「習い事をやめたい」と子どもが言い出したとき親はどう対応すればいい?

教育戦略コラム(東大や医学部を見据え、わが子を伸ばす選び方・関わり方)

子供が習い事をやめたいと言ったら?続ける・辞めるを決める親の判断基準

最終更新日 2026年10月27日

記事執筆者:熊野貴文
幼児教室ひまわり塾長・医師。灘中学・灘高校を経て大阪大学医学部に現役合格し、大学在学中は塾講師・学習アドバイザーとして約1,100人を指導。自ら難関受験を経験した子供側の視点と、保護者への教育相談、東大・医学部へ導いた親や各分野の専門家の知見をもとに、今のわが子に何を優先し、どう実践するかを具体的に発信している。


幼児教室ひまわりの熊野です。

私は中学受験を経験して灘中学・灘高校へ進み、その後、大阪大学医学部へ現役で進学しました。幼少期には公文式やスイミングを経験し、学生時代からは塾講師や学習アドバイザーとして教育に携わってきました。2014年に幼児教室ひまわりを創業してからも、子どもの学力や習い事、家庭での関わり方について、多くの保護者の方とお話ししてきました。

子どもの習い事については、次のようなご相談があります。

「子どもが習い事に行くのを嫌がるんです。辞めさせた方がよいでしょうか」
「自分から始めたいと言った習い事なのですが、最近は嫌がるようになりました。無理に続けさせてもよいのでしょうか」

子どもから「習い事をやめたい」と言われると、親としては迷うものです。続けることで得られる経験も大切にしたいけれど、本人が嫌がっていることを無理にさせたくはない。その両方の気持ちがあると思います。

私自身も子どもの頃、スイミングを辞めたいと思った経験があります。しかし、振り返ってみると、辞めたいと感じた理由はそのときによって違っていました。

ここで私がお伝えしたいのは、子どもが「辞めたい」と言ったとき、その言葉だけですぐに結論を出す必要はないということです。

子どもの気持ちはもちろん大切です。しかし、その言葉の背景には、本人もまだ十分に説明できない理由が隠れていることがあります。

今回は、子どもが習い事をやめたいと言ったときに親が確認したいこと、辞めたい理由の見分け方、そして続ける・休む・回数を減らす・教室を変える・辞めるという選択肢をどう判断すればよいのかについて、私自身の経験や幼児教室ひまわりでの相談経験をもとにお伝えします。

子供が習い事をやめたいと言ったら、最初にすること
辞めたい1

子どもが「習い事をやめたい」と言い出したとき、親はすぐに続けるか辞めるかを考え始めることがあります。

最近は、子どもに無理をさせたくないという思いから、本人が辞めたいと言えば、できるだけその気持ちを尊重しようとする保護者の方もいると感じています。

もちろん、子どもの気持ちを大切にすることは必要です。ただし、私は、辞めたいと言ったからといって、すぐに辞めることが正解とは限らないと考えています。

上田先生が習い事の相談で最初に確認すること

幼児教室ひまわりでは、上田先生も保護者の方から習い事についてさまざまなご相談をいただいています。

特に多いのが、「子どもが習い事に行くのを嫌がるんです。辞めさせた方がよいでしょうか」というご相談です。

こうした場合、上田先生は、すぐに辞めるかどうかを判断するのではなく、まず「習い事をしている途中や、終わったあとはどのような様子ですか」と確認するようにしています。

すると、「終わったあとは楽しそうにしています」「帰ってきたときは機嫌がよいんです」といったお答えが返ってくることがあります。

保護者の方は、習い事に行く前に嫌がる様子を見て、本人が習い事そのものを嫌がっているのではないかと心配されていたのですが、詳しく聞いてみると、参加したあとは楽しそうにしていることもあるのです。

