分かってきています。

ハーバード大学子ども発達センターは、子どもと大人の応答的なやりとりが脳の土台を形づくり、後のより複雑な認知機能の基盤になると示しています。また、米国小児科学会も、親子での読み聞かせや対話的な読書が、言語・認知・社会情緒面の発達を支えるとしています。

ですから、思考力を育てる取り組みは、単に「勉強に強くするため」だけではありません。自分で考える、人の話を受けとめる、自分の考えを伝える。そのような、生きていくうえで土台となる力を育てることにつながっています。

小学生のための思考力を鍛える3つの方法
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では家庭で何をすればよいのでしょうか。ここからは、親子で無理なく取り組める方法を具体的に見ていきます。

ここで大切なのは、完璧にやろうとしないことです。毎日長時間取り組む必要はありません。短くても、質のよい関わりが積み重なれば、子どもの思考は少しずつ深くなっていきます。

1.「読み解く力」を鍛えるためには

思考力を育てるうえでまず大切なのが、言葉や文章を正しく受け取る力です。文章を読んでも、何となく分かったつもりで終わってしまう子は少なくありません。けれども、本当に考えるためには、まず内容を丁寧に読み解けることが必要です。

そのためにおすすめなのが、音読と対話を組み合わせることです。ただ読ませるだけではなく、読み終えたあとに「この人はどうしてこう言ったんだろう」「一番大事なところはどこだったと思う」と、少しだけ問いを添えるのです。

このとき、正解を急がないことが何より大切です。子どもが黙っている時間は、考えている時間かもしれません。その沈黙を埋めようとして大人がすぐ答えてしまうと、思考が深まる前に終わってしまいます。

講座を受講されているお母さまから、こんな声をいただいたことがあります。

「本を読んだあとに感想を聞いても、『おもしろかった』で終わってしまいます。どう広げればよいでしょうか」

この場合は、感想そのものを増やそうとするより、「どの場面がおもしろかったの?」「そのとき、どう思ったの?」と、一段だけ具体的にしてあげると話しやすくなります。子どもは最初から長く立派に話せるわけではありません。

けれど、問いを少し小さくしてあげると、自分の感じたことや理由を少しずつ言葉にできるようになります。その積み重ねが、読み解く力を支えます。

2.「考え抜く力」を鍛えるためには

思考力というと、よく考えることだと思われがちですが、実際には「すぐに答えが出ないときに、そこから離れずに考え続ける力」が非常に重要です。これが考え抜く力です。

親御さんとしては、子どもが困っていると、つい助けてあげたくなるものです。とても自然なことですし、悪いことではありません。ただ、毎回すぐに助けすぎると、子どもは「自分で考える前に教えてもらう」方が楽だと感じるようになります。すると、少し難しい問題に出会ったときに粘れなくなってしまいます。

実際に、低学年のうちは順調に進んでいたものの困る前にすぐ答えを教えていたご家庭では、学年が上がってから少し難しい問題に対して手が止まってしまうケースも見られます。

ここで意識したいのは、答えを教えないことではなく、考えるための足場を渡すことです。たとえば、「どこまでは分かっている?」「前に似た問題あったね」「一つずつ整理してみよう」と声をかけると、子どもは完全に一人で放り出された気持ちにならずに済みます。大人が横で見守りながら、考えを整理する手伝いをするイメージです。

以前、別の受講者の方からこんなご相談がありました。

「子どもの『どうして?』に毎回丁寧に答えられず、つい『あとでね』と流してしまいます」

忙しい日々の中では当然あることです。ただ、子どもの「どうして?」は、考える力が伸びる入口でもあります。全部に完璧に答える必要はありませんが、「どうしてだと思う?」「お母さんはこうかなと思うけれど、あなたはどう?」と返すだけでも、十分に思考の練習になります。

大人が答えを持っているかどうかより、子どもの問いを大切に扱うことの方が意味があります。

3.「正しく伝える力」を鍛えるためには

考えたことは、言葉にしてはじめて整理されます。つまり、思考力は頭の中だけで完結するものではなく、話すこと、伝えることによってさらに育っていきます。

おすすめしたいのは、日々の「おしゃべり」を少しだけ質の高いものにすることです。学校であったこと、ニュースで見たこと、読んだ本のこと、買い物のときに気づいたこと。題材は何でも構いません。大切なのは、「それでどう思ったの?」「なぜそう感じたの?」と一歩深く聞いてあげることです。

ここで注意したいのは、話し方の上手さだけを見ないことです。言葉に詰まったり、うまく説明できなかったりする子もいます。でも、それは考えていないのではなく、考えを言葉にする途中かもしれません。そんなときは、「つまりこういうことかな?」と大人が少し整えて返してあげると、子どもは自分の考えが整理されていく感覚を持てます。

思考力を鍛える方法は、特別な問題集や高度な教材の中だけにあるわけではありません。読む、考える、話す。この三つを親子で丁寧につなげていくことが、最も無理がなく、しかも長く効く方法です。