このような場合、上田先生は、すぐに辞めさせる必要はないとお伝えすることがあります。

習い事そのものが嫌いなのではなく、行くまでの気持ちの切り替えが難しかったり、通う回数が負担になっていたりする可能性があるからです。そのため、しばらく様子を見たり、通う回数を減らしてみたりすることを提案する場合もあります。

もちろん、終わったあとに機嫌がよいからといって、必ず続けさせた方がよいわけではありません。先生との関係や習い事中の様子、本人が繰り返し訴えていることなども確認する必要があります。特に、危険な指導やいじめなどが疑われる場合には、子どもの安全を優先しなければなりません。

ここで注目していただきたいのは、上田先生が「辞めたいと言っているかどうか」だけではなく、実際に習い事に参加しているときや、終わったあとの様子を確認していることです。

子どもの言葉だけでは分からないことも、場面を分けて確認することで見えてくる場合があります。

子どもの「行きたくない」は、その瞬間の気持ちかもしれない

上田先生の相談事例のように、習い事へ行く前は嫌がっていても、実際に参加すると楽しめる子どもがいます。

この違いを理解するうえで知っておきたいのが、子どもの発達段階です。

特に幼児期や小学校低学年では、自分の気持ちやその理由を、大人のように整理して説明できるとは限りません。

たとえば、家で楽しく遊んでいるときに習い事へ行く時間になったとします。子どもは、今の遊びを続けたいという気持ちから、「行きたくない」「もう辞めたい」と言うかもしれません。

その瞬間に嫌だと感じていることは本当です。しかし、それは遊びを中断したくないという気持ちであって、習い事そのものが嫌いになったとは限らないのです。

だからこそ、子どもの発言だけでなく、どの場面で嫌がるのか、実際に参加するとどうなるのかを見ていく必要があります。

一方で、子どもが自分の気持ちを十分に説明できないからといって、親が「本当は辞めたくないはず」と決めつけることも避けたいものです。

子どもの気持ちを尊重することは、その瞬間の言葉にすべて従うことではありません。言葉の背景を理解し、必要な判断を支えることも親の大切な役割です。

子供が習い事をやめたいと感じる5つの理由
辞めたい2

子どもが習い事を辞めたいと感じる背景には、さまざまな理由があります。ここでは代表的な5つの理由を整理します。

一つの理由だけでなく、複数の問題が重なっている場合もあるため、最初から原因を決めつけず、子どもの様子と照らし合わせて考えてみてください。

1.上達できず、自信をなくしている

習い事そのものは好きでも、思うように上達できないために辞めたいと感じる場合があります。

たとえば、スイミングの進級試験に何度も落ちている。ピアノで難しい曲がなかなか弾けない。スポーツで周囲の子についていけなくなっている。

こうした状況が続くと、子どもは「自分には向いていない」「頑張ってもできない」と感じることがあります。

しかし、本当はもっと上手になりたいのに、できないことが悔しくて「辞めたい」と言っている可能性もあります。

このようなときには、本人がまだ上達したいと思っているのかを確認し、何が難しいのかを一緒に整理してみてください。

たとえば、次の進級試験に合格することだけを目標にするのではなく、苦手な動きが一つできるようになることを目指してもよいでしょう。

努力を促すことは大切ですが、本人の苦痛を無視して続けさせることとは分けて考える必要があります。

2.先生や友達との関係がつらい

習い事の内容は好きでも、先生や友達との関係が原因で辞めたいと感じることがあります。

先生に強く叱られることが怖い。失敗すると友達にからかわれる。教室の雰囲気になじめず、居心地が悪い。

こうした場合、問題は習い事そのものではなく、取り組んでいる環境にあるのかもしれません。

もちろん、先生から注意されたことがあるからといって、すべて不適切な指導とは限りません。上達のために改善点を指摘してもらうことも必要です。

ただし、適切な指導と、子どもが強い恐怖を感じるような威圧的・危険な指導は分けて考える必要があります。

習い事自体は好きなのであれば、先生やクラス、教室を変えることで続けられる可能性もあります。一方で、いじめや暴力などが疑われる場合には、安全を優先し、その環境から離れることが必要です。

3.習い事や自宅練習が負担になっている

習い事を辞めたい理由が、習い事そのものではなく、生活の負担にある場合もあります。

学校から帰ったあとに複数の習い事へ通っていたり、帰宅後に宿題と自宅練習をしなければならなかったりすると、子どもが疲れてしまうことがあります。

特にピアノなど、自宅での練習が上達に大きく関わる習い事では、練習の進め方が親子の負担になることもあります。

幼児教室ひまわりでも、上田先生が、ピアノの自宅練習を負担に感じている保護者の方から相談を受け、練習の仕方についてアドバイスしたことがあります。

ピアノは、練習を積み重ねることで上達する習い事です。そのため、子どもが練習を嫌がるからといって、単純に練習をなくせばよいとは限りません。一方で、毎日の練習をめぐって親子関係が悪くなってしまうことも避けたいものです。

そのような場合には、練習時間や取り組み方を見直すことで、負担を軽くできないか考えてみてください。

習い事の数や生活全体の負担については、別の記事「習い事が多すぎる?減らせない時の見直し方と子供の負担サイン」で詳しく解説しています。

4.失敗や評価にプレッシャーを感じている

習い事そのものは好きでも、試験や発表会、試合などで結果を求められることが負担になっている場合があります。

たとえば、ピアノを弾くことは好きなのに、発表会で間違えることが怖い。スイミングは楽しいけれど、進級試験が近づくと行きたくなくなる。

このような場合、上達できない悔しさよりも、失敗したくない気持ちや、周囲から評価されることへの不安が強くなっている可能性があります。

特に、親が結果を重視しすぎていないかも振り返ってみたいところです。

「次は絶対に合格しよう」「せっかく練習したのだから失敗しないでね」という言葉も、子どもによっては負担になることがあります。

もちろん、目標を持って練習することは悪いことではありません。ただし、結果だけでなく、できるようになったことや努力してきた過程にも目を向けることが大切です。

習い事への興味が残っているのであれば、試験や発表会への参加方法、目標の設定などを見直すことも選択肢になります。

5.興味が変わり、別のことをしたくなった

子どもが成長するにつれて、興味や関心が変わることもあります。

幼稚園の頃は楽しそうに通っていた習い事でも、小学生になると以前ほど面白いと感じなくなることがあります。また、新しく挑戦したいことが見つかる場合もあるでしょう。

たとえば、水泳を続けてきた子がサッカーに興味を持ったり、ピアノを習っていた子が絵を描くことに夢中になったりすることもあります。

このようなとき、親としては「せっかく続けてきたのだから、もう少し頑張ってほしい」と感じるかもしれません。

しかし、子どもの興味が変わること自体は、必ずしも悪いことではありません。

ここで考えたいのは、一時的に飽きているだけなのか、それとも本人の関心や優先順位が変わっているのかということです。

今の習い事で楽しいと感じることがまだあるのか、新しくやりたいことにどのくらい関心を持っているのかを一緒に考えてみてください。

子どもの時間には限りがあるため、何を続け、何を終えるかを考えることも必要です。

子供の習い事のやめどきは?続ける・休む・変える・辞める判断基準
辞めたい3

子どもが習い事を辞めたいと言ったときには、その理由や普段の様子を確認したうえで、今後どうするかを考えます。

私は、最初から続けるか辞めるかの二択にする必要はないと思っています。

習い事を続ける、通う回数を減らす、少し休む、先生や教室を変える、辞める。このように選択肢を分けることで、子どもの状態に合った対応を考えやすくなります。

判断するときの目安を、次の表に整理しました。

習い事やめる

この表は、すべての子どもに当てはまる絶対的な基準ではありません。特に、習い事が終わったあとに楽しそうにしていても、本人が強い苦痛を訴えている場合には、その理由を確認する必要があります。