小学生の「思考力」。親子で一緒に育もう
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ここまで読んでくださった親御さんの中には、「結局、自分の関わり方が大事なのですね」と感じられた方も多いかもしれません。その通りです。ただし、それは親がいつも正しく教えなければならない、という意味ではありません。

むしろ大切なのは、親も一緒に考える姿勢を見せることです。「お母さんも少し考えてみるね」「なるほど、そういう見方もあるね」「それは面白い考えだね」こうした言葉は、子どもにとって大きな安心になります。正解を言える子になる前に、考えてよいのだ、自分の考えを出してよいのだと思えることが、思考力を伸ばす土台になるからです。

家庭では、つい「早くして」「答えは?」「そこは違うよ」と結果を急ぎたくなる場面があります。毎日の生活に追われていると、ゆっくり考える時間をつくること自体が難しい日もあるでしょう。けれど、すべてを変える必要はありません。

こうした場面ですぐに正解を求めてしまう関わりが続くと、子どもが自分で考える前に答えを求める習慣につながることもあります。

・今日の会話の中で一回だけ、「どうしてそう思ったの?」と聞いてみる。
・子どもが黙っている数秒を待ってみる。
・読んだ本の感想を、一言だけ深く聞いてみる。

それだけでも十分に意味があります。

思考力は、目に見えて急に伸びるものではありません。しかし、親子で交わした問いとことばは、確実に子どもの中に積み重なっていきます。やがてその積み重ねが、学習への向き合い方、自分で考える姿勢、困ったときに踏みとどまる力へとつながっていきます。

教育は何かを急いで与えることよりも、育つ環境を整えることの方が本質的です。思考力も同じです。親子で一緒に「なぜ」「どうして」を楽しみながら、少しずつ深めていく。その営みの中で、子どもは学ぶ力そのものを身につけていきます。

お子さまがこれから先、変化の大きな時代の中でも、自分の頭で考え、納得し、前に進んでいけるように。毎日の小さな対話が、その確かな土台になっていくことを心から願っています。

思考力は、特別な子だけが持つ力でも、難しい教材でしか育たない力でもありません。家庭での会話、読み聞かせや読書のあとに交わす問い、すぐに答えを渡さずに待つ時間、考えたことを言葉にする機会。そうした日常の関わりの中で、少しずつ育っていく力です。

学校教育でも、知識を覚えるだけではなく、思考力・判断力・表現力を育てる方向が重視されています。だからこそ家庭でも、正解を急がせることより、「どう考えたのか」を見てあげる視点が大切になります。

もし今、お子さまの学び方に不安があっても、焦る必要はありません。今日からできることはたくさんあります。問いを一つ増やすこと。考える時間を少し待つこと。うまく話せない考えを受け止めること。そうした一つひとつが、思考力の土台になります。

どうか親御さんご自身も、「完璧に教えなければ」と抱え込まず、お子さまと一緒に考える時間を楽しんでください。その積み重ねが、学力だけではない、本当に強い学びの力へとつながっていきます。

本記事のまとめ

本記事では、思考力がどのように育っていくのかについてお伝えしてきました。

思考力は特別な才能や一部の子どもだけに備わるものではなく、日々の関わりや環境の中で少しずつ育っていく力です。

・すぐに答えを教えるのではなく、考える時間を持つこと
・「どうしてそう思ったのか」を言葉にする機会をつくること
・正解だけでなく、考える過程を大切にすること

こうした積み重ねが、「自分で考える力」につながっていきます。

また思考力は一朝一夕で身につくものではなく、日々の小さな経験や対話の中で少しずつ育まれていくものです。そのため特別なことを新たに始めること以上に、普段の関わり方を見直していくことが大切になります。

日常の中での声かけや関わり方がお子さまの思考の土台をつくり、将来的な学び方や問題への向き合い方につながっていきます。

思考力は目に見えにくい力ではありますが、日々の積み重ねによって確実に変化していくものです。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

本記事でお伝えしたように、思考力は特別な訓練によって身につくものではなく、日々の関わりの中で少しずつ育っていく力です。

ただ実際のご家庭では、

・どこまで待てばよいのか
・どこで助けるべきなのか
・どのタイミングで声をかけるべきなのか

といった場面で、迷われることも多いのではないでしょうか。

同じように見える状況でも、「考えさせた方がよいケース」「一度支えた方がよいケース」があり、その判断によって、お子さまの成長の方向は大きく変わっていきます。

そしてこうした判断は、ご家庭の中だけで考えていると気づかないうちにズレてしまうことも少なくありません。

当教室のメールマガジンでは、「どのような関わり方や判断が、お子さまにとって良い方向につながるのか」という視点を、実際のご家庭の事例をもとに、より具体的にお伝えしています。

今の関わり方で本当に良いのか、一度整理しておきたいと感じられている場合は特に参考にしていただける内容です。

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