また、いじめや危険な指導が疑われる場合には、無理に通わせ続けるのではなく、子どもの安全を優先してください。

大切なのは、辞めるか続けるかを先に決めることではなく、今の問題を改善するために、何を変える必要があるのかを考えることです。

子供の習い事を辞めるか迷ったとき、親が見落としやすい5つのこと

子どもが習い事を辞めたいと言ったとき、親は子どものためになる選択をしたいと考えるものです。しかし、子どもを思う気持ちが強いほど、親自身の価値観が判断に影響することもあります。

努力を続けることを大切にしてきた親は、途中で辞めることに抵抗を感じるかもしれません。一方で、子どもに無理をさせたくないと考える親は、嫌がっていることを続けさせることに不安を感じるでしょう。

どちらの考えにも大切な部分があります。ただし、親が何を重視しているかによって、子どもの状態の見え方が変わることも知っておきたいところです。

1.習い事を辞めると逃げ癖がつくと思ってしまう

「ここで辞めさせると、嫌なことがあるたびに逃げる子になってしまうのではないか」

習い事を辞めることについて、このように心配される保護者の方もいると思います。

確かに、難しいことに挑戦し、努力を重ねる経験は大切です。練習してもすぐにはできなかったことが、少しずつできるようになる。その経験が、子どもの自信につながることもあります。

しかし、一つの習い事を辞めたからといって、それだけで逃げ癖がつくと判断することはできません。

ここで考えたいのは、辞めたかどうかという結果よりも、子どもが難しいことに出会ったとき、どのように向き合ったかという過程です。

できないことがあったときに、何が難しいのかを考えたか。練習方法を工夫してみたか。困ったときに先生や親に相談できたか。

こうした経験は、たとえ最終的に習い事を辞めることになったとしても、子どもに残ります。

また、困難を乗り越えることと、苦痛を我慢し続けることは違います。本人の努力だけでは改善できない問題がある場合には、大人が環境を整える必要があります。

私は、根気を育てることを、何があっても続けさせることと同じに考えない方がよいと思っています。

2.自分で始めた習い事だから、最後まで続けるべきだと思ってしまう

子どもが自分から「やりたい」と言って始めた習い事の場合、親としては簡単に辞めてほしくないと感じるかもしれません。

「自分でやりたいと言ったんでしょう」「始めたからには最後まで続けなさい」と言いたくなることもあると思います。

もちろん、自分で決めたことに責任を持つ姿勢は大切です。しかし、幼い子どもは、習い事を始める前に、その内容や難しさ、自宅で必要になる練習量などを十分に理解できているとは限りません。

体験教室では楽しく感じても、実際に習い始めると、毎週通う必要があります。思うように上達しない時期もあれば、練習が負担になることもあります。

こうした経験を通して初めて、自分に合っていることや、想像していたものと違ったことが分かる場合もあるでしょう。

そのため、私は、最初に決めたことを絶対に変えてはいけないと考えるよりも、実際に経験したあとに自分の選択を振り返ることも大切だと思っています。
ただし、嫌になったら何も考えずに辞めればよいという意味ではありません。

「始める前は何が楽しそうだったのかな」「やってみて、思っていたことと違ったのはどこかな」と話してみることで、子どもは自分の興味や得意なことを少しずつ理解できるようになります。

自分で決めたことに責任を持つとは、必ず同じ選択を続けることだけではありません。経験したことを踏まえて、次の判断を考えることも大切です。

3.これまでの時間やお金がもったいないと思ってしまう

子どもが何年も習い事を続けてきた場合、親としては辞める決断が難しくなることがあります。

月謝や道具代、送り迎えに使った時間、発表会や試合に向けた準備などを考えると、「ここで辞めたら、これまでの努力が無駄になるのではないか」と感じることもあるでしょう。

しかし、ここで考えていただきたいのは、これまでに費やした時間と、これから子どもが使う時間は別だということです。

たとえば、3年間ピアノを習ってきた子が辞めたとしても、楽譜が読めるようになったことや、難しい曲に挑戦した経験が消えるわけではありません。スイミングを辞めたとしても、泳げるようになったことや、進級試験に向けて練習した経験は残ります。

一方で、今は興味を失っている習い事を、これまでお金や時間をかけたという理由だけで続けてしまうと、これからの時間まで本人が望まないことに使うことになるかもしれません。

ここで大切なのは、「今まで続けたから、これからも続けるべきか」ではなく、「これから続けることで、子どもにどのような経験が得られるか」を考えることです。

過去の努力を大切にすることと、その習い事をこれからも続けることは、分けて考えてよいのです。

4.発表会や進級試験までは頑張らせればよいと思ってしまう

習い事を辞めたいと言われたとき、「次の発表会までは頑張ってみよう」「あと一回、進級試験を受けてから考えよう」と区切りを作る方法があります。

これは、状況によっては有効です。

たとえば、少し練習が面倒になっている子や、目標が見えなくなっている子にとっては、具体的な期限を決めることで、もう一度取り組むきっかけになることがあります。

ただし、この方法で大切なのは、子どもがその目標に納得していることです。

親が一方的に「発表会までは辞めさせない」と決めてしまうと、子どもにとっては努力するための目標ではなく、我慢しなければならない期限になってしまう可能性があります。

また、強い不安や体調不良が続いている場合には、発表会や進級試験まで待つ必要はありません。

期限を設けるのであれば、その期間に何を目指すのか、どのような負担を軽くするのかも一緒に考えてください。

区切りを作る目的は、ただ続けさせることではなく、子どもが納得して取り組める機会を作ることです。

5.子どもの気持ちを尊重することと、判断をすべて任せることを同じにしてしまう

子どもに無理をさせたくないという思いは、大切にしたいものです。しかし、子どもの気持ちを尊重することと、習い事を続けるか辞めるかの判断をすべて子どもに任せることは、同じではありません。

特に幼い子どもは、習い事を続けた場合や辞めた場合に、どのようなことが起こるのかまで十分に見通せるとは限りません。

そのため、親は本人の気持ちを受け止めながら、まだ気づいていない選択肢を示してあげることが必要です。

たとえば、辞めるか続けるかだけでなく、通う回数を減らす、少し休む、先生を変えるといった方法もあります。こうした選択肢を知ることで、子ども自身の考えが変わることもあるでしょう。

もちろん、親が一方的に結論を押しつけるのも適切ではありません。

子どもの意見を聞きながら、安全や生活への負担については親が責任を持って判断する。そのバランスが大切だと私は考えています。

私自身がスイミングを辞めたいと思った2つの経験
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私自身も子どもの頃、スイミングを習っていて、辞めたいと思ったことがありました。

私は5歳頃から小学3年生頃までスイミングに通っていましたが、振り返ってみると、辞めたいと思った理由は一つではありませんでした。

クロールの進級試験に何度も落ちたとき

一つ目は、クロールの進級試験になかなか合格できなかったときです。

私はクロールの試験に何度も落ちてしまい、子どもながらに悔しい思いをしていました。周囲の子が進級していく中で、自分だけがなかなか合格できないと、スイミングを辞めたいという気持ちにもなりました。

そのとき、父親が毎週日曜日にプールへ連れて行き、一緒に練習してくれました。

私にとってありがたかったのは、父親がただ「もっと頑張りなさい」と言うのではなく、実際に練習に付き合ってくれたことです。

今振り返ると、このときの私は、スイミングそのものが嫌いになったというより、できるようになりたいのに、なかなかできないことが悔しかったのだと思います。

だからこそ、父親が一緒に取り組んでくれたことが、続けるうえでの支えになりました。

もちろん、同じような状況でも、すべての子どもに練習を続けさせればよいということではありません。ただ、子どもがまだ上達したいと思っているのであれば、親がその努力を支えることで、乗り越えられることもあります。

コーチの指導が怖くなったとき

もう一つ、スイミングを辞めたいと思った理由があります。それは、コーチの指導が怖かったことです。

当時、私が受けた指導の中には、頭を水に沈められるような行為もあり、恐怖を感じていました。

このときの「辞めたい」は、クロールの進級試験に落ちて悔しかったときとは、まったく違います。上達できないことが問題だったのではなく、安心して練習できる環境ではなかったことが問題でした。

当時は母親がコーチとの間に入ってくれ、その後もスイミングに通うことができました。

ただし、今振り返っても、このような危険な指導を子どもが我慢する必要はなかったと思います。安全が確保できない場合には、その環境から離れることが必要です。

私がこの2つの経験から感じているのは、子どもが「辞めたい」と言ったとき、その理由によって親にできることは違うということです。

進級試験に落ちて悔しかったときには、父親が一緒に練習してくれたことが支えになりました。一方で、コーチの指導が怖かったときには、母親がその問題に向き合ってくれました。

子ども自身の努力で乗り越えられる課題には、挑戦を続けられるように支える。本人の努力では解決できない環境の問題には、大人が対応する。

この違いを見極めることが、子どもの習い事について親が判断するときに大切なのだと、私は自分自身の経験から感じています。

習い事を辞めるかどうか、親子で納得して決めるために

子どもの気持ちや習い事の状況を確認したら、親子でこれからどうするかを考えていきます。

ここでは、続けるか辞めるかという結論だけでなく、その選択をしたあとに何をするのかまで決めておくことが大切です。

続ける場合は、もう一度話し合う機会を作る

もう少し続けることにした場合には、ただ「これからは頑張ろう」と約束するだけで終わらせないようにしましょう。

何を変えるのかを決めたうえで、しばらく取り組んでみて、本人がどのように感じているかを改めて確認します。

たとえば、練習方法を変えたことで取り組みやすくなったのか、通う回数を減らしたことで負担が軽くなったのか。実際の変化を見ながら考えます。

続けると決めたからといって、その後は何があっても辞めてはいけないわけではありません。状況が改善しなければ、もう一度選択を考え直してよいのです。

辞める場合も、それまでの経験を大切にする

最終的に辞めることになった場合には、それまでの経験を振り返る時間を作ってみてください。

「どんなことができるようになったかな」「楽しかったことは何だった?」「頑張れたことはあったかな」

こうした話をすることで、子どもは習い事を辞めたことだけでなく、そこで得た経験にも目を向けられるようになります。

ただし、振り返りを反省会にする必要はありません。「もっと頑張ればよかったのに」と責めるのではなく、経験したことを次の選択にどう生かすかを考えます。

また、強い苦痛を感じて辞めた場合には、無理に前向きな意味づけを求めず、まずは安心して過ごせることを優先してください。

私は、習い事を通して身につけたいのは、技術や知識だけではないと思っています。自分が何に興味を持ち、何に困り、どのような選択をするのかを考える経験にも、価値があるのです。

まとめ|習い事を続けるか辞めるかより、大切にしたいこと

子どもが習い事をやめたいと言ったとき、すぐに続けるか辞めるかを決める必要はありません。

特に幼い子どもは、自分の気持ちを十分に整理できず、その瞬間に感じたことを「もう嫌だ」「辞めたい」と表現することがあります。

だからこそ、言葉だけでなく、習い事に取り組んでいるときや終わったあとの様子も合わせて見ながら、何に困っているのかを理解することが大切です。

私自身のスイミング経験でも、上達できずに悔しかったときと、コーチの指導が怖かったときでは、必要な親の対応が違っていました。

習い事を続けることが必ずしも正解ではなく、辞めることが必ずしも失敗でもありません。

子どもの気持ちを受け止めながら、今どのような経験や支えが必要なのかを考えること。それが、子どもの成長につながる判断だと私は考えています。

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